葬式と作戦会議
サブラアイム城では兵達が集められザーゴンの葬式をしていた。
勿論主導者はアンドレイだ。
わざとらしく嘆いた様な口調で口上を読む。
「勇敢なる戦士ザーゴンは憎むべき勇者一派によって殺された。彼の命に報いる為にも我々はこれから総力を挙げて勇者を倒しに行く」
兵の間でひそひそ話が聞こえた。
「良く言うよ自分で殺したくせに」
「憎むべき勇者の手によってだって」
アンドレイは兵をぎろりと睨んだ。
「そこ、何の雑談だ」
兵士は突然指され飛び上がらんばかりに怯えた。
「いえ何も⁉」
アンドレイは凄まじい威圧感で迫った。
「私への反逆を企てたな」
「そ、そんな‼」
そして冷酷に言った。
「その兵二人を連れて行け」
「どうするんですか?」
連行を命じられた兵士が聞く。
「ギロチンの刑だ」
「なっ⁉」
「我々は何も!」
二人の兵士は震えあがった。
「町中のギロチンで見せしめにしてやれ」
「なっ!」
まるで悪びれず言った。
「その二人は事もあろうに私がザーゴンを殺したと言ったからな」
何て地獄耳だ……
と兵士達は思った。
「助けて下さい! 助けて下さい!」
二人の兵士は連行されながら泣いた。
「首だけではない両手両足も切断しておけ」
そして話題は戦略会議に移った。
参謀ジョルジョが言う。
「現在、人工による神の武具に対抗する悪魔の武具の開発が大詰めを迎えております。それと動物狂暴化計画も結果を出し、調査に来たデュプス兵達は不意打ちを受けて死にました。また町の外を歩いた者たちも大勢被害、犠牲を出しております。また勇者一派はコロガドの町におり今が叩くチャンスかと。複数作戦の動員により今度こそ息の根を止める時です。しかし」
「しかし何だ」
「実は勇者のガキが信じられない事に生まれつき盲目だった子供の目を見える様にしたらしいです」
「何?」
アンドレイは考え込んだ。
どう言う事だ奴は神だとでも言うのか。そんなはずはない。しかし人間の力を大きく超えたとてつもない力だ。今叩かなければ。
と言ったアンドレイは巨大な悪魔の正体を現した。
これに部下たちは一層震えあがった。
「よし、今から勇者を殺す作戦に一気に攻勢をかける」
一方、クラビ達は宿におりあまり目立たない様にしていた。
目を見える様にした人と騒ぎが大きくなるからだ。
ボジャックが切り出した。
「サブラアイム城に行くまでの計画だ。本来なら目的が二つあるのは達成が難しくなるが三か月で一千万溜めて孤児院を救い、王に国の危機を伝え、その後サブラアイムに渡る」
皆頷いた。
ボジャックは続ける。
「よく勝ち残れたと思う。皆が死力を尽くしたからだ。本来俺達の様なガキが大帝国集団に挑むなんてありえない事だけど、こうなった事に後悔は全然してない」
クラビは謝った。
「すまない、俺が誘ったばかりに」
「だから怒ってないって」
ジェイニーは言った。
「アンドレイってどれくらい強いのかしら、後どの位私達はレベルを上げれば」
「とてつもない力を持った悪魔らしいが、表でそれを表した事はないらしい」
クラビは慄然と言った。
「俺が倒すよ。それが俺の宿命だから」
ボジャックは言った。
「重圧になるとあれだけどやっぱりクラビの勇者の力がキーになる」
ジェイニーは言った。
「何か最近すごく強くなったんじゃない?」
ボジャックは褒めた。
「俺よりずっと強いよ。剣の腕だけじゃなく覚えたスキルが上手く戦闘中かみ合わさってる。あの司令官にも苦戦はしたとはいえ引けを取らなかったろ」
「自分でも驚いてるよ。兵を何人か相手する位の力だと思ってたけど、幹部にも追いつけるようになってた」
クラビ
レべル二十一
力八十四 素早さ八十七 頑丈さ七十九 体力八十一 魔法力八十七 魔法防御八十八
ボジャック
レベル二十三
力七十二 素早さ七十一 頑丈さ七十四 体力七十六 魔法力五十六 魔法防御七十四
大分クラビの方がステータスが上になった。
「まあ、作戦会議はあと少しにして、明日に備えて寝ようぜ」
その頃スタグラーは一人ほくそ笑んだ。
あの小僧はそこまでの力を持っていたか、楽しみだいずれ世界を統治する神の様な存在になるだろう。
次の戦いでは更なる力が見れそうだ。