無情なる散華
今月の投稿となります。
今回のシーンは……少々日本人として書くのは複雑でした。
しかし、こんなことも実際に過去にあったのだろうと思いつつ、当時は書いたものです。
――西暦1750年 6月5日 ワスパニート王国国境 内陸部600km地点
蟻皇国軍南部方面派遣軍は、先遣隊からの連絡が途絶えてしまったことで足踏みを強いられていた。
元々補給をするためとどまっていたのだが、先遣隊からの定期報告が途絶えてしまったことと、日本が設置した多数の障害物と罠によって、この場所に釘付け状態となっていたのだった。
道を進もうにも瓦礫や大木が道を塞いでいては通ることができず、仕方ないので工兵隊に爆破・除去をさせながら少しずつ道を切り開いている状態だ。
もっとも、深い穴や森の中に仕掛けられたブービートラップなど、『子供の悪戯じゃねぇんだぞ』と言いたくなるようなネタに引っかかる兵も多く、作業は遅々として進んでいないのが現状だが。
しかも、森の中には伐採によって住処を追われた猛獣や毒虫などがうじゃうじゃと湧くように生息しているため、それらにも注意を払わないといけないこともあり兵たちのストレスは極限状態に達しつつあった。
仕方ないので、車両牽引式の歩兵砲などを持ち出して、障害物を大雑把に爆破してから細かい物を除去した方が、効率がよさそうだと実行している最中でもある。
また、落とし穴やブービートラップ、地雷などは地面を棒や銃剣でバサバサと叩くという、非常に原始的な手段を使って探らなければならないため、兵のストレスと同時に疲労も尋常ではない状態となっていた。
ついでに、そのままではすぐ物資が尽きてしまいそうなので現在本土に補給を要請しているところでもあった。
こんな形で、日本の遅滞作戦は想像以上に成功しているのだった。
南部方面派遣軍司令官を任じられた鴻蒋涜は、7万近い部隊を足踏みさせておかなければならない状況に唸っていた。
「なにかがおかしい……我々が戦っているのは本当に蛮族なのか……? 日本という国の強さを、軍本部はなにか勘違いしているのではないだろうか……」
彼の視線の先には、対空警戒を行なっている『紅旗1号』が見える。
この車両は元々軽歩兵砲を牽引する車両に2cmの高射機関砲を搭載したものだ。
ミリタリーマニアが見れば、ドイツの『2cm高射砲搭載1t牽引車車台(Sd.Kfz.10/4)に似ていると感じるだろうその車両は、機銃には滅法打たれ強いと評判の剣魚を数発当てるだけで破壊できる兵器ということで注目されている。
元々古い時代の複葉機というのは木製の胴体に帆布張りのものが多く、ちょっとした機銃程度であればちょっとやそっとの被弾では墜ちなかったのだ。
というのも、帆布の翼はちょっとやそっとの穴が空いた程度では揚力を失わず、胴体に当たったとしてもパイロットやエンジンに直接命中させなければ飛行機の胴体を破壊する、或いは飛行能力を喪失させることは難しかったのだ。
全金属製の機体が現れると小口径の機銃は更に通じにくくなるため、20mm以上の機関砲や、末期になるとジェット機などが30mmの機関砲を搭載するなど、段々と大口径化が進められることになる。
それはさておき、現在の蟻皇国ではこの高射砲を機関砲という形でより高度に連射可能にし、航空機に搭載できないかという研究の最中だ。
もしこれが成立すれば、これまで射程数百mもあるかどうかの7.62mm機銃が関の山だった艦艇の対空防御も、大幅に能力が向上することになる。
さらに陸軍で研究を進めているのが、高射砲を大口径化することで大型になりつつある輸送機や爆撃機も撃墜できるのではないか、という考えであった。
また、この高射砲は水平状態にすることで対戦車攻撃にも用いることができるようにすることが求められている。
口径は8.8cm、日本人からすれば『88mm高射砲』のようなモノも作ろうとしているようだ。
これはイエティスク帝国も実用化しているらしく、追い越したい蟻皇国としては、研究開発を急がれる兵器の1つである。
他にも『Ⅱ号戦車』モドキこと『黄河Ⅱ型戦車』と、その前身である『黄河Ⅰ型戦車』の車体を改造した自走砲も多数警戒に当たっている。
これまた日本人が見れば、『Ⅰ号戦車B型 4.7cm対戦車砲』や、『Ⅰ号戦車B型 15cm33式重歩兵砲搭載型』に酷似した自走砲が見られる。
鴻は様々な車両が動き回る様子を見て、一息入れようと烏龍茶を部下から受け取りながら呟いた。
「まぁ、これほどの戦力が集まっているのなら、そう簡単にやられはすまい……お、美味いなこのお茶」
――ズズズズズズ……
「申し上げます‼南方より接近する機影あり! 数は15! 速すぎます‼」
「ブフォーッ!?」
「せっかく淹れたお茶がーっ!?」
だが、慌てても仕方がない。
「ゲホ、ゲホッ……た、直ちに高射砲、対空機関銃部隊を全部隊配置し、敵を迎撃せよっ‼」
「りょ、了解‼」
――ウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ‼
最近開発された警戒を基地及び部隊全員に共有するための警戒機がけたたましく鳴り響くと、兵たちは各持ち場へと付く。
中には、オープントップの車両にマキシム機関銃のような機銃を搭載して構えている者もいる。
「どうだ日本め……この防空網を敗れるものならば破ってみよ‼」
鴻は自信ありげに構えているが、その内心では不安が渦巻いていた。
なにせ、数だけでは相当の規模を誇り、質も世界基準で上位に食い込む蟻皇国の先遣隊3万人を滅したというのだから、不安になってもおかしくはない。
「来たぞーっ‼」
監視兵の叫びと共に兵たちが銃の引き金に手を掛けて身構える。
だが……
――ゴオオォォォォォォォォォッ……
「む、なんの音……」
直後、密集していた蟻皇国軍の前から鉋で削り取るかのように爆発が巻き起こり、次々と兵が吹き飛ばされていった。
――ドパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパッ‼
「な、な、な、なにが起こったぁっ⁉」
だが、鴻はこの状況を見て、先遣隊が連絡もなく消息を絶った理由に一瞬で思い当たった。
「ま、まさか……これほどの攻撃を飛行機でもたらすことができるというのか!? そんな馬鹿な‼ いったいどれだけの大重量爆弾を、どんな信管を仕込んで、さらに真下に向かって大爆発するように仕掛けられているのだぁっ‼」
「しょ、将軍! ここは危険です‼早く装甲車両の中に‼」
「う、うむ!」
鴻は急いで指揮用の『黄河Ⅱ型』の中に入るが、その間も爆発は続く。
永遠に続くのではないかと思われた時間も、あっという間に終わりを告げた。
「……終わった、のか?」
外へ出た者たちは、眼前に広がる光景を見て愕然とした。
「な、な……」
「こんな……バカな……」
それまで誇らしげに上空を向いていた高射砲や機関銃はその大半が使い物にならないほど破壊されており、元々薄い装甲しか持ち合わせていない軽戦車やオープントップの自走砲も大半の乗員がズタズタになっているという有様であった。
兵員も少なく見積もって2万人以上が死亡、1万人以上が負傷しているように見える。
「な……こ、こんな……バカな……」
「嘘、だろう……?」
たった1度の攻撃で上がるような戦果ではない。
少なくとも、蟻皇国基準でこれほどの戦果を出そうと思えば、圧倒的な数の歩兵砲、榴弾砲を用意し、さらに航空攻撃が加わる必要があるだろう。
それも、相手からはそれなりに見える範囲である。
もし今の航空機からの爆撃が日本のものだとすれば、ありえないと言っていいほどに技術が離れている可能性すらある。
「ほ、本部に早く通信をつなげ‼」
「こ、鴻大将!」
「なんだ!」
兵士の指は、南の空を指していた。
「あ、あっちからデカい奴が!」
「なにっ!?」
見れば、先ほど一瞬見えたプロペラのない飛行機とは違い、大きなプロペラが4つ付いた超大型の飛行機(あくまで蟻皇国人から見れば)が、こちらに迫ってきていた。
「まさか……あれほどの攻撃が前座でしかないというのかぁっ!?」
蟻皇国軍の絶望はまだ終わらない。
日本国航空自衛隊近接航空支援隊所属、『ACー3』彗星は、『Fー6』疾風が一撃を与えた蟻皇国軍に対して追撃を加えるべく飛行していた。
ちなみに、この『ACー3』の翼下パイロンには国境基地に到着するまでは、日本が『Fー6』用に新開発した超大型増槽が取り付けられており、航続距離の大幅な延伸が成されている。
国境基地を飛び立つ際には増槽の代わりに『LJDAM』が合計2発装備されていた。
一撃自体は大したことはないが、敵に更なる混乱を与えたところでダメ押しの追撃を加えるのが目的である。
機体の左部分には52口径105mmライフル砲と、ボフォース40mm単装機関砲、さらに20mm多銃身機関砲が火を噴く時を今か今かと待ちわびている。
1号機の機長で今回の攻撃隊の隊長を任された高田1等空佐は、近付いてきた敵陣を見ながら、ゆっくりと左旋回を始める。
それからわずか5秒後、敵残存部隊が105mmライフル砲の射程に入った。
「攻撃を開始せよ。繰り返す、攻撃を開始せよ」
操縦士がそれを英語で復唱する。
『Atack Start.Onemore,Atack Start』
別に深い意味はそれほどないのだが、強いて言えば相手に無線傍受の技術があった場合に備えて、である。
この世界の人間はなぜか皆日本語を話すので、日本語以外はどうなのかと試したところ、全く通じないことが明らかになっていた。
なので、重要な通信などは英語、フランス語、マニアックな者ではドイツ語、ロシア語などで話す訓練がされるようになっていた。
思わぬ形での語学学習の復活であった。
胴体の105mmライフル砲の砲尾では、装填手を担当する宮坂2等空曹が、自分の仕事はまだか、まだかと待ち構えていた。
先輩で砲手として狙いを定めている河野1等空曹が宮坂を見る。
「焦るな宮坂。訓練通り、的確に仕事をすればいい」
「はいっ!」
宮坂はアメリカ大陸出身の熊耳族であった。熊耳族はオーク族などと並んで非常に強い腕力を誇るため、自衛隊式マニュアルに乗っ取って鍛えたことで、非常に高い装填能力を得ることができた。
「今だっ‼ 攻撃開始っ‼」
――ダンッ‼
105mmライフル砲から放たれた榴弾は地上に到達する寸前で近接信管が発動し、地上に猛烈な爆炎と破片の雨をもたらした。
「機関砲、発射用意よし!」
「てーっ!」
――ドドドドドドドドドドドドッ‼
連続で発射された40mm機関砲は曳光弾を交えて飛翔し、徹甲弾と榴弾を混ぜた多種多様な弾を次々と撃ちだして行く。
徹甲弾は敵の装甲車両を撃ち抜き、榴弾は近接信管の破裂によって周囲の敵を吹き飛ばす。
そしてさらに近づくと20mm多銃身機関砲も火を噴き始めるため、地上はもはや花火が連続して炸裂しているかのような状態に陥っていた。
そんな状態が2時間も続いたことで、蟻皇国軍はその数を大幅に減じることとなった。
5機もの『ACー3』が放つ砲弾、機関砲弾の威力は凄まじく、残存部隊である4万人弱のうち、3万人以上が吹き飛ばされて還らぬ人となったのだった。
「こちら1号機、間もなく残弾ゼロとなる。他どうだ?」
『こちら2号機、同じく残弾僅か』
『3号機同じく』
『4号機続く』
『5号機同様』
本来『ACー3』は『Cー130』を参考にしているため、多大なる搭載量と航続距離を誇る。
しかし、熱帯に近い場所における運用実績に乏しかったことから不調が出ることを恐れた上層部により、2時間ほどで撃ち尽くす弾薬量に制限させられていたのだ。
そうでなければ、数時間以上上空に張り付いて支援することも可能であった。
高田は残弾僅かの報告を受けて、帰投することを決定する。
『全機、これより帰投する。我に続け』
『『『『『了解』』』』』
猛攻を加えた『ACー3』5機は、南の空へと飛び去っていったのだった。
一方、蟻皇国軍ではなんと驚くことに鴻蒋涜がまだ存命していた。
しかし、無傷とはいかなかった。
先ほど着弾した105mmライフル砲の榴弾の爆発に巻き込まれて、右腕を吹き飛ばされてしまったのだ。
「鴻大将!」
「今お手当てを。衛生兵‼ 衛生兵‼」
だが、呼んでもまるで来る様子がない。
それもそのはずで、そのほとんどが今の攻撃で吹き飛ばされてしまっており、駆け付けることができる者がまるでいなかったのだ。
「ど、どうなっているんだっ‼」
「日本国があんなに巨大な飛行機を製造する技術があるなんて聞いてないぞっ‼」
兵士の1人がそう言いながら自分の軍服の袖を千切り、鴻の腕に巻き付ける。
「ヌウゥ……す、すまんな……」
「大将、撤退するべきと具申します‼」
「そうです! このままでは全滅しかねません‼ もしここで日本軍の追撃を受けようものならば……陸軍であろうと空軍であろうと、全滅です‼」
鴻もここまでくればわかっていた。
日本の能力は、自分たちを遥かに……手も足も出ないほどに上回るものだと。
しかし、なんの戦果も挙げずに引き返したとあっては、皇帝の名のもとに反逆罪で処刑されることは間違いないだろう。
自分だけならば責任を取る形なのでいいかもしれないが、その累積が一族や部下にまで及ぶような形にでもなろうものならば、目も当てられない。
しかし、だからと言ってこのまま進もうモノならば、間違いなく全滅する。
日本があれほどの大型飛行機を実用化しているということは、剣魚も及ばない高高度からの偵察も可能だということが考えられる。
場合によってはそれにより補給線を完全に断たれる恐れすらある。
先ほどの猛攻が補給部隊に降り注ごうものならば、申し訳程度の対空砲火ではまるで意味をなさないだろう。
「撤退は……できないッ……‼」
兵士たちが絶望に満ちた表情を浮かべるが、鴻はそれでも言わなければならない立場にある。
「いいか……我らはかつて赤蟻族と黒蟻族との戦いに勝利し、大国土を制した茶蟻族である……そんな我らが……敵に一撃を与えることもなく撤兵するようなことになれば……イエティスク帝国は好機とばかりに我が国を狙うであろう‼」
その言葉に皇国兵たちは震えあがった。
頑強なオーガ族と、寒さに強いミノタウロス族が支配するイエティスク帝国の強さは別格であり、今の蟻皇国では損害を多少与えることはできるだろうが、どう足掻いても勝ち目などない。
自分たちが弱気な姿勢を見せれば、それが軍全体に伝播して取り返しのつかないことになるかもしれない……鴻はそのように考えたのだ。
「大将……」
「私1人でも日本軍に特攻し、一撃を見舞ってくれよう! 勇気と、国を想う心ある者だけ付いてこい……」
鴻はサーベルを支えに立ち上がると、よろよろとした足取りながら南の方へと歩き始めた。
そして、そんな指揮官の姿勢を見た兵士たちもまた、覚悟を決めた。
「鴻大将をお1人で行かせるなっ‼」
「鴻大将をお守りしろっ‼」
「お供いたしますっ‼」
「誰か、無事な荷車を持ってこいっ‼」
たちまち鴻蒋涜の周りには数千を超える兵士が集まり、無事だった車両を含めて一部隊を形成するのだった。
そんな光景を、15km離れた森の中から見つめる影があった。
「マジかよ……兵士を鼓舞して死地に赴かせやがる……」
「昔のご先祖様方も、こんな気持ちだったのかな?」
それは、偵察用ドローンからの映像を見ていた陸上自衛隊の偵察部隊であった。
彼らは周辺の猛獣や毒虫をワスパニート王国の協力も得てほとんど駆除しており、蟻皇国軍と比較すると安全に見張りや偵察をすることができていた。
そんな彼らが飛ばしていた偵察用ドローンから送られてきた情報は、彼らを緊張させるには十分すぎた。
それでも、その人数は1万人には及ばないように見える。
「これならば、残存の『10式戦車』と『16式機動戦闘車』で片づけられるだろうな。俺たちは情報を回して撤収だ」
「了解」
ゴブリン族や犬耳族などの森の中での動きに長けた隊員たちが渡した情報は、素早く残りの部隊に通知される。
それを受けて、道にばらまいた瓦礫に偽装した『10式戦車』や『16式機動戦闘車』が、次々とエンジンを始動させて迎撃態勢を整えるのだった。
一方、残存蟻皇国軍は鴻蒋涜を荷車に乗せて、ゆっくりとではあるが行進を続けていた。
鴻は痛々しい姿ながらもまだ指揮をとり続けている。
その傍らには、こちらは擦り傷と切り傷だけという奇跡的な状態の参謀が歩いていた。
「敵の……姿は?」
「今のところ確認できませんね。少なくとも、森に潜んでいるという確率は低いかと思われます。日本国がどれほどワスパニート王国の協力を得ているのかは知りませんが……猛獣や毒虫に襲われやすくなるという確率の高さを考えると、別のところに配置されていると考えられます」
「確かにな……お前ならば……今の我が軍をどう攻める?」
「そうですね……そもそもの正面打撃力が大幅に下がっておりますので、戦車や装甲車を前面に押し立てて強引な攻勢に出てくるということも……日本国の戦車がどれほど高性能なのかは知りませんが、もしも噂通り100mm以上の口径の大砲を搭載しているのであれば……その榴弾の破壊力たるや、凄まじいことになるでしょう」
すると、最前列を歩いて哨戒していた兵が声を上げた。
「前方に障害物多数……え?」
「ど、どうしたっ……」
「あれは……高射砲みたいな筒……ま、まさか‼」
哨戒兵は急いで後ろを向いて大声を上げた。
「戦車ですっ‼ 40t以上はあろうかという重戦車と、超巨大な装輪を8つも装備した戦車のような兵器が目の前にっ‼」
鴻は歯噛みした。どうやら、敵は自分たちの動きを完全に読んでいるらしい、と確信を持ってしまったのだ。
「もはやこれまでか……全軍突撃! 蟻皇国の……列強国の意地という奴を見せつけてやれーっ‼」
「畜生‼ 突撃―ッ‼」
「蟻皇国バンザアアアイッ‼」
「皇帝陛下バンザアアアアアアァァァァァイッ‼」
奇声を上げながら迫ってくる皇国兵に対して、迎撃する自衛隊側はどこまでも冷静だった。
「各車、榴弾装填。射撃用意……撃てっ‼」
――ダダダダンッ‼ ダンダンダンッ‼
――ドバババババアアァァンッ‼ ドバンッ‼ ドババババンッ‼
しかし、それでも皇国兵は止まらなかった。
「突っ込めえええええぇぇぇぇぇぇぇッ‼」
「日本国めえええぇぇぇぇぇぇぇッ‼」
「バンザアアアイッ‼」
さらに各車両に搭載されている『M2ブローニング重機関銃』と『同軸7.62mm機関銃』を一斉掃射し、残存兵力を一気に削った。
そして、それでも止まらなかった最後の1千人ほどは、後方に控えていた『87式自走高射機関砲』と、装甲車の陰から出てきた陸上自衛隊員の小銃による一斉射撃で討ち取られていったのだった。
ここに、蟻皇国軍は陸軍の7分の1を喪失することになる。
次回は9月の3日か4日に投稿しようと思います。