崩壊したイアン
なおも二人がかりでマークレイを殴るイアンとゼネイル。
しかしイアンは体の変調を感じ取っていた。
どう言う事だ、くっ!
バキイ! と言う音と共にボジャックは殴りかかり言った。
「二人がかりするって言うなら俺も加勢させて貰うぜ」
シヴァも目が覚めた。
そしてクラビも言った。
「マークレイをこれ以上痛めつけるな、それだけじゃない、それ以上戦ったら体がおかしくなるぞ」
「そうよ!」
マリーディアも同調した。
ゾゾは思った。
クラビさん、あんな奴の事まで心配するのか。
女神も言った。
「そのブレスレットは一人で二個使用すれば死ぬわ」
「何?」
「本当よ」
「これはアンドレイ様が自軍の技術で作成した物だ。お前らのとは違う」
「アンドレイがくれたのか?」
「そうだ。我が軍最初の使用者として俺が選ばれたのだ」
回想に入る。
アンドレイはイアンに言った。
「お前は才能だけでなく素晴らしい悪の心を持っている。私の大好きな歪んだ心。もっと歪め、もっと憎め。そしてその二個のブレスレットで奴らを倒し、マリーディアとやらを奪ってやれ」
回想が終わりイアンは言った。
「そうだ、俺は期待されているんだ。マリーディアだけじゃない。お前らを殺す事も命ぜられているんだ」
女神は聞いた。
「ちょっと待って、その人工のブレスレット、ちゃんと実験はしてるの?」
「していない。さらって来た人間の博士が作り俺が使用者第一号だ」
女神は続けた
「アンドレイは貴方をブレスレットの実験台にしているのよ。貴方の心に付け込んで」
「そんなはずはない。アンドレイ様は俺を高く評価している」
しかしまたイアンは変調をきたした。
息が苦しい、どう言う事だ。
「俺達全員で相手だ」
ゾゾは素早く懐に潜り腕を掴んでブレスレットを外そうとした。
しかし吹き飛ばされた。
怒ったイアンは両手から火炎や氷を噴射した。
「うおおおお!」
「よせ! 町の人が犠牲になる!」
イアンは狂ったように乱射し家に引火しそうになった。
「俺はずっとマリーディアを思っていた! 誰に俺の気持ちが分かるか!」
ボジャックは否定した。
「何言ってんだ、孤児院にも一杯彼女を好きな人はいたんだ」
ジェイニーも言う。
「自分だけが特別だと思ってるんでしょ。自分こそが相応しいと思いあがってるだけよ」
「切り刻んでやる!」
しかしクラビが立ちふさがり剣で防いだ。
少しクラビは防御中心だが二人の激しい切りあいとなった。
しかしクラビは何故かあまり多くを話さない。
「うおおお‼」
「イアンさん、落ち着いてください」
ゼネイルが止めるが弾き飛ばされた。
「ぐあ!」
突如イアンの体から血が噴き出した。
女神は言った。
「体が耐えられなくなったんだわ」
また別所から血が出た。
「ぐわあ!」
「お、おい、あいつめちゃくちゃ痛そうだぞ」
「同情するレベルに」
「仕方ない!」
クラビは射出型光剣でイアンの心臓近くを貫いた。
「ああ」
イアンは倒れた。
マリーディアは迷いながら何故かイアンにかけよりエネルギーを分け与えた。
「え?」
「な、何故俺を助ける」
「貴方が哀れだからよ」
マリーディアの目は慈愛に満ちていた。
「仕方ない」
と言いクラビも回復薬をあげた。
「うう」
しばらくしてイアンは立ち上がった。
マリーディアは言った。
「約束して、もう現れないって」
「分かった」
そう言ってイアンは背を向け去った。
するといきなりサブラアイム兵が後ろから彼を刺した。
「なっ!」
「くっくく」
兵は兜を外した。
「!」
なんとアンドレイが兵士に変装していた。
「ま、まさか!」
「あいにく偽物じゃないのさ、初めまして、クラビ君一行」