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エピローグ&プロローグ
きっとあそこで終わらせていればよかったのだ。
20階層を攻略して、首切りと戦って、平穏なパーティーハウスでの生活が返ってきた時点で。
『到達する者』も、ダンジョン探索も、冒険者も、全部終わらせておけばよかった。
そうすれば、俺達は幸せな日常の中で生きられた。
それなのに、俺達は間違った選択をしてしまった。
悔やんでも悔やみきれない、人生最大の後悔だ。
俺達は気づかないうちに、調子に乗っていたのだろう。
自分達の実力を過信していて、決して失敗しないものだと。
壁にぶち当たっても、いつかは乗り越えられると。
しかし、人生というものは誰に対しても平等に残酷だ。
残酷なまでに平等なのだ。
永遠に幸せが続くことなどなく、誰に対しても無慈悲に不幸が降り注ぐ。
そして、俺達にもその番がやってきたのだ。
分不相応な夢を抱いて、その夢に近づきすぎた罰を与えられる瞬間が。
もし、時間を巻き戻せるならば。
何度も何度も何度も考えた。
でも、そんな横暴な願い、叶うはずもない。
この世界に本当に神がいるのなら、時間さえ巻き戻してくれるのだろうか。
それとも、神ですら不可能な願いなのだろうか。
わからない。そんなこと知らない。知るわけがない。
だけど、一つだけ。一回だけ人生をやり直せるなら。
過去の自分に、俺はこう伝えよう。
――絶対に21階層に潜るなと。