宿屋の罠
次の日の夕方、一行は近くの町の宿に泊まった。
「五人様ですね」
案内され部屋に入ると皆疲れがどっと出てあまり喋らず早く寝ようと言う事になった。
電気を消す一行、ところが
「何か臭くない?」
「焦げ臭い?」
「もしかして厨房の火を消し忘れたとか?」
「様子を見てきます」
とゾゾが行くと
「扉が外からカギがかかってます!」
「えっ⁉」
そう思ったのもつかの間、すさまじい嫌な匂いが立ち込め始めた。
部屋の端あたりから噴出した。
「これは焦げなんかじゃない! 毒ガスだ!」
「毒ガス⁉」
ボジャックは叫んだ。
「皆口を塞げ!」
ゾゾは窓を指さした。
「窓から外へ出よう!」
皆窓を割り二階から飛び降りた。
そして何とか五人とも着地した。
するとそこに店主が来た。
「どうしました」
「ガスが仕込まれてたんですよ何者の仕業か知らないですけど!」
「それは良かった。皆死ねば良かったのに」
「え?」
「ふふ」
店主は正体を現した。
豚の獣人オークだった。
ボジャックは叫んだ。
「どういう事だ!」
「私はサブラアイム軍の兵ゲライバだ! スタグラー様の命で罠を張っておいた」
「もうここまで追ってが」
ボジャックは言った。
「あんた人間語が話せるから上級オークかもしれないが、正体言っちゃっていいのか? 俺達五人相手じゃ分が悪いと思うが」
「ふふ、お前らの相手は俺じゃない、見ろ!」
何と後ろから巨人ゴーレムが現れた。
四メートルはある。
「ゴーレムか、噂は聞いたがかなり手ごわそうだ」
いきなりゴーレムはボジャックにパンチを撃って来た。
ボジャックの「超怪力」が発動しパンチを受け止めた。
「ぐぐ」
力比べになったが明らかにボジャックは押され跳ね飛ばされた。
「強い……」
ジェイニーは火炎を放った。
命中したものの反応がよくわからない。
「効いてるの?」
「生物じゃないから反応しないだけでダメージはあるはずだ! 動きは遅いから最初から飛ばすぞ!」
「地剣爆斬!」
「かえる跳び翔斬!」
「流麗なる剣の舞!」
ボジャック、ゾゾ、マリーディアはそれぞれ奥義を出した。
ボジャックはもう一種出した。
「猪猛牛猪突進!」
叫び突進し命中したが反応が今一だ。
マリーディアも「怒りの突進」を出した。
女神は言った。
「皆! 怪力に気を付けて!」
クラビはアンカーを投げゴーレムの足に巻き付けた。
「良し! 持ち上げてやる!」
女神は言った。
「クラビ無理しないで!」
しかしゴーレムの踏ん張りは想像以上だった。
「何て重さと力だ!」
ゴーレムが足を上げるとクラビは浮いた。
「あっ!」
クラビはゴーレムのパンチをまともに受け吹き飛ばされた。
女神は叫んだ。
「クラビ!」
クラビは歯を食いしばり立ち上がってきた。
女神は言った。
「ザーゴンやスタグラーと戦った時と同じ目になったわ!」
クラビの拳に力が集まる。
「うおおお!」
「『勇者の魂・怒りの鉄拳』か!」
これはまともにゴーレムに当たった。
しかし完全にダウンさせられずクラビが後方に吹き飛ばされた。
「まだまだ! こないだ試したあれだ!」
クラビが構えると手から火が出た。
「勇者の魂・火炎撃!」
ゴーレムに炎が浴びせられる。
クラビは火を浴びせ続ける。
ボジャックは叫んだ。
「クラビ無理するな!」
「だめだ、にわかだから火がもう出ない」
火はどんどん弱くなっていき、クラビは力を失う。
その間ゾゾは「高速移動」ですばやく回り込みかえる跳び翔斬を出すと今度は下に落ちた。
「かえる跳び翔斬&切り落とし!」
さらにボジャックは超怪力を発動させゴーレムの左足をつかんだ。
「今だクラビ!」
ダウンしたクラビは立ち上がり、アンカーでゴーレムの右足を引っかけるとついに倒れた。
「今しかチャンスはない!」
倒れて動けなくなったゴーレムを皆で突き、切り刻みようやく倒した。
「ひい!」
そして逃げ出したゲライバも捕らえ倒した。
「スタグラー達はどこだ!」
「知らない!」
結局その夜は寝る事が出来なかった。