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第6話 渋谷ダンジョン、再開放

「うわ、やっぱりもう人が集まってるな。完全に出遅れた……」

「だから成長直後は朝から並ばないと駄目だって言ったじゃん!」


 そんな誰かの声が響いた渋谷ダンジョンのロビーにて、私はダンジョンの再開放を待つ行列の先頭に立っていた。


 手元のスマホで確認した今の時刻は、丁度12時30分。私がここで待機を初めてから、およそ10時間ちょっとと言ったところか。イヤホンで有名ダイバーの配信アーカイブを見まくっていたからバッテリーもそれなりに減ってきているが、新品だからかまだまだ余裕がある。


(とは言え30分なんて直ぐだしな……そろそろしまうか)

「──【ストレージ】」


 スマホをスリープモードにして、腕輪に収納する。

 周囲を見回せば今やロビーは大勢のダイバーで埋め尽くされており、先程の声の持ち主らしき二人組は人垣に遮られて顔も見えない有様だった。


(昨夜に『俺』からも話は聞いていたが、まさかここまでとは……魔族の特性を利用して深夜から並んだのは正解だったな)


 昨日は私のステータス情報を徹底的に隠す事を前提として、どんな配信を心掛けるかと言った諸々を『俺』と話し合い、大体の方針が定まった。

 そしてその後、翌日の……つまり今日のダンジョン再開放の話になり、初日は行列に並ぶ事になると『俺』から聞いた私は風呂を済ませた後に早速アパートを出たのだ。


 腕輪には一つだけ任意のダンジョンの入り口付近を転送先の座標として登録できる機能があり、私の腕輪にも当然この渋谷ダンジョン前ロビーが登録されているのだが、ダンジョンの成長直後の一日間はロビーの混雑が想定される為、一時的に該当座標への転送機能がロックされる。

 だから再開放日に探索するダイバーは、大抵電車やらタクシーやらでロビーに向かうらしいのだが……私は電車代をケチって徒歩で来た為、到着したのは家を出て数時間後の深夜2時だった。


 流石にこんな深夜ではまだ誰一人として待機している者はおらず、ロビーにやって来て早々『今から並んで良いですか?』と聞いた時は『再開放は13時からですよ!?』と受付の職員さんも驚いていた。話してみると、一応禁止されている訳ではないらしく『ロビーでの規則を守るなら』と言う条件の下で許可は貰えた為、ありがたく待機させて貰ったのだ。

 私以外に同じことをするダイバーがいないのは、きっと『ロビーでの飲食禁止』という規則がある為だろう。例えどれだけ強いダイバーでも、普通の人間は飯を食わないと力が出せないからな。ダンジョンと言う命のやり取りをする場所に向かう以上、そんなリスクは取らないという訳だ。私は魔族だから問題無かったが。


 そんなこんなで時間は過ぎて行き、今に至る。

 朝の6時頃からは予め食い溜めしてきたダイバーもちらほら行列に並び始め、正午を回った今ではテーマパークのアトラクション前のような曲がりくねった行列の最後尾はロビーの外にまで伸びようとしていた。


(こうして観察してみると、有名どころのダイバーも何人か居るな……)


 やっぱり有名になると収入が文字通り桁違いなんだろう。明らかに周囲とは装備の質が違うのが一目でわかる。

 昨日今日とスマホで軽く調べた程度でも高い評価を得ている防具や武器、更にダイバーとしてのキャラに合わせて外見に手を加えたオーダーメイド。中にはダンジョンからのみ入手できる希少な装備と思しき物まで……そのどれもが実力の証明。

 今回のトレジャー争奪戦で私の障害になり得るのは、彼等の様な実力者だ。顔を覚えておこう。


 ……なんて周囲に向けている以上の視線を、私は一身に受けていた。その原因として思い当たるのはたった一つ。


(やっぱり()()()()は怪しまれるか……でも、正体がバレるよりは全然良い。……よな?)


 今の私の姿は異世界の人間と日本人の中間……言うなれば、ハーフの様な顔立ちの青年となっており、更にその顔と全身をローブとフードで覆い隠している。

 姿を変えているのに顔を隠しているのは、万が一今の私に容姿が似た人がいた場合に迷惑が掛かりにくいようにと言う配慮だったが……完全に裏目に出ているようだ。私もある意味で自らの装備で注目の的になっていた。


「やっぱ初日はすげぇな……有名どころも勢揃いじゃねぇか」

「って言ってもいつもよりは少ないな。トップクランの中にも流石に成長のタイミングが急過ぎたせいで、予定を合わせられなかったって奴も多いらしいし」

「確かに『ラウンズ』も来てなさそうだしなぁ……」

「あそこはトップクランって言って良いのか? そりゃあリーダーはガチだけどさ」


 どうやら注目を集めているのは私だけではないらしく、直ぐに彼等の興味は逸れてくれたが……今でも人からじろじろ見られるとやっぱり緊張してしまう。こう言った視線にも早く慣れないとな。ダイバーとして活動を始めれば、注目度に関わらず全国に自分の姿を配信する事になるんだから。

 実際彼等の話題に上がっている有名ダイバー達はクランの仲間と何やら話し合ったり、スマホで時間を潰していたりと、まるで気にしていないと言った様子だ。


(『ウェーブダイバース』のクランリーダーである『OKA(オカ)サーファー』に、……『パッシブマッシブ』の精鋭メンバーはほぼ全員参加か。そして、当然『フロントライン』のクランメンバーも居るな……)


 パッと見て分かる有名な顔ぶれの中でも、特に実力があると言われているのは『フロントライン』と呼ばれるクランだが……彼等に関しては、私と目的が異なるだろうから警戒する必要はないだろう。

 彼等はトレジャーではなく、()()()()()を狙っているのだろうから。


(攻略最前線か……異世界には無い稼ぎ方だよなぁ)


 ここで待っている間に見ていたとあるアーカイブのコメントで知ったのだが、ダイバーの稼ぎ方には配信による広告料や投げ銭、モンスターを倒して入手した魔石やトレジャーの換金以外に、もう一つ()()()()()を得る方法がある。

 その方法と言うのが誰よりも未踏破ダンジョンの先を進み、『攻略最前線』とダイバー協会から認められる活躍をする事だ。


 ダンジョンから得られる稀少資源は、日本と言う『国』にとっても技術的・産業的に大きな恩恵を与える重要な物らしい。扱いとしては、レアメタルの様なものなのだろう。

 だからこそトレジャーは高額で換金して貰えるのだが、トレジャーはダンジョンの奥に進めば進むほど高品質の物が発見されるのだ。当然最深部で手に入るトレジャーともなれば、得られる資源の希少性と品質は浅層や上層とは比べ物にならない。

 『浅い階層で手に入るトレジャーで満足して貰っては困る』そう考えた政府は協会に働きかけ、ダイバー達が自主的に最深部を目指したくなるよう、最も攻略に精力的なダイバーに様々な報酬を与える事にしたと言う訳だ。


 そして昨日ダンジョンが成長するまでの十年以上、この『渋谷ダンジョン』の攻略最前線は『フロントライン』と言うクランが独占していた。

 二年と言う短いスパンでダンジョンが成長し、その度に探索進行度がリセットされるにも関わらずずっとだ。


「……なぁ、『フロントライン』が弱ってるって情報はマジなのか?」

「おう、何でも前回強引に最前線を死守する為にかなり無茶な探索をした所為で、回復アイテムの在庫をかなり消費したらしい。普通なら次のダンジョン成長までの二年間で回復アイテムを補填できるが、今回の成長はイレギュラーケースだ。アイツ等は今回、無茶は出来ねぇ……!」

「へへ……それなら奴等の最前線連続防衛記録も今回でリセットかもなぁ」


 だからなのだろうか。完全に逆恨みだと思うのだが、こう言う風に目の敵にしているクランも多いようなのだ。

 ダンジョンの再開放を待つ間、私の周囲で恐らく同じクランに所属しているダイバー達のひそひそ声に引き続き耳を傾ける。


「とにかく、今回が狙い目なのは間違いねぇ。他のクランもいつもより張り切ってたぜ」

(これは……私にとっては朗報かもな)


 この情報が真実だった場合、今回は最前線狙いのダイバーの比率が普段よりも大きいかも知れない。最前線よりもトレジャー優先の私にはありがたい事だ。


()()()()()()()()()()()()()()どもの本性、今日こそ暴いてやろうぜ」

「おう」

(インチキ……?)


 ふと気になるフレーズが彼等の口から飛び出したその時、ロビー中に職員の声が響く。


「間もなくダンジョンの開放時刻になります! ダイバーの皆様は怪我をしないよう、させないようご注意ください!」

「……ッ!」


 余計な思考を隅に追いやり、正面のダンジョン入口へ意識を集中させる。

 静まり返ったロビーに、時計の秒針が時を刻む音が響く。誰かがゴクリと喉を鳴らす音が聞こえる。

 私は正体を隠す為に目深にかぶったフードを、更に深くかぶった。

 

 ──そして、ついにその時は来た。

 

「13時になりました! 現時刻をもって、『渋谷ダンジョン』を再開放致します!」


 私の目の前で大きな駆動音と共にダンジョンの扉を抑えていた金属の柱が天井へと戻って行き、封じられていたダンジョンの金属扉がゆっくりと開き始める。

 途端、周囲の空気が変わるのを感じた。その瞬間、私は開きかけの金属扉の隙間に身を滑りこませ──


(【隠密】、【知覚強化】、【脚力強化】、【速度強化】!)


 同時に四つの魔法を並列発動し、機動力の強化を施すと共に姿を消す。後続のダイバーからは、私の姿がダンジョンの闇に一瞬にして溶けたように映った事だろう。

 それで良い。人の目に映りさえしなければ、私は遠慮なく力を発揮できる。

 

「な、アイツ消えたぞ!?」

「おい止まってんじゃねぇ! さっさと行けよ!」


 背後から揉めるような声が聞こえたが、私はそのまま止まる事無くダンジョンの入り口から坂道を下り、およそ一日ぶりに再びこの魔窟へと足を踏み入れた。


 ダンジョンの中の様子は成長前の物と然程変わらず、一見しただけでは自然の洞窟の様な雰囲気だ。

 しかし、明確に自然と違うところがある。それは……


(! 流石にダンジョン成長直後……早速ゴブリンとコボルトの混成集団がお出迎えか)


 まるで私を待ち構えていたかのように入り口付近に屯していたのは、数十匹からなる魔物の群れだった。

 緑色の肌に子供ほどの身長と頭脳を持ち、手に持った簡素なこん棒で人を襲う小鬼の魔物、ゴブリン。

 そして全体的には狂暴な面構えの大型犬が二足歩行している様な見た目だが、人間の様な五本指で細長く削った鍾乳石を槍のように構えた魔物がコボルトだ。

 コボルトの嗅覚は見た目通り犬並みだが、奴等の感覚は私の姿を捉えられていない。【隠密】の魔法により、視覚でも嗅覚でも私の存在を知覚できないからだ。


(全滅させるのは簡単だが、こちらから攻撃すれば自然と【隠密】も解ける。……だったら、こいつ等は他のダイバー達に任せよう)


 この程度の魔物に苦戦するようなレベルのダイバーは、あの場にいなかったし問題無いだろう。

 そう判断するが早いか、既に私は魔物の群れを飛び越えていた。その後数秒と経たずして、背後からダイバー達と魔物の群れが戦う音が聞こえ始める。


「くそっ、さっきの奴は何処に行った……!?」

(これで多少は足止めにもなるか……)


 この隙にせめて一つだけでもトレジャーを確保したい。それだけを考えながら一本道を駆けて直ぐ、入り口からほんの数十mの所で通路が左右に分かれているのが見えた。


(さて、早速道が分かれたが……)


 左側に伸びる道は僅かにではあるが下り坂。魔力の流れから考えても、こちらの方がより深くまで道が続いているのは間違いない。

 一方で右側に続く道はやや上り坂になっているようで、それだけでも恐らく最前線を目指すダイバーはこっちは選ばない。しかし──


(……微かに魔物の鳴き声。こっち()か!)


 私は【知覚強化】で研ぎ澄まされた聴覚を頼りに、迷わずそちらを選択して飛び込んだ。

 成長したばかりのダンジョンに於いて、魔物と言うのは一つの『指標』だ。魔物は基本的に魔力が集まったところで()()する。

 そしてトレジャーが出現するのもまた、ダンジョンの成長中に多くの魔力が集中した場所だ。

 即ちトレジャーの発生地点は、魔物の現出した場所の近くである可能性が高いのだ。


(もっともさっきの群れの傍にトレジャーが無かったように、この判別法も絶対ではないが……今回は──()()()()だ!)


 緩やかな坂道を暫く登ると、その傾斜は次第に平坦になり……やがて下降し始める。そしてその道の先には──


(ゴブリンが数十体と……トレジャー!)


 ダンジョンに於いてトレジャーの出現パターンはいくつかある。

 壁面や床面から露出した鉱石や宝石だったり、大量に自生した薬草だったり、或いは……今見つけた物のように、()()()()()()()()()()()


(──その『レイピア』いただき!)


 狙いを付けたのは、手作り感溢れるこん棒を持ったゴブリン達の中で唯一、美しい装飾が施されたレイピアを手にしている個体だ。恐らくは群れのリーダーだろう、他のゴブリンは奴を中心に周囲を警戒しているようだ。

 私は風のように対象のゴブリンへ接近するとレイピアを握った手を掴んで素早く捻り、柄を握る力が緩んだ瞬間に強奪する。そしてそのまま、奪ったレイピアでついさっきまでの持ち主──リーダーらしきゴブリンの喉を貫いた。


「……ッ!?」


 急所を穿たれたゴブリンは、何が起こったのかも理解しないままその身を塵に変える。そして『カラン』という音と共に、彼が先程までそこに居た事を示すように小さな魔石が転がった。


「ギッ……!? ゲギャッ!!」

「ゲギッ!? グギゲゲ!」

「ガギャギ!」


 こちらから攻撃をした事で【隠密】の魔法が解除され、姿を現した私へとゴブリン達の敵意が向くが、ゴブリンなんて駆け出しのダイバーでもちょっと疲れる程度の魔物だ。

 当然次の瞬間には全滅していた。


「ふ、ふふふ……!」


 手に握ったレイピアの装飾の美しさに、思わず笑みが零れる。


(美味しい……これは美味しすぎる!)


 何せこのレイピア……魔剣のような特別な物ではないが、見た目は実に優れている。

 柄頭(ポメル)から刃元(リカッソ)まで伸びたアーチ状の護拳(ナックルガード)は植物の蔓の様な装飾がなされており、根本から二又に分かれて(ガード)を覆い、刃元に緩く絡みついている。剣身(ブレイド)にも同様の蔓のレリーフが薄らと刻まれており、その全てが一つの金属から削り出したように継ぎ目無く繋がっている。それはまるで金属で出来たこの植物が自然物であるかのような不自然さ。

 人の手では到底作り出せないこの造形美と、武器として扱える強度としなやかさを併せ持っている……こう言った一品はダンジョンでしか手に入らない物なのだ。


(装飾も美しいし、武器としてだけでなくインテリアとしての価値も高そうだけど……)


 ピッと軽く振るだけで白銀の残光が軌跡を描き、構えれば持ち主にまで気品を感じさせるこの護拳付き柄(スウェプトヒルト)のデザインは一目見て気に入ってしまった。更に言えば、これは異世界知識だが『トレジャー武器に同じデザインは二つと生まれない』とまで言われているのだ。


(こう言った視覚的に映える装備は、ダイバーとして活動する際に大きなアドバンテージにもなる。これは換金せず、キープ一択だな)


 たった数分、それもゴブリンを蹴散らしただけでこの収穫……勿論こんな大当たりは滅多にないだろうが、それでもこんな逸品が手に入る可能性がまだまだあるのだ。

 上手くすればこの勢いで他の装備一式も──


──「おい、今の薬草、トレジャーじゃねぇのか!?」

──「くそっ、俺のモンだ!」

──「薬草なら群生地か!? せめて少しだけでも……!」


 ……まぁ、旨い話ばかりじゃないよな。遠くから聞こえた声に溜息を零す。

 少々長く見惚れ過ぎたな。魔物の群れを蹴散らしたダイバー達も既に追い付き、探索を開始しているようだ。

 しかもどうやら先程の分かれ道、左のルートに進んでもトレジャーがあったらしい。それも、一番目立つ薬草の群生地。

 まぁ、私が到着する頃には一本も残っていないだろうな。


(早速予定が崩れたが……まあ良い、私が得た物に比べれば薬草の一つや二つくらい──っ、足音!? こっちにも来たか!)

「【ストレージ】」


 背後から近づく物音に気付いた私は、早速獲得したレイピアと周囲に散らばる魔石を素早く集め、腕輪に収納した。

 魔物はとある理由から倒すと肉体が塵のように消えてしまうのだが、その際に彼等の核となっていた魔力が結晶化する。それを『魔石』と呼び、ダイバー協会の受付で換金できるのだ。

 トレジャーのように高値でとは勿論行かないし、ゴブリンの物だから一つ数百円程度のお小遣いにしかならないが、それでもダイバーの安定した収入源の一つ。拾っておいて損はない。


(──みたいな事を『ダイバー初心者向け! ダンジョンでの稼ぎ方!』と言う動画で、某ゆっくりしていそうな饅頭が言っていたからな)


 そんな事を思い返している間にも、足音は直ぐ傍に迫ってきている。そろそろ坂を登り切り、私の姿が視認できる辺りだろう。

 私は念の為に捲れかかっていたフードを深くかぶり直すと振り返り、足音の主達へと声をかけた。


「こっちは見ての通り行き止まりみたいだよ。『僕』は急いで戻るから、君達もそうした方が良い」

「くそ! こっちはハズレか……!」

「いや、今の()が見落としてる鉱石とかがまだあるかも知れねぇ! 探すぞ!」

「く……! 可能性が少しでもあるのなら!」


 【変身魔法】で声を変え、キザっぽい青年の声で語り掛けながら彼等と擦れ違う。

 雰囲気からして、彼等は数人のダイバーでチームを組んだパーティーの様だ。

 年長者と見られる20代前半程の斧使いの男性がリーダーシップを取っており、一番若い中学生程の槍使いの少年まで一定間隔でバラバラの年齢の4人で構成されている。顔立ちがどこか似ている辺り、兄弟なのかも知れないな。


 しかし彼等は私の助言を無視して、念の為に奥を確認するようだ。

 確かに私もあのレイピアに目を奪われていたから、もしかすると何か見落としてたりするかも知れないが……まぁ、十中八九無いだろう。

 だが私には態々それを伝えに戻るような義理は無い。

 私は彼等の方を振り返る事無く足早に分かれ道まで戻り、左側のルートへ進んだダイバー達の後を追い始めた。




「──うおおおっ!」

「──やったぜアニキィ!」


 ……何か後ろの方から歓声が聞こえた気がするが、きっと気のせいだ。そう言う事にしとこう。

トレジャーの売却額について

装備品→最も高く売れやすい。理由は市場に出回る事自体が稀少である為。

    大抵のダイバーは獲得した装備の性能を鑑定した後、自分が使える装備であれば勿論手元に残すのだが、そうでなかった場合も手放さないダイバーは多い。

    ダイバーをクランに勧誘する場合や、他クランとの交渉等に使うカードとして優秀である為だ。


鉱石→装備品の次に高く売れやすい。

薬草→最も安く売れやすい。理由としては、大抵の薬草は既に人工的な栽培に成功している為である。

   ただし、完全に未発見の新種。或いは栽培に成功していない品種であった場合はその限りではない。特に病の特効薬としての効能が見込まれた場合、装備品よりも遥かに高く売れる可能性がある。

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