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マリーディア必死の防御

 謎の武器から氷などを出して町人を襲う男をマリーディアは追った。


 一方、マリーディアと離れスタグラーと対峙するクラビ。

 クラビは最初からスタグラーにアンカーを使った。

 経験値を気にしている場合ではないからだ。

「いけっ!」


 女神は言った。

「前にも言ったけどこの人にはスピード重視よ! あと、まだ剣の腕はあの人の方が上、過信して挑んじゃ駄目」

「わかってるさ」


 一方、マリーディアが男に追いつき、シールドブレスで町人を襲おうとした所を防いだ。

 男は戸惑った。


「ぬっ?」

 男の攻撃をマリーディアが防ぎ説得しようとするのにサブラアイム兵士達は嫌な顔をした。


 男の護衛のサブラアイム兵達にかこまれてもマリーディアは攻撃せず説得を続けた。

「洗脳されてるのか命令されてるのか分からないけど、目を覚まして下さい」

 しかし、男は戸惑い答えられない。


「うるさい!」

 と説得の邪魔をする様にサブラアイム兵達が手が塞がっているマリーディアを蹴った。


「ぐうう」

 苦しむマリーディアは男を説得するのを諦めなかった。

 しかし彼女を無情にもサブラアイム兵士達が取り囲んだ。


「動けない女を数人がかりでいたぶるのも誇りに反するが仕方ない」

 

 マリーディアは説得の為無防備になっていた為兵士達に反撃出来なかった。

 しかしマリーディアは蹴られ倒されても兵達は相手にせず説得と防御を続けた。


「目を覚まして下さい! 私達が貴方に人殺しはさせません!」

 戸惑う男と邪魔して怒鳴る兵士。

「うるさい!」


 兵はマリーディアを殴り蹴った。

「動けない女一人に剣で刺すのは流石に気が引けるのでな」

「こんな女ごとき素手で動きを封じられるでしょう」


 さらにそこにドードリアスが怪我を押して来た。

「なっ!」

「ドードリアス様!」


「俺も後がない、よってここでお前達を消す」

「くっ!」


 マリーディアはシールドブレスに溜めたエネルギーをドードリアスと兵達に浴びせかけた。

「ぐあ!」


 ドードリアスはかわし、兵達は倒れた

「怪我してるとはいえ、説得しながら戦えるじゃない!」

 一旦説得中止を決意したマリーディアは向き直り剣で挑んだ。


 城でアンドレイはつぶやく。

「人口兵器……」

「開発は順調に進んでおります」


「うむ。今回神の武具を手にした男を上手く服従させたが、今度は我々の科学と魔法力で神の武具に匹敵する武器を作成する。十二年前の勇者との戦いで壊された我々の魔法のかかった武器の破片を集めて来たが。それに加え人間の科学力で威力をプラスしたより完全な物へと変える。その計画にあの博士を呼んだんだ」


 博士はもくもくと見張り付きで作業を続けていた。

 一方ボジャック達もブロキアと戦っていたが、埒が明かなかった。


 ボジャックとゾゾはスキルをかけて挑み2人かかりで槍を止めた。

 そこへジェイニーが火炎弾を空いた手に放ったが受け止めて見せた。


「手で火を!」

「私は元モンクだ。素手の戦いも強いんでね」


 一方、マリーディアはドードリアスと戦うが、ドードリアスが怪我をしていても彼女の方が不利だった。


「女、俺はここを怪我している。狙えば簡単に勝てるぞ」

「……」


 しかし狙わなかったマリーディアは吹き飛ばされた。

「甘いんだよ!」

「くう! 私が説得に行かなければ!」


 クラビはスタグラーに言った。

「何⁉ こないだの奴も来てるのか!」

「そうだ。君達一対一で幹部とでは絶対に勝てん。もう降参したらどうだ。それとも勇者の力で解決するか?」

「そんな便利な物なんかない、ただ必死でやってるだけだ」


「私が勇者の力を出させる為の煽り言葉としていっているのに、青い男だ」


 女神は言った。

「あせっちゃだめ。あせったらあいつの思うつぼよ」

「分かってるさ」


「さあ、勇者の力を見せてみろ。もっと上げろ」

「それを見てあんたに何のメリットがある」


「いずれ君に世界の支配者になってもらうためだ」

「俺を利用してるんだろ」


「違う。私はこの国と違う宗教に仕えた為迫害されかけた。そのためこの国の宗教を排斥し勇者が絶対的存在になる国にしようとしてるのだ。仲間にも言わずにな」


「じゃあ、あんたの考えはアンドレイの命令じゃない?」

「そうだ」


「おっとこうしてる間はない。知りたい事もあるけどあんたよりあの人の方が大事だ」


 と言いアンカーで翻弄する様に攻撃し、少しずつ距離を取って逃げる体勢を整えようとした。


「ぬ、私から逃げる算段だな」

 とスタグラーは素早く回り込んだ。


 クラビは構え直し戦いは続く。

「あの人やマリーディアが心配だ。でもこの人の考えも気になる」



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