特訓と再戦
ボジャックとゾゾが道着に着替え練習が始まった。
マリーディアも言った。
「私も、特訓の手助けしようか?」
しかしクラビは言った。
「え? ああ、いいです」
「どうして?」
「女の子に投げられると辛いからさ。俺が剣を辞めたのもマリーディアに負けたからだし、あっ‼」
クラビは言った事をもう否定できずとんでもなく後悔した。
マリーディアは震えている。
「わ、私のせい……」
「ち、違う、言い間違いました! 聞かなかった事にして!」
マリーディアは少し涙を流し道場から出て行った。
「あー泣かせた!」
「泣ーかせた泣かせた!」
クラビは言った。
「小学生みたいなはやし立てはやめて下さい!」
最悪の状態で始める事になった。
ボジャックは言う。
「よし、俺の袖とかを掴んで投げて見ろ」
「はっ!」
クラビは内掛けをやろうとした。
しかしボジャックは厳しく言った。
「そんなんじゃだめだよ下半身の力が入ってない」
「うん、うん!」
アドバイスを受け再度試みたが上手く行かない。
「見本見せるよ」
ボジャックはクラビを投げた。
「痛い、痛い!」
「お前受け身取れてないじゃないかよ! やばいぞ肩折れてんじゃないのか!」
「確かに経験がない」
ゾゾは言った。
「ちょっと待ってくださいよ。経験もないのに実戦で通用する力がすぐ付くわけないじゃないすか。何でいつも無鉄砲なんですか」
クラビは言った。
「良し! ダメージ四十パーセントアップ+経験値アップを使う! ゾゾ投げてくれ!」
「しかし!」
「いいんだ!」
ゾゾは加減して投げた。
しかしクラビは言った。
「この位じゃ駄目だ加減しないでくれ」
ゾゾは悩んだ。
クラビは言う。
「頼む。心を鬼にして!」
ズガンとクラビは畳に叩きつけられた。
こうしてクラビはゾゾとボジャック二人に何発か投げられ何かを掴もうとした。
そして十五回投げられた。
「おいおいもう無理だろ」
「頼むもう少し!」
女神は言った。
「まだ方法はあるわ! 貴方と過去の貴方の記憶がマッチするのを掴んで」
「良し!」
クラビはボジャックと組み手をした。
その時声が聞こえた。
「今だ! 投げに入れ!」
「はっ!」
ボジャックが防御し、未遂に終わったが動きはずっと良くなっていた。
「何か掴めそう!」
「良し付き合うぜ!」
ゾゾも投げた。
「ダメージ四十パーセント増で経験を増やすんだ!」
「でも何発も投げられたら体が!」
「良いんだ!」
「分かりました! クラビさんを尊敬してるからこそ全力で投げます」
ゾゾにクラビは叩きつけられた。
クラビのレベルが上がった。
そして次の組手の際。
「これだ!」
勇者のクラビと今のクラビの波長が合い、ボジャックを投げられた。
「やった! まぐれかも知れないけど!」
そして朝になり一行が再び行くと亡霊騎士が道を塞いでいた。
「勝負だ!」
「ふん、またやられに来たかこのカーリアン五世、アンドレイ様にいただいた力を見せてやる」
「しゃべった!」
「勇者の魂、怒りの鉄拳!」
これを叩き込んだがやはり効かない。
表情は無いがカーリアンはほくそえんだ。
「ふん、馬鹿め」
しかしクラビは確信した。
「油断したな!」
カーリアン五世に隙が出来、記憶のクラビと今のクラビの波長がぴったり合った。
「今だ!」
クラビは腕を取り豪快な背負い投げをくらわすとカーリアン五世がバラバラになった。
「死んだのか⁉」
女神は言った。
「まだよ! 中の霊気は生きている。私とクラビで浄化させるわ」
二人の聖なる光でカーリアン五世は成仏させた。
「やったな!」
ボジャックは言った。
クラビはマリーディアに不意に謝った。
「あ、あの、すみません」
マリーディアは笑顔満面だった。
「全然。クラビが無事でよかった」
ボジャックは言った。
「本当に天使みたいだなあ」