七年前の話 予言と才能 ボジャック達の強さの秘密
今から七年前、ミッシェルの故郷で「神とつながりがある」とまで言われ尊敬されている有名預言者の老女二ギウスはミッシェルに言った。
「ルポガ町の孤児院に行くのじゃ。そこにはやがて勇者になる少年とそれに協力する戦士となる少年少女がいる。彼らと友人になり、お前もいずれ一緒にサブラアイム軍と戦うようにするのじゃ」
「ほ、本当ですか」
「儂が間違った事を言った事があるか」
「時々外すような」
実は二ギウスは公の場ではわざと時々予言を外していた。
でなければあまりに百発百中だととんでもない人、人間ではない神扱いされて一般社会にいられなくなったりまして迫害されるかもしれないからだ。
「これから七年後に勇者は覚醒する。しかし彼一人でアンドレイ率いるサブラアイム軍と戦うのは無理だ。だから勇者の仲間になるにふさわしい人格と力を備えた者を集めるのじゃ。そこには彼らがいる」
「ふええ、リアルすぎて怖い、二ギウス様って神様なんですか?」
「いやいや神ではない。ただ神様が教えてくれるだけじゃ。でな、その勇者の少年は勇者の生まれ変わりだからほっておいても強くなるのだが、他の仲間達はそこまでの才能はない。だからデュプス神様に力を与えていただくのじゃ」
「成程、他の人たちは普通の人みたいなもんだから強くなるために特別な力を神様が与えてくれるんですね」
「そうじゃ。で勇者の少年は名をクラビと言う」
「ひええ! 名前まで知ってるんですか!」
そしてミッシェルはルポガ町孤児院に行った。
三か月して二ギウスは様子を見に来た。
「どうじゃねクラビの様子は」
「あの、クラビって全然強そうじゃないですよ? いいやつだけど。彼が勇者なんですか」
「そうじゃ。彼はやがてこの世界を救ってくれる。そして仲間にはボジャック、ゾゾ、マリーディア、マークレイ、シヴァ、ベルス、ジェイニーがいいだろう」
「名前調べたんですか」
「違う、神が教えてくれたんじゃ」
「ひええ! 後ジェイニーって誰ですか? そんな人いないんですが」
「その者は孤児ではない、七年後出会うのじゃ。ところでこの話は皆にしない方がいい。皆に奇異で恐ろしい目で見られる。で先程も言ったが、クラビはいずれ勇者として大成するが問題はボジャック達は強いがあくまで普通の人のレベルじゃ。わずかな期間修行しただけではとてもアンドレイ達を倒す事はできん。奴らはアンドレイは勿論すさまじい強さを持った戦士が大勢いるのじゃ。そこでだ。デュプス神様はボジャック達に『才能』と言うスキルを授けるのじゃ」
「才能?」
「そうじゃ、それがあれば普通の人間より遥かに速いスピードで成長し強くなれる。経験値も何倍も入り、同じ修行でも成長度合いが全く異なってくる。でこれから修行しアンドレイ達との戦いに備えるのじゃ」
「今すぐ強くはなれないんですか?」
「それは出来ん。その代わりに『力の種』を与え、努力で力を開花させるのじゃ」
そして天界のデュプス神はボジャック達にはわからないよう『才能』のスキルを体の中に与えた。
その為孤児院でのアズロの修行でも選ばれたボジャック達は他の人と比べぐんぐん強くなり奥義も編み出せる程になった。
ボジャックは思った。
「あ、あれ? 俺って何でこんな強くなったんだろ?」
それをミッシェルは見ていた。
「すごいやデュプス神様も二ギウス様も、俺も何だか将来が楽しみになってきた」
二ギウスは思った。
「このまま彼らが修行を続ければ、サブラアイムの一般兵等ものともせず、幹部クラスらの強敵とも戦える様になるだろう。上手く勇者を支えてくれ」