第0話 留守番電話
【録音されているメッセージは、4件、です。】
【ピー】
お、繋がった繋がった。
文化さ――って、何だよ留守電かよ。
【ブツッ】
【ツーツー】
【ピー】
【ブツッ】
【ツーツー】
【ピー】
セーヤナカジョー。
繋がんねーから留守電で失礼するぜ。
俺だ、ウィリアム・スペードだ。文化祭では世話になったな。
元気してるか、とかいらねぇか別に。別れてからまだ2日だしな。
つーことで本題に入るわ。
シャーロックから話はいってるよな?
いやぁ悪い悪い。俺もまさかこんなにも早く動くとは思わなかったからよー。とはいえ、俺からしてみりゃ願ったり叶ったりの展開なわけなんだけどさ。
お前が聞いたであろう内容の通り、魔法世界じゃあ、毎月の月初めに魔法大会が開かれる。それも『七属性の守護者』の名前を各大会の名前に割り振った、国主催の公式な大会だ。優勝者には賞金と、名声。……そして、俺たち『トランプ』と戦える権利が与えられる。
来月は『アギルメスタ杯』。俺はなんとしてでも『トランプ』枠に入る。
ここまで言えば、分かるよな。
闘ろうぜ、セーヤナカジョー。俺はお前と闘いてぇ。
移動費や宿泊費なんかはこっちで全部用意してやる。必要なら手伝いも用意させよう。お前がフクメンポリスやってる理由は知らねぇが、身分偽りたきゃ偽造ライセンスも発行してやるよ。
それに、大抵のことはアレさえあればなんとかなるだろうしな。……失くしてねぇよな? 何のためにお前に預けっぱなしにしておいたかって話だ。
ま、いいや。
エルトクリア大闘技場のてっぺんで、お前を待つ。
できれば脅しなんて手段は使いたくねーんだ。シャーロックやエースがどんな内容でお前を脅したのかは知らねぇが、そんなのは俺の本意じゃないし、正直そんな内容はどうでもいい。
お前が、お前の足で、お前の意思で、ここに来い。
楽しみに待ってるぜ、セーヤナカジョー。
【ブツッ】
【ツーツー】
【ピー】
やべーやべー、いっこ伝え忘れてたわ。
あのメイドキッサにいた可愛い子、なんだっけ?
ありゃ、俺、名前聞いてなかったか。
ほら、あれだよ。俺たちに気付いてた子……。
その子も連れてこい。な? よろしく頼むわ。
それじゃあな~。
【ブツッ】
【ツーツー】
【録音されたメッセージは、以上です。】
【もう一度、再生される場合は】
【メッセージは、消去されました。】