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クラビ対脅威の草食動物軍団

 翌日の旅路。

 その後モンスターが多い場所に入ってしまった為、逆にすぐ出られなくなってしまった。

「モンスターを大勢倒したいが連戦が過ぎると命が危ない」


 しかし敵たちは休息を与えてはくれなかった。

 カンガルーが三匹現れた。

 近くの浅瀬からカバが現れた。


 カンガルーは今にも襲い掛かってきそうでいきり立っている。

 カバも威嚇の様に大きな口を開けた。


「また草食動物が襲い掛かってきた!」

「俺たちを食う気なのかこいつら?」


「まさかですけど。でもこいつらまるでアンドレイに操られているみたいだ」


「カンガルーと戦ったこと無いけどどう攻めてくるんだ? ああ、そうだクラビはカバを頼むわ。あいつは動き遅いし弱いだろ」


「カバ?」

 我ながら舐められたものだと思った。


「どう見ても行水のイメージしかないよあいつ」

「いや、カバって実はすごく狂暴ですよ。多くの生き物を殺すどう猛さを持っています。カンガルーは仲間同士で手足を使って喧嘩するらしいです」


 カンガルーは凄い瞬発力で間合いを詰めた。

 いきなりマリーディアが蹴り倒された。

「きゃあ!」


「カンガルーが人間を蹴った」

「行くぞ!」


 ゾゾは切りかかったがカンガルーは妙にフットワークが軽い。

「なんだこいつの動き? まるで格闘家の動きを真似してるみたいだ」


 ボジャックは切りかかったが何とカンガルーは大ジャンプでかわした。

 そのまま後ろ蹴りを食ってしまい跳ね飛ばされた。


「カバなんて!」

 クラビは切りかかった。

 

 ところがまるでバリヤーの様な見えない膜が発生し剣を防いでしまった。

「なんだこいつ!」


 女神が言った。

「多分戦闘力強化で魔法がかけられているんだ」

 カバは噛みつこうとした。

 

 避けられないクラビだったが、ジェイニーの火炎弾が飛んできた。

「すまない!」


「浅瀬に誘い込んで! そこへ電気を流して感電させるわ」

「よし」


 しかしクラビは突如走り出したカバの体当たりを受けふっとばされた。

「くそ!」


 クラビはアンカーでカバの足をからめとり動きを封じた。

「うおお!」

 そのまま持ち上げ振り回し浅瀬へ投げ落とした。


 一方カンガルー三頭は軽快なパンチキックをボジャック達に繰り出す。

「動きが読めないうえに速い」

「しかも知能まで上がってる感じです」


 キックでボジャックも吹っ飛ばされた。

 なんとダウンしたボジャックの腹に飛び上がり膝を落とした。

「ぐは!」


 遠くからジェイニーが火炎弾で援護した。

 今度はジェイニーに向かって来ようと凄まじい速さで跳ねてくる。


 ジェイニーは氷魔法をカンガルーの足元に放ち凍らせた。

「しめた! 動きを封じたぞ」

 すかさずボジャックは切りかかった。

 

 残り二頭のカンガルーはまるでキックボクサーの様な戦い方にさらに噛みつきを交える。

 

 ゾゾとマリーディアは苦戦した。

 パンチでうっかり武器を落としてしまった。


 ほとんど人間同士の殴り合いだ。

 マリーディアは相手の力を利用しボディーブローをたたき込み投げた。

 

 ゾゾは足払いを食らわせ顔が下がったところにかえる飛び昇斬を食らわせた。


 クラビは剣で何発かカバの背中を切った。

 しかしクラビは戸惑っている。


「どうしたんだよ?」

「草食動物殺すのかわいそうだ」


「いやそいつらは半分操られてる。やらなきゃやられる」

 マリーディアは言った。

「クラビ優しい。私もちょっとかわいそうに思う」


「ニ人ともちょっと呑気だなあ」

 ゾゾとジェイニーがカバを倒した。


 戦いは終わった。

「て、手ごわい、これが草食動物か」


 女神が言った。

「アンドレイは国中の動物を操っていると見ていいわ」


「それにしてもクラビお前あまり戦ってないじゃん」

「俺はアンカーがないと皆の中で最弱なんだ。リーダーは無理かも」


「何言ってんすか! クラビさんが孤児院を救う為お金を集めると言い出したんじゃないすか」

「わ、わかったそんなに責めないで強くなるからリーダーらしくなるから」

 リーダーらしく、勇者らしくならないと! 

 

 孤児院とマリーディアを何としても渡す訳には行かないんだ。

 こんな事じゃ!

 だったらリスクで自分を追い込んで。


 女神は危惧した。

「クラビ、経験値三十パーセントアップをセットするの⁉ 痛みも増すわ!」


 そして休息もつかの間

 しばらくすると盗賊団に出来わした。

 

 相手は四人だ。

 かなり体格が良く柄は悪い。


「うおおお!」

 といきなり叫び一人でクラビは突っ込んで行った。

「あいつアンカー使わずにどうする気だ」


 盗賊団は思った。

「あの構え方や振り回し方、あいつ大した腕じゃないぞ」

 

 分が悪いことを承知でクラビは一人で四人相手しょうと突っ込んだ。

 距離が近くなるほどにクラビは念じた。


 勇者の力よ出てくれ! 大きくなってくれ!

「あいつ自分を追い込むために?」

 



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