ハイド邸宅にて これからの予定
2024年2月5日以下改稿しました。
皆、なれない高級椅子に深く緊張気味に座る。
ハイドは皆の緊張を解こうと優しく語りかけた。
ギャラリー、ホール、大きな光の入る窓、豪華な玄関、彫刻、じゅうたん、とびらの鍵、ワインセラー、花壇のある中庭、天井のガラス模様らはクレゴス家より豪華であった。
「こちらへ」
そしてすんなりハイド伯爵に謁見させてもらえた。
談話室であるサロンに案内される。
皆、なれない高級椅子に深く緊張気味に座る。
真剣に話をしたいがまだ少し硬い。
部屋の高級感と今の危機的状況が緊張感を上げる
ハイドは皆の緊張と真剣さを察して解こうと優しく語りかけた。
「君達は」
物腰穏やかそうな感じで話を聞いてくれる雰囲気があった。
やはりジェイニーのつては大きい。
「おそろいで、ジェイニー君と友達か」
「はい!」
「お父さんとは今度会いたい所だった」
「父も会いたいと申していました」
「ジェイニー君は旅をしているのか」
「はい、学校で将来大魔法使いになりたいため魔法を学んでいたのですが、皆の役に立ち一人前になれるよう父にも言われ皆と旅に出る事になりました」
「お父さんのような魔法使いになりたいと言っていたな。君は昔から努力家で行動的でパワフルだったな。だから旅へ出る事を即断出来たんだろう。貴族だからと甘えず常に自分を鍛えていたね」
「せ、積極的ではありますが失敗する事も結構あります。勢いで行動したりして。計画は立てますが計画が甘かったり、全体的にとっても不器用で。だから皆にいつも助けてもらわなければダメです。後サバイバルキャンプや運動部に入り自活力と根性を鍛えました」
そんなのやってたんだ……
とボジャックは思った。
「いい友達が出来たね。ところで今日来たのは」
クラビが真摯な態度で説明する。
「はい、実は、僕達の孤児院が買収されそうになってまして、三か月後に一千万払わないといけないんです。さらにこの人を嫁にすれば半分にしてやるとまで」
「ふーむ」
「で、僕達にはそんな金を三か月で用意する方法はありません。だから金を掘りたいんです」
「で新規に契約参入するという事かね?」
少し不安そうだった。
こんな子供ばかりで、という印象だ。
家臣は聞いた。
「ノウハウも設備もあるのですか」
「ないです」
ハイドは努めて分かりやすく言った。
「いや、金掘りなんて誰でも出来る事じゃないよ。君達は子供だから分からないだろう」
「駄目ですか」
「というか仕組み自体をよく分かっていないと思うんだ」
「でも、俺達は何とか孤児院を救いたいんです」
世間知らずだなあ、でも孤児院を救う気持ちが一途だ。と言う様な印象を受けた様だ。
「どうしても孤児院を救いたいかね」
「はい」
と皆強いまなざしで見つめた。
さらにクラビは女神の入った瓶を開けた。
「女神も言ってます」
「ええ‼️ 女神!」
これはかなりインパクトがあった。
「だだ契約を結ぶのに君たちはあまりに若い。パルマー君は知っているのか」
「父にはまだ言っていません」
ハイドは思いついた様に言った。
「ふーむ。では私から援助をしよう」
「えっ⁉」
「一つ仕事を頼まれてほしい、採掘場に現れる盗賊たちを倒して欲しい。そうしたらお礼をあげよう」
ボジャックは即答した。
「あの報酬は」
「二百万でどうかな」
クラビはお礼を言った。
「ありがとうございます、あの相談なのですが、現実的に僕達が一千万手に入れるのはどういう方法があると思いますか」
これは流石に考え込んだ。
「うーむ。普通に稼ぐのは無理かもしれん。となればよほどの地位のある者に立て替えてもらうしかないのではないか」
「……」
ハイドははっとして言った。
「地位のある者、そうだ、もし、もしもだよ? 君達が救国の英雄にでもなればその御礼として王様が孤児院に寄付してくれるかもしれん。あ、いやもしもだが」
クラビは驚いた。
「そ、それはすごい」
「えっ? たとえ話なんだけど」
「じゃあ敵軍を倒して王様に認められればあるいは」
「希望が見えて来たぞ」
「目的も一緒だしね」
皆ははしゃいだがハイドは心配した。
「でも三か月でそこまで強くなるのは」
ボジャックは言った。
「よし目標は定まった。でも目標に速く突っ走りすぎても駄目だ、地道な努力が必要だ」
「その通り」
ボジャックは続ける。
「例え目的地に速く移動できる手段があったとしてもそこで待っている敵がおれたちのレベルを超えてたら意味がないんだ」
「そう」
ボジャックはクラビがうなずくだけなのに若干苛立った。
ボジャックは引っ張った。
「だから目的地移動をしながらも経験とお金を地道に貯めながら行く」
「そうだな」
ボジャックはクラビに言った。
「ていうかお前がリーダーなんだからお前が引っ張ってくれ。うなずくだけじゃなくて」
クラビはぽかんとしている。
完全に他人事だ。
「俺がリーダー?」
「皆リーダーだと思ってたんだぜ。最初は地味だったけど」
クラビはきょとんとしている。
「皆が言ったん?」
「言った」
皆はクラビが自覚してくれるよう見つめ願った。
「何故俺が」
ボジャックは何故?と言うクラビに少し苛立った。
「何故? が何となく伝わる人だからじゃないか」
「……」
ボジャックは頼むように言った。
「俺が 引っ張るんじゃなくお前が引っ張ってくれ。俺が剣の腕をみがいたのはいつかお前の役に立つ為だったんだ」
マリーディアは言った。
「そうよね。皆良い所が伝わっていて理解している。強くリーダーシップは握らないけど」
クラビは自信なげに仕切った。
「じゃ、じゃあ、まず自分のレベルにあったモンスターを倒して少しずつ強くなろう」
「そうだな、それが過ぎると無理が大きくなる」
しかしその頃アンドレイ軍は既に動いていた。
そしてクラビも大きく変わらなければならない時に来ているのを知らなかった。