プロローグ
Previously on YazinTensei(前回までの野人転生は)
「知らない天井だ」
「誰が新種のゴブリンじゃい!」
「村長達がゴブリンさんが寝てる間にゴブリンさんを殺してホブゴブリンの討伐料と素材を自分達の物にするって話してたのを聞いてしまったんです」
「は……マジですか」
「マジです」
俺は結局、全裸で森に逃げこむしかなかった。
村娘から危険を知らされた俺は、ワイルドな村人から逃げるため、全裸で森に逃げ込んだ。
意識を失っている間に村へ運ばれた。そのため現在地がわからない。俺は一旦、ホブゴブリンと戦った場所まで戻ることにした。
痕跡をたどり、戦いの跡地へと向かう。踏み散らかされ、血を吸った地面が見えた。間違いない、俺がホブゴブリンと戦った場所だ。
ここからなら拠点への道が分かる。怪我で軋む体に鞭打ち、何とか拠点まで帰ってきた。木の洞を利用した、俺の気に入っているタイプの拠点だ。
すぐにでも横になりたかったが、拠点を燻蒸する必要がある。
火を
ベッド代わりに、クッション性の木の枝を組んだ骨組みに大き目の葉っぱを乗せた手製のベッドを作る。このベッドをしっかりと
寝床は特に虫除けをする必要がある。野人生活中にどの木が一番虫が嫌がるのかテスト済みだ。一番効果がある木を使っている。多少、匂いはキツイが背に腹は代えられない。
煙が目立たないように、住処のある木の上に枝と葉っぱを組んで作った簡易フィルターを数層用意してある。此処を通る間に煙は目立たなくなり、外から見つかりにくくなるのだ。
昔、読んだサバイバル本の内容と、ゴ〇ゴ13で主人公がやっていた方法を自分なりに組み合わせて、進化させている。拠点を作り周りを探索し、新たな拠点候補が見つかれば移動して拠点を作る。
そうやって、慎重に移動してきた。拠点作りはお手の物だ。作るたびに少しずつ洗練されている。
拠点に適した場所がなく、ツタで体を縛り木の上で寝る。そういう状況も少なくなかった。レベルアップで頑強になった肉体がなければ耐えられなかっただろう。
拠点に残しておいたスパイシー干し肉を齧りながら、煙が消えるのを待った。
デカイ鹿もどきの膀胱から作った水筒がなくなったので、水の補給が不便だ。竹でも生えてたら楽だったのに。木のツタで作ったロープに木の板をくくり付け鳴子もどきを仕掛ける。
入り口を岩でふさぎ、木や落ち葉を使い入り口を偽装して漸く一息ついた。ベッドに倒れこみ、横になる。村からはそれなりに距離がある。
俺を殺すために、ゴブリンの徘徊する危険な森の中を探索し、村から離れたこの拠点を探し当てる。その可能性は低いだろう。
俺は目を閉じ傷を癒すことにした。俺を殺そうとした村人に対する、ほの暗い怒りを腹の中に抱えたまま眠りについた。
目が覚めた俺は柔軟体操をしながら怪我をチェックする。ホブゴブに噛まれた傷は化膿もせず順調に回復しているようだ。怪我に効くこのスーッとする葉っぱを薬草と名付けよう。
干し肉を齧りながら、果実、激辛トウガラシ、薬草などを採取しながら動物の痕跡を探す。泥で匂いを消せないので、風下からの探索になり効率が悪い。
動物の痕跡が見つからなかったので、今日はあきらめることにする。もう一つの必需品を作ることにした。そう、
ぶらんぶらんして、太股にペチンペチンとワイのビッグボーイが当たってうっとうしいんや! ああ、嘘だよ。小さいよ。ビッグボーイどころかリトルキッドだよ、ぐすん。
たとえリトルキッドでも文明人として丸出しは恥ずかしい。文明的な生活を目指して
まずは材料の確保だ、繊維質の木を探す。レベルアップによる肉体強化で細い木ぐらいなら簡単に折れる。怪我をしていても問題はない。
「えいしゃおらー」
俺が
樹皮を剥がし荒い外皮から内皮を剥がす。股間はデリケートなので柔らかい内皮を直接触れる部分に使用するのだ。
外皮と内皮を
内皮を帯状に裂き、腰の周りを一周させる。結び目を作り、多少サイズ調整ができるようにする。この腰周りに、ベルト状に巻いた内皮に引っ掛けるように内皮をかけ結んでいく。
内皮で全体を二重に覆った後、頑丈な外皮を内皮の間に差し込みながら結んでいく。外皮で全体を覆えば完成である。
しかし、今日の俺はいつもと違う。この世界が俺に文明的な暮らしをさせないのなら、自力で文明的な暮らしをしてみせる。
内皮を細長く裂いた物を二本用意する。指で時計回りにねじりながら反時計周りに二本を巻き付ける。
こうすることで、お互いが戻ろうとする力がかみ合って
紐を編み込みながら模様を作るのだ。複雑な模様は作れないが、森の中で見た綺麗だと思った花の模様を編み込みで作っていく。
多少いびつながら花を象った編み込みができた。これを
もう野人からは卒業である。
怪我が癒えるまでは、激しい狩りやゴブリンを倒してのレベル上げはできない。干し肉やドライフルーツを消費しながら、無理せず傷を癒そう。