事件後そして
クラビの体から神がかっているとでも言わんばかりの激しく眩い光が出てゆっくりとではあるが歩けるようになった。
「の、呪いが、解けた?」
ボジャックは言った。
「す、すごい、クラビの頑張りと何よりあの子供の言葉が奇跡を起こしたかクラビの力を引き出したのか」
クラビは自分の両手を見つけた。
「さっきまで凄まじい苦しみだったのに、嘘みたいに体が軽くなってまるで聖なる力がみなぎってるみたいだ」
「おっと、まずは女神さんから」
クラビが女神に触れるとたちどころに呪いが消えた。
「触っただけで」
女神は言った。
「これは高レベル勇者が使える『呪い解除』? しかも相当高レベルの? おっと皆を先に助けてあげて」
クラビは近くにいる順シヴァ、マークレイ、ミッシェルの順で体に触れて行くとすぐに呪いは解けた。
次はジェイニーの番だった。
しかしジェイニーは
「マリーディアを先に助けてあげて」
「何で?」
「……」
そして見事全員の呪いを解いたクラビは疲れてへたりこんでしまった。
「クラビ!」
マリーディアは駆け寄った。
「おーい!」
町の衛兵とデュプス王国から来た兵士達が駆け寄った。
「大丈夫か?」
「君達が悪人を倒してくれたのか?」
「ま、まあ」
「病院に行こう!」
と兵達は皆を担いだ。
アンドレイは去り町での戦いは終わった。
オンガロの町は大きな被害を受けた。
操られた男の火などの攻撃、サブラアイム兵の攻撃や放火で死傷者は三十人以上、全燃した家二件、途中で消火した家が十一件だった。
また狂暴化した動物も暴れ被害が起きた。
クラビ達は病院に泊まり二日程休んで寝た。
優秀なヒーラー達が集められ回復は早かった。
クラビはベッドで思った。
アンドレイは強い、特訓したけど全然駄目だった。
今度サブラアイム城に行って決着を付ける為特訓をもっとしないと。
でもそれ以上に町の人と利用されたアンカーの持ち主、そして子供まで二人殺したあいつらを許せない。
アンドレイが落とした手紙にはこう書いてあった。
「君達にはきついだろうが、これでもまだ弱い呪いだ。仮にほどく事が出来てもまだまだ我々にかなうとは思えんがね。サブラアイム城で決着を付けようか。最もそこに行くまで死んでは元も子もないが。我々が狂暴化した動物を野に放ったしな」
「あいつ、呪いだけじゃなく止めを刺そうとすれば出来たんだ。でも俺達の事なんか完全に馬鹿にしてる」
「他国の犯罪者と言う訳でなく軍が直接殺戮やったからな。問題は巨大化して全面戦争になるかも」
「そんな事させられないよ。例えデュプス国民がアンドレイ達を恨んで『戦争したい』と言ったとしても」
そして退院した一行は町長に会う事になった。
大きな屋敷でもてなされた。
やや小柄な白髪も少しある顔の大きい五十代の男だった。
「ありがとう、何とお礼を言ったら良いか」
「いえ」
「あいつらはサブラアイム軍だね。我が国に攻め込むつもりか」
「そうみたいです」
「戦争になるかも知れんな」
「そんなこと望んでいません」
「これは少ないが町からのお礼だ。二百万ゴールドだ」
「うわ!」
「これで後少しで孤児院を救えるぞ」
「それから、デュプス王が直々にお呼びという事だ。是非会って色々話を聞きたいと」