第二次フィリップ島沖海戦
今月1話目となります。
遂に……遂に戦艦が船に対して砲を撃ちます‼……『別に戦艦でなくてもいいだろう』というツッコミは無しで、どうか一つ。
『むさし』の圧倒的な力、とくとご覧ください……。
日本の偵察機が飛び去ってから30分以上が過ぎた。
蟻皇国南方派遣艦隊では、先ほど飛来した偵察機により自分たちの居場所は敵に露見しているであろうということが想定できていた。
なので、敵も既に行動半径に入っているだろうと仮定して敵の偵察機が飛び去った方角に何度も偵察機を送り込んだ。
しかし……
「どうだ、第一次偵察隊の報告は?」
『剣魚型戦闘機』の偵察型は、速度が戦闘機より速くなるように機銃を後部旋回機銃のみにしており、機銃とその弾薬の分だけ軽量化しているため、速力のわずかな増加に加えて航続距離が延びている。
しかし、そんな偵察隊の報告は、まだ上がっていなかった。
「なぜ未だに報告がない……敵は我々が想像しているより遠くから偵察機を送り込んだというのか?」
「まさか、と言いたいところですが……先ほどの偵察機の速度を考えますと、『ありえない』と一笑に付すのは早計かと存じます」
「そう、だな。無線は届くか?」
「まだギリギリ届くかと」
「そうか……では、一言添えよ。『無理はするな』とな」
偵察隊だからとて無理な行動をさせて墜落させてしまうようでは、指揮官の無能が露呈してしまう。
なので、『無理をするな』と言ったのだ。
「はっ。直ちに打電します」
通信士が素早く偵察隊に打電するが、超はなぜか冷や汗が止まらなかった。
「……何事も起こらねば良いのだが」
「司令、弱気を起こしてはなりません。我らは東の海の覇者となる蟻皇国海軍なのですから」
「……そう、だな。ありがとう、劉艦長」
「いえいえ。気難しい娘を相手にすることを考えれば、大したことではありませんよ」
「そういえば、お主の娘、間もなく誕生日ではなかったか?」
劉と呼ばれた『定遠』の艦長は、懐から白黒の写真を取り出した。
「はい。生意気なところも多い娘ではありますが……やはり、我が子なのでしょうな。可愛くて仕方がありませんよ。帰ったら、ちゃんと誕生日を祝ってやらないと……」
劉は訓練で部下から『鬼の劉艦長』と言われるほどに厳しい人物だという評判だったが、家族のこととなるととても優しい顔をする男であった。
だが、そんな彼らに危機が迫っていることなど、誰にも分からなかった。
日本国海上自衛隊所属砲撃護衛艦、『むさし』は、距離200kmを切った時点で既に敵をレーダーで捉えていた。
「五十嵐艦長、もう間もなくレーダー誘導砲弾の射程に入ります」
「まだ試験を終えたばかり……しかも、動く物体に対しては初めての試みだからな……」
「対地目標はGPS誘導砲弾で、動く目標にはレーダー誘導砲弾で、っていう住み分けになるってことなんですよね……まぁ、これなら大概の船は1発で撃沈できるでしょう」
「大概の、どころか日本の30万t級タンカーだろうが、かつての戦艦大和だって一撃で真っ二つだぞ、たぶん」
「そんな話、誰から聞いたんですか?」
「装備庁のお偉いさんだよ」
「ひえぇ……」
レーダー誘導砲弾とは、これまでのGPS誘導砲弾とは異なる、『セミアクティブ誘導砲弾』といった兵器である。
というか、ほぼ大砲から発射されるミサイルなのだが。
1tを超える46cm砲弾であったからこそロケットの噴射機能などを搭載することができたのだが、以前にも構想が存在した『ラムジェットエンジンの噴射機構』に尾部破裂機構によって出現する『推力変更ノズル』を用いてレーダー波の修正を受けながら行く先を変更するという、破壊力の凄まじい巡航ミサイルのような兵器である。
すると、レーダー観測員が立ち上がった。
「艦長、優先目標は空母でよろしいですね?」
「うむ。まずは空母を叩き、その後で戦艦を全て叩く。弩級、前弩級の順番にな」
『やまと』型砲撃護衛艦を除けば、現代の艦船は第二次大戦時の船と比べてしまうと紙装甲である。
なので、最も脅威度の高い航空機を擁する空母を真っ先に潰し、その後一番の火力を持つ戦艦を叩くという順番になるのだ。
砲弾の自動装填装置には日本が考え出した最新鋭のモノが使われているため、1分間に2発発射することができる。
重量1tを超える46cm砲弾を、1分間に2発である。
『バカじゃねぇの日本人』と思うかもしれないが、その点はこだわりにこだわった結果だ。
そんな主砲が、艦前部に2基6門存在する。
それが意味することすなわち『6門で交互に発射すれば』の話だが、合計1分間に12発、つまりは5秒に1発の46cm砲弾が空を舞うことになる。
対水上誘導に関しても、日本の優れた電子機器により同時に16まで同時誘導可能である。
もう一度言おう。
『バカじゃねぇの日本人』と思うかもしれないが、その点はこだわりにこだわった結果だ。
断じて、宇宙戦艦ヤ○トの見過ぎではない。
「総員、第一種戦闘配置につけ‼ レーダー誘導砲弾、発射用意‼」
「了解。目標、敵艦隊後方の空母8隻‼」
「第一主砲、第二主砲、連続発射準備!」
「甲板上の乗員は、直ちに艦内に退避せよ‼」
現代の軍艦では有事になると基本的に艦内にいるものなのだが、そこは形にこだわる海上自衛隊なので、この放送は『当然』のモノとして流されるのである。
「主砲、発射準備よし」
「甲板上に人員なし」
目の前の空中スクリーンには、巨大な主砲塔が旋回している姿が映っている。
この空中投影型スクリーンも、最新鋭の装備だ。
もはやSF作品のような兵器になりつつあるが、時代が追い付いてきた、
「さて。彼女自慢の主砲を実戦で……しかも対艦戦闘での初披露と行くか」
「この『むさし』の主砲の威力、伊達ではないですからね」
五十嵐は何も知らずに逝くことになるであろう異世界の、異国の兵士たちに祈りを捧げつつ、カッと目を見開いた。
「撃ちぃ方始めぇ‼」
「撃ちぃ方始めぇ‼」
――ズバァァァァァァアンッ‼
第二次大戦の頃に比べて少ない炸薬量で九一式徹甲弾に近い、いやそれより高い破壊力を持たせるため、防衛装備庁と関係する民間企業が苦心の末に作り出した、『25式徹甲弾』が、遂に異界の空へと飛翔していった。
砲弾は音速より遅くなるかどうかというタイミングでラムジェットエンジンに点火し、さらに加速・飛翔を始める。
え、黎明期レベルの空母に46cm砲の徹甲弾はオーバーキルじゃないかって?
ご安心を。
日本人特有の職人技で作られた鋭敏な信管により、触れて貫いたという瞬間に炸裂するようになっている代物なのだ。
逆に、戦艦などの装甲が厚い存在に対してはその信管を調整して中に飛び込むであろうタイミングで破裂させるのだが。
これらも電子機器による計算技術が発達していなければ到底難しかったであろうモノばかりである。
故に、こう言わせてもらおう。
日本企業の技術は、世界一だとッ‼……
その頃、自分たちが既に魔神の眼に囚われており、その腕から放たれた破壊の一撃が迫っていることなど露も知らない蟻皇国艦隊は、相変わらず巡行速度である10ノットで進んでいた。
「超司令、間もなく昼食のお時間ですよ」
「なに? もうそんな時間か? こうして海を眺めていると、やたらと時間が経つのが早く感じられるな」
「いいことではありませんか。司令、ここは私が引き受けますので、ごゆっくり食事をお楽しみください」
「む。では頼むとしようかな」
超が艦長の劉に司令官代理を任せて、参謀を連れて奥へと引っ込んでいく。
蟻皇国は昔から料理に関してはとても凝っており、こればかりはグランドラゴ王国はもちろんのこと、イエティスク帝国よりも上だという誇りがあるほどであった。
「やれやれ……司令も大変だろうな。今回のフィリップ島侵攻は軍部の一部が随分と強く皇帝陛下に働きかけたというが……あまりに性急な話だったから準備は少々厳しかったぞ」
「しかし、そんな司令たちを支えるのが我々なのでは?」
副長の言葉に、思わず『その通りだ』と言ってニコリと微笑んだ劉であった。
「さて、と。もう既にワスパニート王国の領海には入っているはずだが……連中、なにもしてこないな」
「まだ我々を発見していないだけではないですかね?」
「ふむ……そうかもしれんがな」
劉艦長は、どうしても違和感がぬぐえなかった。
今回のフィリップ島侵攻のきっかけとなった、『フィリップ島沖海戦』において、皇国の駆逐艦3隻がワスパニート王国の軍艦によって継戦能力を奪われて拿捕された、と聞いていた。
他の者は『奪われたなら奪い返してやればいい』と激しく息巻いていたが、劉や一部の人間は違った。
そもそも、駆逐艦は装甲がないに等しい……つまり防御力が薄いので、下手に攻撃すると弾薬に誘爆してその場で大爆発の末に真っ二つになって轟沈などということも珍しくない。
加えて駆逐艦はその小型さと船体の細さ故に、バランスを保つのが難しく、外洋での航行にはあまり向かないが、海の状態が『凪』ならばかなりの高速を出すことができる。
戦艦はもちろん、巡洋艦ですら追いつけない快速で戦場を走り回り、敵の目を潰したり撹乱したりすることが駆逐艦の役目であった。
故に、『敵戦力駆逐戦闘艦』、略して『駆逐艦』と呼ばれているのである。
その駆逐艦を『撃沈』するならばまだしも、経戦能力を奪った挙句に『拿捕した』という。
しかも、偵察任務に出していた3隻全てが、だ。
本来であれば、2隻がおとりになっている間に1隻が最大船速を発揮してその海域を離脱する、という方法も取れたはずだ。
だが、結果は3隻全てが拿捕されていた。
3隻のうち2隻が旧式で、どちらかというと敵地での訓練を想定していただけに新兵も多く指示が行き届かなかったのかもしれないが、それにしても3隻全てが拿捕されるというのは尋常ではない。
おかげで彼らが本来の任務で持って帰ってくるはずだった情報に加えて、ワスパニート王国の最新鋭軍艦の戦闘能力に関する情報という大事なネタが全く不明のままという状態になってしまった。
劉は、ワスパニート王国がこれまでのような容易く片付くような相手ではないと考える、数少ない皇国人であった。
「まぁ、フィリップ島と引き換えに3隻の駆逐艦を取り戻せれば安いものかもしれないがな。情報は千金に値する価値がある」
「そうですね。本当になにがあったのか……」
――ォォォォォォォォ……‼
「ん? なんの音だ?」
「え?」
劉は空気を震わせるようなその音を聞き逃さなかった。
副長は聞こえていなかったようだが、劉の耳にはしっかり届いていた。
「なにかが……飛んでくる!」
その直後だった。
――ズドオオォォォォォォォォンンッ……‼
後方から凄まじい爆音が響いたので、後方に繋がる伝声管に大声を張り上げた。
「なにがあったぁぁっ‼」
『く、空母山東、轟沈っ‼』
「は!? さ、山東が!?」
――ヒュルルルルルルルルルッ……‼
笛のような音が響いたと思った直後、またも後方から大爆発が起きた。
『く、空母広東、轟沈! あっ!』
「どうした‼ 今度はなんだ‼」
『空母が……空母が次々と炎を上げて真っ二つになっていきます‼ なんで……どうしてこんなことにっ‼』
見張り員の絶叫と共に、後方から連続した爆発音が響く。
まだ国内でも貴重で、8隻しか存在しない遼寧級航空母艦が、艦載機を発艦させる間もなく沈んでいく。
「い、いったいどこから攻撃が……どこにも敵の姿は見えないぞ‼」
「偵察隊からも報告はありません‼」
もちろん今の技術で作れる航空機の成せることなど、戦艦に200kgから300kgほどの爆弾を落として砲を破壊する、あるいは乗員を殺傷するのが関の山であるので、大勢に影響はないと言える。
しかし、それによって戦闘能力を削がれた敵と、ピンピンしている無傷の敵と当たるのとでは訳が違う。
さらに航空機が進化し、空母も大型化すれば搭載できる爆弾も大型化し、いずれは戦艦を沈める航空機が現れるかもしれない、とまで言われている未来ある存在が、なにもできずに沈められていく。
そして、残酷な現実が付きつけられた。
『ぜ、全空母撃沈……直掩隊32機と、偵察に出ているのであろう8機を除き、全ての航空機が水の底に沈みました……』
「な、そんな……バカな……」
航空戦力で残っているのは、空母1.5隻分の航空機のみ。しかも、爆撃などを想定していなかった直掩隊と偵察隊で、どちらも敵にたどり着く前に燃料が尽きる可能性の方が高い。
「こ、このままでは……」
「空母が沈んだというのは本当かっ‼」
奥から大きな声がしたので振り返ると、超孔惇が参謀を伴って艦橋まで戻ってきていた。
よく見れば、口元にはソースらしいものが付着しているので、食事中にとるものもとりあえずと言わんばかりに駆け付けたのだろう。
「し、司令! 申し訳ございません。状況は一切不明でございます‼ わかっておりますことは、いずこかより飛来した敵の攻撃により空母が全艦撃沈されてしまいました‼ 残存航空隊は直掩の32機と、偵察に出ている8機だけとなってしまいました‼」
劉は素早く、現在把握できている状況を適切に超司令に報告した。
「なっ。は、発艦の間もなく全てが!?」
「はい。全艦撃沈でございます」
超は唖然としながらも、どうやって敵が攻撃してきたのか、そして今後どうするべきかをすぐに考え出した。
「もしや……先ほどの偵察機は囮?」
「お、囮ですか?」
「うむ。その間にどこかから……そう、肉眼では見えぬ超空からなんらかの方法で巨大な爆弾を誘導した、とか……」
「なんらかの方法とは……」
「それが分かれば苦労せぬ!……ただ、先史文明解析班から、『光を放ち爆弾を落下地点まで誘導する』方法があるという話は聞いたことがある。もしやそれやもしれぬぞ‼」
要するに、『レーザー誘導爆弾』の考え方である。
「直掩隊に、上がれる限り上がって敵を捜索するように伝えますっ‼」
「頼むぞ‼」
劉がすぐに直掩隊に無線をつなごうとした……その時だった。
――ヒュルルルルルルルルルッ……‼
「ま、また落ちてきたっ!?」
「落ち着け‼ 装甲がないに等しい空母ならともかく、戦艦が簡単に沈むか‼航空機に搭載できる爆弾の数と重さは限られている! まさかいきなりこの旗艦に落ちてきて、その一撃だけで戦艦の弾薬庫に引火して沈むなどという奇跡もそうあるまい!」
その直後、一瞬艦が揺れたと思った瞬間、大爆発と共に超を含めた艦橋要員のみならず、戦艦『定遠』に乗艦している乗組員のほとんどが吹き飛ばされた。
30.5cm連装砲を搭載していて、その砲弾に耐える程度の防御しか施していない弩級戦艦の装甲では、ほぼ真上から突っ込んできた46cm砲弾……地球に存在した超弩級戦艦の装甲すらも一撃でぶち抜くような存在に、耐えることは不可能であった。
そして、5秒で1隻が、次々と沈んでいく。
最初は『定遠級戦艦』から、それが全て沈むと『遼遠級戦艦』が、それも沈むと『楊威級装甲巡洋艦』が、といった具合にだ。
もはや艦隊は陣形もへったくれもなく、どこからともなく飛んでくる『なにか』を避けようとバラバラに航行していた。
だが、そうなると味方同士だからこその悲劇も起こる。
「おいおい! 避けろ避けろ‼ う、うわぁぁぁぁっ‼」
――ガンッ‼ グシャァァァァッ……‼
いわゆる、船同士の衝突であった。
今の破壊音は、蛇行していた駆逐艦に装甲巡洋艦の1隻が突っ込んでしまったのだ。
中央部付近に装甲巡洋艦の衝角が命中した駆逐艦は、命中箇所から真っ二つに折れるとそのまま乗組員と共に沈んでいく。
日本でも最上型軽巡洋艦の衝突など、そういったことで失われた、あるいは損傷した艦というものは少なくない。
ましてこの艦隊は総勢100隻を超える大艦隊(と言ってもその半数近くが既に海の藻屑と化したわけだが)である。
色々な船が『どこから来るか全く読めない攻撃』を避けようと思えば、自然とこうなる船が2、3隻以上は出るのだ。
まして、まだ近代艦隊と言っても戦術が接近戦での大砲による殴り合いを主体としている明治末期から大正時代レベルの艦隊であれば、船同士の距離もかなり近い。
そして船というものは急いで曲がろうとしても急には曲がれない。
なので、上空ばかりを気にしているとこういうことも起こりえるのだ。
そして、そう言っている間に無限とも思える時間が過ぎていくと、遂に最後の軽巡洋艦が大爆発を起こした。
もはや蟻皇国に残されたのは、50隻と少しの駆逐艦と揚陸艦だけであった。
「ど、どうする‼ この戦力ではいくらなんでもフィリップ島の攻略など難しいのではないのか!?」
「しかし、このまま引き下がるわけにも!」
「あの攻撃とて無限ではない! ここで引き下がっては死んだ者たちに顔向けできぬぞ‼」
駆逐艦の艦長たちは短波無線で連絡を取り合うものの、元々駆逐艦の艦長程度で判断できる事案ではないため、それぞれが勝手な主張をするばかりで実りのある議論になっていない。
そして……遂にその破壊をもたらした存在が姿を現した。
「前方に艦影確認! 距離25km‼」
水平線の彼方だが、マストの上に立っていた目のいい見張り員が見つけたようだ。
艦橋の艦長たちにもすぐにそれは伝えられ、皆で双眼鏡を覗きこむ。
段々と大きくなる艦影は、異様なほどに巨大に見えた。
「……もしやあの船、我々の知る船よりはるかに大きいのか?」
近づけども近づけども輪郭が大きくなるばかりで、一向に近づく気配がないことから、その正体を薄々だが察する者もいた。
船に乗る者たちの背中に、冷や汗がツツッ、と流れる。
「えぇい、我らは蟻皇国海軍南方派遣艦隊の一員! たとえ死して屍を海に晒すことになろうとも、敵前逃亡はあり得ぬのだっ‼」
駆逐艦隊の暫定司令となってしまった駆逐艦『重慶』の艦長である王宗遁はそう叫び、全艦隊に命じる。
「全艦突撃! あの大鯨の横っ腹に速射砲をぶち込んで穴をあけてやれっ‼」
駆逐艦隊は増速し、敵に向かって突っ込む。
だが、敵の船もなにもせずに見ているわけではなかった。
敵の船が煙と爆炎に包まれる度に、こちらの駆逐艦が先頭から徐々に、徐々に削られていく。
――ガアアアァァァァァァァンンッ‼
その威力の凄まじさは筆舌にし難く、神の怒りではないかと思わされるほどであった。
「おのれえええええぇぇぇぇぇっ‼ 化け物めえええええええええええぇっ‼」
駆逐艦『重慶』は、命中した46cm砲弾により木端微塵に吹き飛ばされ、この世からわずかな部品を残して消え去った。
駆逐艦も、そして揚陸艦も全て倒されたことにより、この戦い……『第二次フィリップ沖海戦』は、日本国海上自衛隊所属砲撃護衛艦『むさし』の圧倒的なる勝利によって終わったのだった。
見るも無残な、圧倒的な勝利でした。
次回は5月の7日、8日ごろに投稿しようと思います。
2作目の『転生特典に艦隊もらったけど、クセのあるやつばっかり‼』も連載を開始しました。
どうか、よろしくお願いいたします。
それと、実は息抜きにpixivでもある小説を投稿し始めました。
もし興味があれば『笠三和大 pixiv』と検索してみてください。私のページにその作品が載っておりますので。
あっ、ちなみにR-18という年齢制限がありますので、あしからず。
あまり詳細な情報については……自分の目で確かめてみてください。