少女と聖句と巻き煙草
グロ、ゾンビ、何ソレ美味しいの?
薄暗い部屋があった。古びて埃が積もった電灯が一つぶら下がる小さな部屋だ。地面も壁もコンクリートがむき出しで、いくつかの段ボールが放置されている以外には、中央に置かれた椅子の他に大凡家具と呼べる物は存在していなかった。
その椅子も粗末なパイプ椅子で、パイプ部分には錆が浮き、座面のクッションは褪色して所々でスポンジを覗かせている廃棄寸前という有様だ。
そして、貧相な椅子に縄で縛り付けられている人間は同様に目も当てられない状態にあった。
顔は血の気が失せて蒼白を通り越して土気色に染まり、見ていて哀れみを感じさせる程に震えに憑かれた男だ。世辞にも真面目そうとは呼べない、だぼついたファッションの彼は、弾を撃ち込まれて止血は成されたが未だに血が滲み続ける自身の右腕を血走った目で見つめていた。
何とも同情を誘う様ではあるが、しかして斯様な感慨を抱く人間は同席者には全く以て皆無であった。この部屋に居るのは僅かに三人であるが、その全てが表情を異にしたまま凍てついた視線を注いでいる。
「ご苦労だったな」
椅子に拘束された男、その前に仁王立ちになり鋭い目線で睨め付けていた壮年の男性が視線を外さぬままにそういった。無論、目の前で哀れっぽく震えている男にかけた台詞ではない。
「ま、別にこれくらいはね。チャカ持ち出した時は気が狂ったのかと思ったけど」
軽く節を付けるような調子で答えたのは入り口の鉄扉にもたれ掛かり、右手でニューナンブを弄んでいる少女だった。
その少女は大凡外見から逆算するのが難しいしなやかな長身を扉に預け、体躯に不釣り合いな子供っぽさを宿した顔に普段通りの笑みを貼り付けている。
トリガーガードの円環に指先を引っかけ、細やかに手を翻しながら小柄なリボルバーを弄ぶ姿は正しく玩具で遊ぶ子供のそれだ。海外の血統が混じった少女の手は平均的な同年代の物に比べて大分大きく、ただでさえ小さいニューナンブは正しく玩具にしか映らない。
しかし、一度撃針が落ちれば鋼の暴威を音速にて吐き出す兵器なのだ。例えどれだけコンパクトでチープな外見をしていたとしても。
皆からおやっさんと呼ばれる壮年男性の隣に立つ野戦服の自衛官は、それを見とがめるような目線を送って御そうと試みるが、少女は笑顔を崩さず止める事は無い。
まるで虚空を舞う蝶のようにリボルバーは軽やかに回る。少女は時折指先を弾くように跳ね上げて銃を飛ばし、重力に惹かれて落下してきた銃のトリガーガードに再び指を引っかけ、落下の慣性を用いて回転させ始める。手つきには全く危なげは無いが、見ているだけで冷や冷やする光景であった。
「あ、弾は抜いてあるからー」
厳しい目つきを崩さない若い自衛官に向かって少女は言うが、そういう問題ではないと彼は怒鳴りたかっただろう。貴重な備品で遊ぶな、内心を埋めるのはそれだけだ。
暴発しないとはいえ、ニューナンブは剛性に自信の持てる機種ではない。取り落として地上1.数メーターから落下した場合、何処かしらの破損は免れないだろう。もしもそれが機構部であった場合、メンテナンスしたとしても再び使えるようになる望みは薄かった。何故なら、言うまでも無く予備部品が欠乏しているからだ。
どれだけ整備に通じた人間が居たとしても、部品が無ければ修理はできない。拳銃のような精密機器なら尚更で、代替品ででっち上げる事も適わない。状況から判断するに、もっと丁寧に扱うべきなのだ。
「おい、あんまり遊ぶな。うっかりで取り落として壊したらどうする」
呆れたように吐息し、頭を振りながらおやっさんが少女を窘める。流石に直接言われると気が咎めるのか、少女は素直に返事をしてニューナンブを一度高々と跳ね上げた後、グリップをつかみ取ると懐へねじ込んだ。
後で戻しとけよ、という声にも大人しく返事をする。元より、少女の手には小さすぎて扱いづらいのだ、必要でも無いのに手元に置いておくつもりは最初から無かった。
「で、どーすんの?」
懐にある何れのポケットが一番座り具合が良いかを探りながら、少女は実にあっけらかんと問うた。この場合のどうする、とは言うまでも無く椅子に縛り付けられた男の処遇だ。
彼の震えが増し、股間から湯気が立ち上った。既に失禁して濡れていた場所が更に水気を増し、黄色く小さな水たまりを床に作っていく。
情けないと思いながらも、彼は失禁も震えも止める事は出来なかった。何よりも恐ろしかったのだ、自分の進退を、何処に古雑誌を捨てれば良いか? とでも言うような気軽さで問うて来る目の前の少女が。
外見は可愛らしく、人畜無害そうに思えるが、その内情は真逆だ。ショッピングセンターに籠城したコミュニティは狭い社会なので誰しもが知り合いで、どのような評価を受けているかは大体知っているが、気軽で付き合いやすい等と言う評価は絶対に嘘だと彼は思った。
既に仲間が一人目の前で殺されているからだ。恐ろしく鋭い回し蹴りで、頸椎をねじ切られて彼の相方は死んだ。良くは覚えていないが、ちらと見た顔は歪んでいたが惚けたような表情をしていた。もしかしたら、自分に何があったのかも分かっていなかったのかもしれない。
だが、殺す必要はあったのか、と内心にて問う。銃を奪おうとしたのは確かにちょっと問題かもしれないが、何も殺さなくてもと震えに憑かれる。
しかし、そんな内心を見透かすように少女は笑みを強くして、笑顔に歪んだ唇を踊らせる。
「何か勘違いしてるかもしれないけどさ、自分がした事の重大さを理解してないっぽいよね? 目で分かるよ、なんで俺がこんな目に? とかって考えている目だね」
語感的には最早ニヤニヤというよりもニタニタと表現するが相応しい笑顔で少女は熟々と語った。自分が認識しているよりも、相手にとっては大事だった、などという事は別段珍しくも特殊でもないのだ。
「こんな狭いコミュニティで銃みたいな強い武力を持ち出して、軽い気持ちじゃ済まないんだよ。クーデターなんて起こされちゃたまったもんじゃないしね。そこまで大それた事を言わないでも、好き勝手されるだけで死に繋がるんだから、それこそ重大だ」
彼等が武器を奪ったのは極めて単純にして理性的に考えれば馬鹿らしい理由だ。締め付けを嫌い、自分達が自由に振る舞いたかったからに他ならない。いや、この場合自由と表現するのは好ましくなかろう、敢えて言うなら気儘に行動したかったから、だ。
身を守るだけではなく権威がつくから銃が欲しい、外に出られるようになってきたんだから俺たちも出かけたい、考えているのはその程度の事に過ぎない。しかし、それらは決して看過できない事なのだ。
銃を管理しないと個人間の諍いに持ち出される可能性が出てくるし、時には過激な奴が自分の思い通りにコミュニティが動かない事を疎ましく思って武力に訴える可能性も危惧される。
外に出るのは危険だし、処理されるのを嫌って噛まれた事を隠したまま帰ってこられればたまった物ではない。寝ている間に発症し、死体として中で暴れ回れば下手を踏むとコミュニティが瓦解してしまいかねないのだから。
故に、彼等の望むことは自儘で勝手な事に過ぎないのだ。全ての規則はコミュニティの存続と安全の為を第一に据えて考えられている。それを無視するのは正しく不法に他ならない。
断じて、それを認める訳には行かないのだ。ギリギリで生きている彼等の安定を崩さない為に、それは天秤の均衡を測る分銅に他ならない。絶対に動かす事はできない、そうすれば天秤は大きくバランスを崩し、反動で皿に乗った物は跳ね飛ばされるだろう。
大きな振動で溢れるのは彼等の命だ。文字通り必死で齧り付いた安寧が奪い去られる、一体誰が認める事が出来ようか。若気の至りで赦される段階は疾うの昔に過ぎていた。
「だからこそ、殺されたり撃たれたりするんだよ。つか、私襲うのにチャカ持ち出したって事は、銃口向けようとしてたって事だよね?」
笑顔に固定されたまま、形の良い唇からは刺突の勢いで言葉が吐き出され、震える男の脆弱な精神に突き刺さっていく。含みのある言葉は、そこに絶対に赦す気は無い、という意志を有り有りと滲ませていた。
「じゃあ、覚悟してたんだよねぇ? 相手に殺意向けるって事は……殺意を以て応報される可能性をさ?」
鈍い音を立てて歯が打ち合わされている。どれだけ努力しようとも歯の根は全く噛み合わず、不快な音を立て続けていた。彼は分かってしまったのだ、純然たる殺気という物の存在を。そして、それを向けられる恐怖を。
漫画で描写される謎の気配ではない殺気が少女から男に惜しげも無く注がれている。それは、目や言葉、そして態度に表れる「お前を殺してやる」という意志に他ならない。此処まで露骨に害意を示されて怯えないのは、その害意が無力である事を知っているか、害意をはね除ける力を持つ者だけだろう。
残念な事に、彼はそのような胆力を持ち合わせては居ないし、少女の言葉は単なる脅しでは無い。哀れさを通り越して滑稽に感じる程に怯えているのだが。
「その辺にしとけ、でかい方まで漏らされたら溜まったもんじゃないぞ」
いい加減に行きすぎだと思ったのであろうか、おやっさんからカットが入った。怯えすぎて別の方まで失禁しかねない勢いだったのだ、確かにそれは止めた方が同席者の精神衛生上相応しかろう。
「お前はちょっと出とけ、尋問は俺がやるから」
えー、でもー、と少女が上げる声を遮って言う。全く隠すつもりもないのか、少女は露骨に渋面を浮かべ、終いには頬まで膨らませ始めた。
似合っているようで似合っていない動作に空気も読まず笑いそうになったが、おやっさんは目で退室を促す。
「でもさぁ、おやっさん。私、下手すると殺されかけたんだよ? 確かに、今こうやって居るけど、場合によっては殺されて銃奪われてるか、ともすれば慰み者にされていた可能性だってあるんだからさー」
何を白々しい、と感じたが、確かに可能性がない訳では無い。偶然に偶然が重なって少女が敗れていた可能性も確かにあるのだ。とはいえ、地力が違う人間同士の対立ではどれ程コンディションが悪かろうがひっくり返せない歴然な差は出てしまう物だが。
されども、それら全てを度外視すれば確かに少女は危険を負った。つまり、ここで哀れっぽく尿を垂れ流している男は少女の獲物であるわけだ。本来ならば獲得した人間にこそ獲物を処分する権利はある。
しかし、おやっさんはそれを赦す気は無かった。
「確かに、お前に囮をやらせたが、尋問吏までは期待していないんだよ」
女に振り返り、此方も渋面を作るというよりも半ば睨むというような表情で顔を見やる。普通ならば一歩退いてしまいそうになる威圧感があったが、まるで風に揺れる柳のように少女は口を尖らせたままだ。
「ああ、確かに危険を負ったのはお前だろうさ。だがな、だからといって好きにやられたら困る、むしろ、此奴をどうするつもりなんだ、お前は」
問われて、そりゃまぁ相応の目に遭わせるけれども、と少女は答えた。気負いも何も無い言だが、背筋が泡立つような気味の悪い色が言葉に滲んでいる。
「もう此奴の腕はかたっぽ使い物にならん、相応には十分だろう」
結果的に少女は無傷で、一人は死に一人は腕に弾を受けている。既に反撃を受けており、痛い目を見ているとは十分に判断できるだろう。それを越えて尚、応報をするのはやり過ぎと言う物だった。
「それにな、殺されると困るんだよ、此奴にも知人やらがいるからな。馬鹿したらこうなる、という見本には生きていて貰った方が有り難い」
見せしめ? とつまらなそうに呟く少女に、おやっさんは頷いてみせた。
古来より体制の反逆者は失敗した場合見せしめにされてきた。法を侵した犯罪者であれば、咎人であることが分かるように、そして衆目に晒されて惨めに映るように入れ墨を入れられた。中には拘束具を装着したまま生活させる事もあったが、その真意は衆目に法の侵犯者に下される応報の恐ろしさを教え込む事だ。
罪が重くなっていけば、それこそ獄門や磔などの生命に関わる刑罰を見せつけた。残虐に痛めつけたり殺す事で衆目の恐怖を掻き立て、時には死体をさらし者にする。全て、罪への恐怖を教え込むための物なのだ。
「えー……別に殺して死体を吊せばいいじゃーん……」
「阿呆が、動き出したらどうする」
死体を晒すのは良くある事だ。罪人が死んだ、それを長期にわたり道行く人に見せつけるには直接死体を晒すのが一番良い。報道したり声高に宣伝するよりもずっとインパクトが強く人の心を絡め取る。
効果は歴史が実証しているのだ。現に江戸幕府において獄門、つまりさらし首は磔の次に重い刑罰であったし、敵軍の死体を吊すなんてのは中世では珍しくも何でも無い。
しかし、効果的だからといって採用できるわけでは無い。特に、昨今の死体が動き始めるという末法の世においては。
現状では死体は頭を潰すか頸椎を著しく損傷させれば活動を停止する。頭を砕くか、首を落とせば良いのだ。
だが、何時その法則が狂うかも分からない。既に死体が動き始めて肉を喰らうという想像の中においてのみ起こっていたことが現実になっているのだ。ならば、何が起こっても不思議では無いだろう。
例えば、今までなら機能を停止する程の損傷を負ったとしても動き続ける死体が産まれる。そんな可能性だって無いとは言い切れないのだ。
故に死体の取り扱いには細心の注意を必要とする。だからこそ面倒な作業や貴重な燃料まで使って死体を燃しているのだ。だのに、それを吊して放置したり首を晒すなどというのは剰りにもナンセンスでちぐはくだ。
「要らん死体増やすな。既に始末せにゃならんのが一つ転がってるんだから」
少女のハイキックで絶命した男の死体は既に処理されている。頸椎がねじ切れているので動き出す心配は無くとも、念の為にハンマーで頭を砕いた状態で死体置き場に並べてある。死体置き場とはいっても、駐車場から少し離れた所に燃やす死体を一時的に集めてあるに過ぎない場所だが。
「それにな、変に殺してみろ、恐怖政治に突入で周りがびびり過ぎてやってられんぞ」
あー、と少女の口から間抜けな声が溢れた。ともすれば唸っている、とも思えなくも無い声なのだが、それは正しく感嘆の声であった。
今の所、自警団と一般コミュニティ参加者は良好な関係を維持している。互いに無体を働かず無茶を言わないからこそ成り立つ信頼関係だ。しかし、そこに敵対してきて危険な存在だったからといって誰かを私刑に処した場合どうなるか?
人は感情移入と置換をしないではいられない生き物だ。誰もが考えるだろう、もしも自分が危険な奴、そこまで行かないでも邪魔な奴だと自警団に思われてしまえばどうなってしまうのだろう? と。
信頼は恐怖に変わり、恐怖は不信へと発展するだろう。恐怖という病は回るのが早い。回りきれば、こんなちっぽけな小規模コミュニティはあっさりと瓦解するだろう。
人間は集団を構築しないと生きられない生き物だというのに、集団になると非常に面倒かつ厄介な群体になる。だからこそ、人を集める時には細心の注意を払わねばならないのだ。
生き残る為の方策なのに、それが原因で命を落とす危険性が増すなど、何と無様で不便な生き物なのだろうと感じ入りながら少女は考えを巡らせた。
確かに、自分がアレの処理を任された所で得られるのはちょっとした爽快感程度だ。命が乗った天秤の対面に乗せるに足るかと聞かれれば全く足りない。
で、あるのならば少し気にくわなくとも受け入れるのが最良だ。自分が生きやすく過ごすために動いてきた、その努力をくだらない憂さ晴らしで潰しては意味が無かろう。
不承不承ながらも少女は納得し、つまらなそうに背中を跳ね上げ、産まれた反発を用いて預けていた体を扉から離した。
「しっかたないなぁ……じゃあ、とりあえずちゃんとやってよねー。私が囮やったのが無意味にならないようにさ」
「分かってるよ。代わりに配給増やすよう言っといてやるから機嫌直せ」
そんな物で釣られくまー などと宣いながら少女は扉を乱暴に開け、部屋を後にした。しかしながら、その語調は軽やかで足取りはステップを踏むようである。どうやら甘い物と引き替えで曲がった臍を元に戻したらしい。
やれやれ、とでも言うように嘆息して首を振るおやっさんを見て、今まで沈黙を保っていた彼の部下は、まるで年頃の父娘のようだと思ってしまった。
「さてと……じゃ、始めるか」
そして、幾度か首を回して乾いた音を立てた後で、おやっさんは男に顔を近づけ、少女に語りかける時と全く質の異なる感情がこもらない冷たい声で告げた。
「で、痛い目を見て全部吐くか、大人しく全部吐いてまともな手当をして貰う、どれが良い?」
答えは、考えるまでも無く明らかであった…………。
「あーあ、つまらないなぁ」
幾つかの机が立ち並ぶホームセンターの二階、元々は家電販売店の店舗があった所のマッサージチェアコーナーを撤去して作られた談話スペースで少女が心底からつまらなそうに声を上げた。
その掌では何処かから持ってきたであろう鉛筆が器用に回されている。新品の鉛筆は一切削られておらず、両端が綺麗な六角形を維持していた。
「何がだよ」
さもどうでも良さそうに応じながら、コミュニティ内ではエコーと呼ばれている青年が手元で鋏を器用に動かせる。ホームセンターに腐るほど置いてある鋏が裁断するのは向こう側が透けて見えるほどに薄い、何かが印刷されてる紙であった。
「んー? 憂さ晴らしとか、色々かんがえていたんだけどねー」
無聊をかこちながら時間を潰している二人が出会ったのは僅か数分前の事である。それ故にエコーが少女の成した事を知らず、そして何故に機嫌を害しているのかも分からない。
銃声が鳴り響いたのだ、大いに衆目を惹いたのは当然の事であるが、その原因や結果が衆目に触れる事は無かった。要らぬ混乱を避けるために自警団が人払いをした後に少女と男、そして死体を運び込んだからだ。
だから、人払いに動いていたエコーは何が起こったのかは分からない。ただ、裏の死体の数が一つ増えた事から、発砲によって何が成されたか、は把握していたが。
しかし、その内飛んで行ってしまいそうな勢いで回されるペンを見てどうでもいいか、とエコーは吐息しつつ再び鋏の刃を抱擁させた。鉄が擦れ合う小気味よい音を立て、紙が落ちるのと同様にエコーの興味は根から断たれた。
この少女はある種の狂人だとエコーは理解している。で、あるが故に少女の不快の源など知らぬ方が精神的に良好だと分かっているのだ。
エコーが何を考えているかなど全く気にした様子も無く、少女は飽きたのか鉛筆を回すのを指を弾いて止める。ペンが中空に跳ね上がり、数度回転した後で重力に導かれて落下し、再び少女の掌に収まった。
懐に鉛筆をしまってから、ふとエコーが何を裁断しているのか気になった少女は紙切れを一つ手に取った。裁断される前の紙は、明かりに翳さなくても向こう側が透けて見える程薄く、英語で細やかな文言が印字されている。
「愛は寛容であり情け深く、また妬むことをしない。愛は高ぶらず誇示をせず無礼を働かず……って、何これ、聖句?」
手慣れたように翻訳し溢れる言葉。それは紛れもなく全世界ベストセラーである聖書に記された文言だ。コリント人の手紙という節に乗せられた愛を表現した聖句、それが鋏で無惨に切り裂かれようとしている。
ともすれば聖書を汚し涜神に浸る悪魔崇拝者のような作業だが、エコーはあくまで淡々と実につまらなそうに鋏を動かしている。そこには敵を貶めて熱狂に耽る異教徒の装いは伺えなかった。
「……何してんの?」
訝しげに問いながら机の上を見やると、裁断される前の紙が何枚も切る為のガイドラインとして折り目を付けて置かれていた。他の物を手にとって目を通すと、やはりコリント人の手紙節を綴ったページである。
少女の問いに、エコーは淡々と答えながら紙を積み上げる。均一に切り分けられる長方形のそれは、紛れもなく何かしらの用途を意図して作られた物だ。
「ああ、煙草を巻こうと思ってな」
「はぁ?」
少女にしては珍しく純粋に驚いた様な声が出た。エコーは、それを聞いて僅かに顔面金を動かすも、努めて無関心を装いながら説明を始める。
「最近、外に出てもまともな煙草が手に入らないからな、贅沢に吸い捨てる訳にも行かなくなってきたんだよ。だから、シケモクをバラしてまき直すんだ。そうすれば無駄を減らせる」
エコと言えばエコだが、やっている事は極めてみみっちい。吸い殻を分解して燃え残った葉と比較的綺麗なフィルターを選んで寄せ集め、一本分の分量に纏めて器具を用い紙で巻く。そうすればみっともないながらも新しい煙草をでっち上げられるのだ。
煙草を巻く紙はできるだけ薄い方がよく、かといってティッシュのような物では柔らかすぎる。材質からして、煙草の巻紙には専用の物がないときは薄い紙が次に適している。そう、辞書や六法、そして聖書に使われるような紙が。
エコーは煙草をまき直す為に聖書を切り刻んでいたのだ。日本人は宗教に無関心な所があるから良いが、熱心な信徒がこの場に居たならば激怒するような所行であろう。
一応、両親がそうであったので少女も体面上はカソリックでありミサにも参加していたし洗礼名も持っている。それでも大凡神と言う存在を物心ついてから信じた試しもないので、別に気にはならないのだが、流石に公許良俗的に如何な物かと感じずには居られなかった。
こんな黙示録に中途半端に失敗してしまったような世の中だが、神に縋る人間は多い。国も人も助けてくれないなら、最後に頼れるのは最早神だけなのだ。例え雲の上には遙か広がる天体しか無いと分かろうと、脆い人間は高位存在の庇護を期待するしか心の均衡を保てない。だから、何かしらかを大っぴらにでは無くとも信仰している人達は確かに存在するのだ。
それが祖霊であったり神仏であったりかは様々だが、そんな立場の人間が教典を切り刻まれているのを見れば気分は良くないだろう。
「エコーさぁ……」
「英語だし表紙も無いから誰も分からんて。それに、本屋のカソリック系統の本は誰も手に取ってねぇから大丈夫だろうさ」
確かに言う事は尤もだ。死後の事は分からないが、神はどれだけ地上で冒涜された所で有形の制裁を下すことなど無い。神罰を振るうのは、何時だって大義名分を求めた人間なのだ。故に、どれだけ冒涜的な行為であったところで見咎める存在がおらず、自らの良心も咎めるところが無いのであれば何ら子細は無い。
ただ、褒められた行為とはいえない、それだけである。
「……まー、いいんだけどさ、それなら」
鉄のこすれ遭う音が響き、また神の言葉が机に落ちた。元より、神の救いなど科学全盛の世の中では薄っぺらで、かつての権勢は無い。そして、世が滅んだ後の今、落ちる紙は失墜した神の権威を形容するかのようであった。
少女は特にすることも無いので、エコーが鋏を動かす様を見つめて暇を潰す。少し離れた所、柔らかいマットを敷き詰めて簡易の座敷にされた所で子供達が遊んでいる。少女達が外征に出て持ち帰った玩具やカードゲームが、その中で賑やかにやりとりされていた。
コミュニティの中で食糧は一種の通貨として機能している。例えば、自警団以外にも化せられるちょっとした見張りを代わって貰ったり、掃除当番を代わって貰ったり、そういった個人間の取引にだ。それ以外にも、人気のある食糧や、時には体とも交換される。そして、それらのやりとりを自警団は黙認していた。
あれらの玩具は、子供達にとっての通貨なのだろう。頻りに、何やら難しげに考えながらやりとりをしている。
子供に配分される玩具も色々と考えられ、均一に配られるが、やはり男の子でもゲームをする為の電池を重要視する子も居れば、カードゲームを重要視する子も居る。そういった小さな需要と供給のやりとりが、あの中でなされるのだ。
また、外に出て色々探す事になったら何か持って帰ってやろう、と少女は思った。自分の命は間違いなく一番だが、他人が喜ぶ様子を見るのは悪い物では無い。
コンビニでも電池やカードゲームの類いはある。次に見かけたら個人的に持ち帰って撒いてやるとしよう。
ぼけーっと頬杖を突きながら、少女はエコーが煙草を巻いていく作業を見つめた。底面が長いコの字型の器具の間に貼られた二本の棒を巻くビニールの円筒。二本の棒の間に円筒を押し込んで窪みを作り、その合間に葉とフィルターをねじ込んでいく。
ある程度葉が詰まると、エコーは手前の棒を動かして、窪みが閉じ密閉させる。そして、筒を指で手前に引っ張ると布が周り、窪みに溜められた葉とフィルターが回転し形が整えられていく。
最後に紙をわずかに空いた隙間に差し込むと、再び筒を回す。すると紙は窪みに飲み込まれ、円筒形に成型された煙草を巻いていく。エコーは僅かに端が飛び出る程度まで紙を巻くと、指先に取った糊を僅かに塗布してから最後まで巻ききった。
再び筒を動かして窪みを解放すれば、その中には巻紙に包まれた煙草らしい煙草が現れた。市販品と違うのは、少し見窄らしく歪んでおり、表面に細かく英字が浮かんでいる事だ。
指先で新たに作った煙草を眺め、出来にある程度満足したのだろう、エコーは煙草を咥えると徐にライターで火を付けようとし……。
後僅かで火が灯りかけた煙草に、飛んできた鉛筆がぶつかって遠くに転がった。
放たれた2Bの鉛筆は、少女が指ではじき飛ばした物だ。軽いスナップを以て放られた鉛筆は、煙草を弾いた後で勢いを保ったままエコーの唇を軽く打つ。苦痛を与えるような攻撃ではなかったが、エコーは軽く驚いて状態を反らせ、危うく椅子ごと転倒しかける所まで行った。
「お前ねぇ」
どうにかバランスを取り戻したエコーは、弾かれた煙草を拾い上げながら少女を睨むが、少女はやる気の無さそうな眠気を感じさせる顔のままで応える。
「子供も居る所で吸わない。それと、煙草が嫌いって何度言えば分かるのさ」
口で言えよ、とぶつぶつ呟きながらエコーは煙草を空き箱にしまう。空になった別の銘柄のパッケージに、シケモクをまき直した煙草を仕舞うという行為は何とも情けない。
「つーか、ここ別に禁煙でも何でもないだろ」
「じょーしきだよ、じょーしき。吸うならお外でどうぞ」
女はつまらなそうに吐き捨てながら、頬杖を崩し、机の上で組んだ腕に顔を埋めた。頭の比較的高い所で束ねられていた髪の毛が机上にバサリと広がり、紙が僅かに散る。
エコーは溜息を吐いてから、黙々と煙草を巻く作業に没頭する事を決めた。何が原因か知らないが、少女の気は抜けきっている。ならば、悪戯にいじくって自分に対して何らかの感情を抱かれ、その矛先を向けられる方が怖い。
それに、一本巻いては吸い、更に一本巻いて吸うというのは効率が悪い。どうせなら一箱分巻ききってから吸うとしよう。
「あれ、姉ちゃん寝てる?」
箱の半分ほどが煙草で埋まった頃、カードの束を持った少年がやって来た。机に顔を埋めて動かない少女を見て、少し残念そうにしている。
エコーは、確か少女の周りでちょろちょろしてる四人の一人だったかな? と思いながら、何か用があるのかと問いかけた。
「うん、ねーちゃんとゲームしようと思ってさ。こないだ、ねーちゃんがストラクチャー持ってきたから!」
元気に宣言しつつ突きだした片手には、トレーディングカードゲームの束が握られていた。日本で最も販売数を稼ぎ、子供達にも馴染みのあった物だ。これはきっと、態々少女の分を用意してきたのであろう。
しかし、エコーは、こいつがそんなんで遊ぶタマか? と思いつつも、残念だったなと内心を表情に一切漏らさず少年の頭を軽く叩くように撫でてやった。
来る度に何時も寝てたり忙しそうにしてるんだもんなぁ、などとぼやきつつ立ち去る少年が、再び仲間達の輪に入って言葉が聞こえなくなったであろう頃、エコーは見送った少年の背から目線を外さぬままに声を投げかける。
「お前、実は起きてんだろ」
「あ、ばれた?」
腕の間からくぐもった声が聞こえてくる。この少女は最初から眠ってなどいなかったのだ。
「獣みたいな奴が巣の外で眠るかよ」
「失敬な、こんな乙女を捕まえて。後、巣じゃなくて乙女の園と言いなさい」
小声で妙にくぐもった声を聞きながらエコーは溜息を吐いた。何かを釣ろうとしているのか、それとも単に疲れたのでポーズだけでも休んでいたのか、そのどちらかは定かでは無いが厄介な相手であった。
此奴と一緒に居ると疲れるな、等と思いつつシケモク巻きを再開しようとした時、机上にて無造作に転がされていた無線機がノイズ混じりに音を立て始めた。
無線機には周波数があり、その周波数帯に合った通信のみを拾うように出来ている。だからこそ、繋げる相手や場所を選べるのだが、自警団では非番時は警備室の無線機と通じるように周波数を合わせるのが常だ。そうしないと、緊急の通信を聞き逃してしまう。
音量の問題か、それともスピーカーの音質か、どこか遠くから聞こえてくるように感ぜられる雑音で所々がかき消える通信は紛れもなく警備室からの物だ。
『警備室警備室、警備シフトの自警団員以外は総員、至急集合せよ。繰り返す、警備シフト以外の人員は総員、至急集合せよ』
少女の顔が僅かに擡げられ、枕にしていた腕の間から目が覗く。その目は、普段通りの笑みに歪んでおり、入り込む明かりに反射して何とも不気味に輝いていた。
エコーの眉根が自然と顰められる。彼は、この笑みが嫌いだった。何か嫌な物を感じさせられる気味の悪い笑み、見ていると軽く鳥肌が立つような笑顔。その気になればティーン誌の表紙を飾れそうな笑顔も、こうなればただおぞましいだけだ。
「……進展があったか、行くぞ」
ぶつぶつと噴き出した鳥肌を無視し、半ばまで満ちていた煙草を懐にねじ込んでエコーは立ち上がる。至急というオーダーが付いていた為、煙草を巻く道具を仕舞うのは後回しだ。
少女も面倒くさそうながら、腰を動かして椅子を後ろに押しやると、そのまま机の上に取り残していた上半身を腹側に撓め、起き上がる事なく伸びをする。器用な真似をする、としかエコーには感じられなかったが、臀部を大きく突きだした後ろ姿は妙に扇情的だ。
「ん~、楽しい事になるといいんだけどねぇ」
少女は、通信機を引っ掴み、ホルスターの拳銃の座りを正すと早足に歩き去る男の背を追って駆けだした…………。
一人の男が惨めったらしく働いていた。その労務は苛酷だ、中腰で吐き気を催すような重量物を延々と運び続ける。それも、決して好意的ではない視線を浴びながら。
どうしてこうなったんだ、と動きがめっきり鈍くなってしまった右腕を庇い、水気が多くて段差を乗り越える度に気味の悪い水音を立てる猫車を押しつつ独行する。
彼、ここ数日で見違えるほど窶れた青年は、銃を奪い少女を襲った二人の生き残りであった。
何故、その彼が傷を負った身を押して労役に勤しんでいるかというと、単なる罰則だ。名目上、彼は単に少女を襲い強姦しようとした、としてのみ処分された。既に手痛い負傷を負っているので、これ以上の体罰は科さない。ただし、自警団が命ずる労役を拒否する権利を与えない事が罰則として与えられ、そして今、雪がちらつく中ひたすらに死体を運ばされている。
これは二つの意味で見せしめだ。一つは、一般参加者達に対して迸るリビドーを解放してしまわないようにという意味で。そして、もう一つは、敵対するなら容赦なく始末する、と反逆者予備軍から反逆者へと正式にランクアップした不平分子に対して。
強姦魔としてコミュニティから白眼視されるようになってしまった彼を、送り出した仲間は冷たく見限った。近寄ろうとしたら威嚇され、話しかけたら後に響かない程度に殴られる。それもそうだろう、ただでさえ狭いコミュニティだ、こんな所で嫌われれば生きていく事はどこまでも難しくなる。そんな輩を自分達の中に受け入れるかと言えば、断じて否だろう。彼等も、楽にかつ気儘に生きたいから無茶をしているのだ、だのに重荷を受け入れる理由など無い。
彼は寒空の中、惨めったらしく死体を運び続ける。きっと、彼が猫車の中身と同じ所に墜ちる時まで。
その様を二つの瞳がニタニタと笑いながら眺めていた。粉雪がうっすらと積もった屋上に折り畳みの椅子を持ち出し、普段通り見張りの任に着いている少女だ。
雪が積もって全体的に気温が下がってしまったので、寒さが堪えるのか革ジャンの上に薄っぺらいコートを羽織っている。よく見れば、その袷からコートが男物である事が伺えた。単純に、豊かすぎる体躯に女性物のコートが合わなかったのだ。
しなやかな長身には小さすぎる折り畳み椅子に体を預けながら、少女は死体運びに勤しむ罪人を眺めつつカフェオレを啜る。それは、自販機から引き摺り出された缶飲料を鍋で温め、水筒に収めた物だ。見張りの慰みに貰った差し入れであった。
最近になると、死体の数はどんどん減ってきて平和も平和だ。圧迫が無いのも良いことに壁を補強する作業も進み、早々破れないほど頑強になっている。そのせいで、見張りというのは本当に暇な仕事になってしまった。許されるのであれば、ラジカセでも持ち込んで足下で音楽を流したくなるほどに。
やることと言えば、作業員の近くにフラフラと出てきた死体が居たら注意をする位だ。しかし、昼間だからか、それとも近辺のは完全に駆逐してしまったのか数時間眺めていても姿は見えない。
もしかしたら、自分達のような人間が色んな所で死体を駆除しつくした結果、殆ど居なくなってしまったのでは、と一瞬考えたが、直ぐにあえりえないか、と思い変えして少女は笑った。
ここの生き残りは清々一〇〇を僅かに上回る程度しか居ない。そして、始末した死体は苦労して連日燃やしている量から計算したら、多く見積もった所で四桁には届くまい。
日本の人口は一億と二千万人程度だ。全国のホームセンターで自分達のような生存者が居たとしても到底駆除しきれまい。それに、人口が密集していればしているほどに生き残るのは困難になるのだ。そうであるのならば、一体どうして一億もの死体を駆逐できるというのか。
恐らく、此処よりも人が多いが故に死体を引きつけている所があるのだろう。だからこそ、ここは平和で居られる。その、誰とも知らぬ彼等が頑張ってくれている限りは。
伊丹の駐屯地辺りかな? と少女は呟く。こういった場合、自衛隊には火器があるから安全性は高い。避難できるのであれば、少女は其方に行っていただろう。現実の軍隊は、彷徨う死体に駆逐されるほど弱くも脆くもない。
ただ、ロメロ映画の展開を知っていても、噛まれた怪我人を拒絶しきれないで大騒ぎになる可能性はあるが。撥ね除けるのが正答であろうとも、実際には出来ないのだ。映画の知識でそうだから、と言って追い出したら後で何を言われるか分かった物では無いのだから。そして、怪我人を運び込む人間は、噛まれてるけど自分の家族に限っては、等と身勝手な考えをするはずだ。その行為が引き起こす結果は、山と作られた先例を見る限り明らかである。
そういえば、あの海外ドラマ、結局オチはどんなんだったんだろう、と水筒の蓋を兼ねるカップに残ったカフェオレを干しつつ、少女は益体も無い事を考えていた。もう、続きが見られないからこそ余計に気になる。
ただ、それ以上に気になるのはコミュニティの行き先だ。駐車場を見下ろすと、自警団に監督されながら壁を補強する一団があった。その中には、だらしないファッションをした若者達が面倒くさそうに働く姿も見受けられる。
一般参加者が何らかの労役に着いているのは当たり前の光景だ。だが、彼等が働き続けている事は、安心できるようで不安を掻き立てる。
果たして、本当に後悔して大人しくしているのか、それとも単純に機を伺っているだけなのか。
少女は、きっと後者なのだろうと踏んでいたし、自警団員の大半もそうだった。反省し、後悔していたなら、既に帳簿上における拳銃の数は合っているはずなのだ。
彼等は盗んだ拳銃を未だに返却しにきてはいない。どんな罰があるか恐れて返せないのでは? という意見もあったが、それならそれで見つけられる所にこっそり置いておくなどやりようは幾らでもあるはずだ。それで尚返却しないという事は、武器に対する未練と使用意思があるという事だ。
今はまだ静かだが、遠からずして何かやらかすだろう。少女はそう考えながら、自分の足に立てかける形で置いてあったMP5を手に取った。整備はしっかりと成されており、動作は完璧。マガジンにはジャムを防ぐ為に弾丸が容量一杯より一発少なめに装填してある。ホルスターのM92Fのクリップにも弾丸はフルで装填されているし予備マガジンにも頼もしい重さが籠もっていた。その気になれば、何時だって戦える。
出来たら、このまま大人しくしててくんないかなぁ、と零しつつも、直近に迫る戦いの予感から少女は逃げ切れずに居た…………。
私です、今回は何とか、そこまでお待たせせずに投稿することが叶いました。如何に私が講義を真面目に聞いていないかが(ry
まぁ、多分きっと何とかなります、就活とかありますが……。しかし、そろそろ佳境と言いながら何だこの展開の遅さは。冗長にし過ぎる癖と、プロット付け足し癖をどうにかせんといかんなぁ。この後、青年の日本巡業ちらほらとカノン邂逅やって、大詰めですかね。
感想や誤字訂正、本当にありがとうございます。やる気が出て来ますし、ああ、こんなに真面目に読んでくれている人が居るのかと思うと感動してきます。ただ、やっぱり早く次の話載せた方が良いかと思いリソースをそっちに裂いてしまっているので、修正も返信もできていませんが。色々と申し訳無い。
今後も生暖かい目で見守ってやってください。