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第42話 騒動の結末。そして……

突然ですが、三ヶ月飛びます

ダイバー総合スレ 20XX年 2月分 Part 3


793:名無しのダイバー ID:+42GdMqDX

エンドの裁判の判決出たな


797:名無しのダイバー ID:RgpQNPz+L

逮捕からもう3ヶ月か…フロントラインとかもう懐かしく感じるな


801:名無しのダイバー ID:Xpv0iE3Fx

ニュースで見たわ。余罪の数にドン引きや…


805:名無しのダイバー ID:AvmcsVmhu

あれだけやっても極刑にはならんのな


812:名無しのダイバー ID:75R8Z2OxJ

>>805

魔物をけしかけるだけじゃ殺人未遂にならないって判例あるからなぁ

ただ犯罪教唆の罪状が積み重なっての無期懲役は残当


813:名無しのダイバー ID:yasQjC799

って言うか、エンドの本名って『遠藤灰司』だったのなw


817:名無しのダイバー ID:oyMc/H02E

>>813

それなw

アナウンサーが『ダイバー名「エンド」こと、「遠藤灰司」容疑者の裁判が~』って読んだの聞いてテレビ二度見したわw


818:名無しのダイバー ID:brx9EcqNp

>>812

他の幹部連中も皆懲役刑の実刑判決だっけ?フロントラインは実質消滅やな


831:名無しのダイバー ID:+42GdMqDX

>>818

情状酌量付いたのなんて一部の下っ端くらいだしな

そいつらも軒並みクラン脱退してるからマジで消えた


833:名無しのダイバー ID:VZ76oX3WV

仕事終わりに覗いてみたらやっぱり話題はアイツの裁判一色っぽいな


835:名無しのダイバー ID:RgpQNPz+L

>>833

しごおつ

さっきニュースに流れたからな。意外性は無いけど仕方なし


839:名無しのダイバー ID:VZ76oX3WV

今回の騒動で渋谷ダンジョン気になってきたから渋谷の探索配信見たいんだけど誰おすすめ?


847:名無しのダイバー ID:AvmcsVmhu

>>839

今の渋谷ならオーマ=ヴィオレットかな。最近は中層でスキル集めがメインだったけど、次回もう下層行くんだってさ…


861:名無しのダイバー ID:brx9EcqNp

あれ?オーマ=ヴィオレットって確かデビューして一ヶ月経たずに中層ダイバーになってたよな?

最近まで下層の入り口見つけてなかったんか?


873:名無しのダイバー ID:G2ikHp/NB

>>861

いや下層の入り口は見つけたんだけど、安全に探索する為の準備期間だったのよ

…知ってるか?「今はまだ準備が必要だと思うので、下層行きは見送ります」

って言ったんだぜ?あのオーマ=ヴィオレットがさ…


877:名無しのダイバー ID:GbZu29gvP

>>873

成長感じてあの瞬間涙出たよね


878:名無しのダイバー ID:RgpQNPz+L

>>873

でも次の配信で下層行くんだよなぁ…


881:名無しのダイバー ID:yasQjC799

>>877

大袈裟過ぎだろwww


885:名無しのダイバー ID:eeMmdpBSl

>>878

それな。まさかハルバートが戻って来るより早く下層に突入するとは思わんかった…


889:名無しのダイバー ID:GbZu29gvP

ヴィオレットちゃん知らんのかな…

他ダンジョンの下層ダイバーが渋谷の下層に行ったけど、ものの見事に返り討ちに遭って全員地元に撤退してったって話…

アイツ等が渋谷ダンジョンの下層は下層なんてもんじゃないって言ってたんだけど…


902:名無しのダイバー ID:brx9EcqNp

>>889

渋谷ダンジョン(未踏破ダンジョン)がヤバいんじゃなくて、地方ダンジョン(踏破済みダンジョン)がぬるいだけなんだよなぁ…

中層の辺りで気付かんかったのか?


904:名無しのダイバー ID:Xpv0iE3Fx

>>889

俺もその話まとめ動画で見たわ

アークミノタウロスと春葉アトの戦闘が参考映像として流れた所為でアトネキがバケモン呼ばわりされてたw


906:名無しのダイバー ID:yy474Vt+p

>>904

まーた異名増えたのかあの人…


909:名無しのダイバー ID:PLeMBDK7D

>>904

それでヴィオレットちゃんの配信アーカイブの再生回数が爆増してたのか

今見たらフロントライン崩壊回の再生数エグイ事になってたぞw


914:名無しのダイバー ID:9ixEVqNAL

>>909

アト様の全力大暴れが見られる唯一のアーカイブだからな…


917:名無しのダイバー ID:VufS/pVxz

アトネキって言えば、

最近のヴィオレットちゃんって探索中に他のダイバーを助けたり、しっかり準備を整えたりとアトネキの影響受けてる気がするの俺だけ?


921:名無しのダイバー ID:Lc8DnXs2e

>>917

ヴィオレットと交流あるダイバーって配信見る限りだと春葉アトくらいだしなぁ

影響受けるとしたらそこしかないだろうな


932:名無しのダイバー ID:AvmcsVmhu

>>921

アトさんが居ない間、その役割を継いだんや…………って思ってたんだけどなぁ…(次回、下層)


937:名無しのダイバー ID:PLeMBDK7D

>>921

アトヴィオの絆てぇてぇ…………って思ってたんだけどなぁ…(次回、下層)


938:名無しのダイバー ID:Lc8DnXs2e

春葉アトがこのタイミングで配信枠立ててたけどタイトル草


942:名無しのダイバー ID:MfY4MoMu7

>>938

『【謹慎中!】ダンジョン行けないので『ラウンズ・サーガ/タクティクス』実況します!【Part1】』

エンドの事ガン無視で草ァ!


948:名無しのダイバー ID:eeMmdpBSl

>>942

謹慎の原因だから触れないのは正解だけど流石に草


949:名無しのダイバー ID:MfY4MoMu7

最近ずっとラウンズ・サーガのゲーム実況してるよな


955:名無しのダイバー ID:9ixEVqNAL

半年間はダンジョンに潜れないんだっけ?

ダイバー資格剥奪まで行かなくて良かった


958:名無しのダイバー ID:yy474Vt+p

>>955

収益化も一時的に剥奪されたけどな

配信はラウンズ・サーガ布教の為に続けてる


961:名無しのダイバー ID:eeMmdpBSl

原作は乙女ゲーだから流石にノータッチだけどスピンオフは普通に面白そうなんだよな…


967:名無しのダイバー ID:L5lcWJK6r

>>961

最近アトさんの影響でアニメ見たけど普通に展開熱くて嵌まったわ


974:名無しのダイバー ID:Lc8DnXs2e

>>967

布教成功してて草



【ダイバー板】魔族令嬢オーマ=ヴィオレットについて語るスレ 四十一層目


20:名無しのダイバー ID:iTIrfpX8l

次の土曜はいよいよ下層か…


23:名無しのダイバー ID:gM7m+wpru

まさかヴィオレットちゃんが欲しがってたのが【細剣の心得】だったとは思わんかったな


25:名無しのダイバー ID:njiEZcQ5i

以前ヴィオレットのジョブが何なのか考えてた時にチラッと言ってたやつ居ったけど

ヴィオレットの心得系スキルはやっぱり【エンチャントの心得】みたいなものだったんだろうな


26:名無しのダイバー ID:iTIrfpX8l

そう言えばアレから結構立つけど結局ヴィオレットちゃんのジョブって答え合わせされてないままだな


29:名無しのダイバー ID:nJ0axRyRa

>>26

あったなそんなの…すっかり忘れてたわ

まぁ言うてシンプルに魔剣士とかじゃないの?


31:名無しのダイバー ID:/oO/ukGI7

>>29

それどころじゃない事件が立て続けに起きてたからな…

って言っても今度の配信は下層に突入するっぽいし、また触れるタイミングを逃したか


34:名無しのダイバー ID:iTIrfpX8l

でも本当に大丈夫なのかね…下層ってあの時のアークミノタウロスみたいな奴がゴロゴロしてるんだろ?


38:名無しのダイバー ID:gM7m+wpru

>>34

ヴィオレットちゃんでダメだったら今の渋谷ダンジョンで下層潜れる奴居らんで

すっかり現渋谷ダンジョンの最強格に入ってるし


44:名無しのダイバー ID:rP9ikcJJc

最強になるの早すぎんだろ…


46:名無しのダイバー ID:7gAS0Okw9

>>38

知名度も切り抜きとかまとめ動画で爆増したし、もう名実ともに上位ダイバーの一人や


50:名無しのダイバー ID:7d4w2Fb/G

これまでのオーマ=ヴィオレット

1.正体不明の新ジョブでデビュー

2.応用力が高い新スキル持ち

3.浅層に現れたゴブリンコマンダーを単騎撃破

4.デビューから一ヶ月経たずに中層ダイバーになる

5.『4』から三ヶ月ほどで渋谷ダンジョンの最強格に入る


53:名無しのダイバー ID:s5OBBEw6L

>>50

ダイバーズドリームの贅沢セットかよ…



 ──掲示板がそんな賑わいを見せる、その数日前の日曜日。

 一人の少女が、スマホにてとあるダイバーの配信を見ていた。


『──ハッ!』

『ギュキィィィィッ!!』


 そのダイバー──オーマ=ヴィオレットの突き出したローレル・レイピアがダンジョンワームの腹に深々と食い込み、彼女の持つパッシブスキル【細剣の心得】が【エンチャント・ヒート】と共鳴して纏う炎が爆発的に膨れ上がる。

 その炎はダンジョンワームの体内を忽ち蹂躙し、絶叫を上げるその口からも溢れ出した。

 三ヶ月程前はカラーボール等のアイテムを使ってダメージを稼ぐ必要があったダンジョンワームだったが、今の彼女にとってはこの通り【エンチャント・ヒート】さえ使えば安定して一撃で狩れる魔物になっていた。


『ふぅ……、大丈夫でしたか?』

『あ、ああ……すまねぇ、助かった!』


 オーマ=ヴィオレットはレイピアに付いた塵をピッと払って、それと同時にエンチャントを解除。そして彼女が振り返るとそこには、左腕に白い糸がギプスのように纏わりついたダイバーの男性が居た。

 彼女は先程ダンジョンワームに追われていたこのダイバーを発見したのだが、彼の左腕はその時からこの状態だった。コメント欄の推理ではどうやらトラップスパイダーの処理は出来たのだが、糸を取り除く前にダンジョンワームの標的になってしまったのだろうと言う事だった。

 探索の途中でそんな彼を見かけた彼女は咄嗟の判断でダンジョンワームの前に躍り出て、今しがた彼を助け出したと言う訳だ。


 カッコいい……オーマ=ヴィオレットの配信を見る少女は、心からそう思う。

 少女から見れば映像のオーマ=ヴィオレットはまさにヒーローその物で、クラスの男子がダイバーに憧れる気持ちが分かった気がした。


『ふむ……ちょっと左腕をこちらに出して下さい』

『え? あ、ああそうか。何から何までスマンな……』

『お気になさらず……──っと、これで解きやすくなったと思いますよ』

『……正直もう駄目かと思ったよ、ありがとう』

『いえいえ、お互い魔物に気を付けて行きましょう!』


 彼女が男性ダイバーの腕輪を封じている糸にレイピアで切り込みを入れてあげると、程なくして糸は解れ、男性は安堵のため息を漏らす。

 そんなやり取りを交わして別れた後、暫くして──


『……ふっ、今のは結構ベテランダイバーっぽかったんじゃないですか?』

〔そういうとこやぞ〕

〔その一言さえなければなぁ…〕


 先程の様子から一変してそんな事を得意気な表情で言うヴィオレットの姿は、少女にしてみれば休日や昼休みに談笑する友人のような親しみやすさに映った。

 だからこそ少女は思ってしまう。『憧れるヒーロー』であり、『親近感の湧く友人』……そんな彼女のように……


(──彼女のようなダイバーに、私もなりたい!)

〔ヴィオレットさん!どうすれば私もヴィオレットさんみたいなダイバーになれますか?〕

〔↑お前の憬れる対象は本当にそれで良いのか!?〕


 心の向くままについ打ち込んだそのコメントは、他のコメントに弄られながらも幸か不幸かオーマ=ヴィオレットの目に留まる。そして……


『私のようにですか? うーん……ジョブやスキルの関係もありますから、私と同じようなダイバーになる可能性は低いと思います』

(うっ……やっぱりそうだよね……)

『でも、目標を持って努力すれば「誰よりも強いダイバー」にだってなれる可能性はあると思いますよ。誰にだって!』

(そっか……! そうだよね! ヴィオレットさんも()()()()()()()()()()()こんなに強くなれたんだから!)

〔分かりました!がんばります!〕


 『思い立ったが吉日』そう言わんばかりに少女は駆けだした。休日と言う事もあり、リビングでのんびりテレビを見ていた彼女の父親の元に。


「──お父さん! 私、ダイバーになってみたい!」

「はっ!? ダイバーって……お前、まだ高一じゃないか!」

「ダイバーに年齢は関係無いよ! 私と同じくらいの年の子もダイバーやってるんだよ!」

「そ……そうは言ってもなぁ……危ないだろ。やっぱり」

「大丈夫だって、腕輪だってあるんだし。それに、私も戦えない訳じゃないじゃん」

「う、うーん……」


 元々娘に甘く、押しにも弱かった父は、少女の説得に押し切られる事になる。

 勿論彼もただ押し切られただけではなく、一応それなりの考えはあった。その一つが少女も言ったように、彼女は決して『戦えない訳じゃない』と言う事。

 リビングの壁にかけられた無数の表彰状と、棚に飾られた数々のトロフィーの輝きが彼の判断を曇らせてしまったのだ。

 そしてもう一つの考えは……


(元々飽きっぽい子だし、浅層の探索中に気も変わるだろう)


 突発的に何かに興味を持ち、直ぐにそれに飽きるのは少女の常だった。

 現代の日本ではダイバーに憧れるのは珍しい事ではないし、浅層までなら比較的危険は無いと言うイメージも強い。

 加えて父親である彼自身もかつてはダイバーとしてダンジョンに潜った経験があり、『浅層くらいなら問題無いか』と言う意識があったのだ。


 ……考えもしなかっただろう。

 平々凡々な戦績でダイバーとしての大成を諦めた自身の娘に、まさかとんでもない素質が眠っている事なんて。

 そして彼女が近い将来……いや、ほんの数日後に、渋谷ダンジョンで騒動の中心に立つ事になるなんて、この時は誰にも想像できていなかったのだ。

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