マリーディア三度目の激昂
挿入した30話で二度目の激昂しているので、サブタイトルを変更しました。
ブロキアの手の温度が著しく上がる。
黒く変色していく。
手が焦げそうになりながら火の弾を受け止めている。
「ぐ、ぐうう……あああ」
まるで耐えるのが意地のようだ。
一方ボジャック達はこれが切り札だった。
もう後がない。
「押し切ってくれ」
皆の願いだった。
「ぐ、ぐううう」
激しい湯気が立ち上る。
「ぐ、ぐおう、ぐああ!」
と叫び、遂にブロキアは手を天に上げ火炎弾を弾き飛ばした。
「なっ!」
「はあ、はあ、弾き飛ばしてやったぞ」
切り札を弾きブロキアは価値を確信した。
ボジャックは希望を失った。
「ぐ、ぐぐ」
「これでお前らにはもう攻め手はないだろう」
それを見た皆は絶望で意気消沈した。
「くっ」
力尽きボジャック、ゾゾは倒れた。
ジェイニーも気絶はしていないが倒れてしまった。
しかし後ろから声が聞こえたり
「ま、まだよ」
「えっ」
見るとマリーディアが体を震わせ、今にも切れそうな表情になっている。
「お、大勢の人を傷つけた報い……受けてもらう」
「マリーディア、切れてる」
ジェイニーたちは驚いた。
少し怖かった。
ブロキアはさして驚いていない。
「何だ、まだ何か言いたい事があるのか?」
マリーディアは殺意を込めて剣を取った。
「ぬっ?」
その目つきにブロキアはひるんだ。
な、何だこの娘、俺が気圧された?
何だっていうんだ。
「受けなさい」
そう言ってマリーディアは構えた。
全身隙がない。
そして全国で怒りと殺気を表現しているようだ。
マリーディアは地面を蹴り、気迫と冷たい殺意を込め猛然と突進した。
「うっ!」
ブロキアは雰囲気に飲まれた。
マリーディアは矢の様な速さで間合いに踏み込んだ。
いつもとは表情も速さも違う。
さらに目と全身の異様な気迫に怯え、ブロキアは反応が遅れた。
「ぐが!」
かろうじて防いだもののマリーディアの勢いは止まらない。
剣で切って切って攻めまくる。
速く迷いのない太刀筋。
「何だってんだこいつ、さっきと動きが違う」
シールドブレスの宝石が光っていた。
女神は言う。
「シールドブレスも彼女に力を与えてる」
「はあ、うああ!」
言葉にならない叫びと座った目の凄まじい威圧感に押され、かつ速く鋭くなった動きにブロキアは防戦一方になった。
そして腕と腹を切った。
「う、ぐぐぐ」
血が飛ぶ。
マリーディアは剣をブロキアに向けた。
止めを刺すと言うサインなった。
「く、くくはあ」
「ぐ、ぐぐ」
しかしマリーディアにはどこかためらい踏み込めないような気配がある。
早く降参してとでも言う雰囲気だ。
「うーわあ!」
更に増したスピードでマリーディアは切りまくった。
しかし血が飛ぶと同時に少し動きが低下した。
「ふ、ふん。お前には弱点があるな」
「?」
ブロキアは槍で腕を切り裂いた。血が飛び散る。
「!」
マリーディアは気持ちが悪くなった。
「お前の話は聞いている。血に弱いんだろう」
「う、くく」
そして隙が出来槍で刺されてしまった。
また血を見せて迫るブロキア。今度は蹴られた。
マリーディアは何とか立ち上がろうとする。
師匠の言葉が聞こえた。
「お前は切れると強い、とてつもなく強い。だがそれを別の気持ちに変えるのだ。怒りは憎しみに繋がる。たとえば人を守る為、人を愛する気持ちに」
「別の感情」
「人を守ったり平和を愛する気持ちの方が本当の強さではないか。それと血を見る事の克服もな」
マリーディアは力を振り絞り立った。
血の恐怖と戦い、かつ目が憎しみに支配されない様に。