クラビ奇跡を起こす
「クラビ、しっかりして」
「ああ」
一行は大分疲れ、近くの町への道を歩いていたが坂道できつかった。
マリーディアは肩でクラビを担いでいた。
ボジャックは言った。
「重そうだぜ、手を貸してやったら?」
しかしジェイニーは
「いいわ、野暮な事はやめましょう」
「野暮って」
「鈍感で神経がない行動よ」
「……」
「何か誰も入り切れない雰囲気を二人に感じるわ」
「マリーディアは割と人目を気にしてないんじゃないかって言うそぶりが多いよな」
女神は言った。
「真面目過ぎる性格だからね。つい態度に大きく出ちゃう」
ゾゾも言った。
「すごく分かりやすく」
「でもあの司令官も強かったけど、あのストーカーも相当性悪ね。あいついつもあんな事してたのぞっとするわ」
「本当しつこかったぜ。で皆で力を合わせてやっつけたんだ」
「今回もそうすれば良かったのに」
「クラビが思う所あってそうしたくなかったんだろ」
「あっ町が見えた」
マリーディアは急いだ。
他にも患者がいる事を忘れかける程。
病院についてからもそわそわした。
「あの、まだ順番回って来ませんか?」
「すみません。前の患者さんが時間がかかりまして」
マリーディアは珍しくいらいらした。
ようやく前の患者が出て来た。
その親子連れの子供は目を瞑ったままで手を引かれている。
「あの子……」
看護婦が噂した。
「あの子、生まれつき目が見えないらしいの」
「中々治療法見つからないらしくて」
そうだったんだ。
私自分の事ばかり考えて……
そしてクラビの番がまわり治療が終わった。
「ダメージが蓄積してるから少し休めって」
クラビは話題を変えた。
「ねえ女神さん、神の力で目が見えない人とか何とか治せないの?」
「私には無理。もっと上位の神ならば」
「スキルの『奇跡』でそんな事が出来たらなあ」
その時急に神の声が聞こえクラビの右手が光った。
「神様?」
「あの子の目を治してあげなさい。触れるだけでいい」
「おーい! あの」
「何ですか貴方は?」
「あの息子さんの目を治したいんですが」
「あなた医者なんですか?」
「違うんですが」
「怪しすぎます」
「あの騙されたと思って、手をかざすだけで良いんです」
「ち、ちょっと!」
と母親がいやがる中光る手を当てた。
すると子供の目が開いた。
「み、見えるよ」
「まさか!」
「こんな事が! 貴方は神ですか」
「あ、いや」
と言って足早に去った。
「早く去らないと『神が現れた』と大騒ぎになる」
「クラビ奇跡を起こしたな」
結局去ったのだが、町は「奇跡の人あらわる」と大騒ぎになった。
神はクラビに語りかけた。
「あれは神の力でやった事なので『自分がやった』とあまり思い上がらないように」
「は、はい」