85. イツカノ会話
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『私、アイビー・ヘデラっていうんだ。よろしくね』
『あ、私はスカビオサ・エクスカリバーっていうの。話しかけてくれて嬉しい! みんな、どこか遠巻きにして、中々話しかけてくれなかったのよね。みんなと仲良くしたいのに』
『そりゃ、スカビオサさんは四聖剣だもん。いかに霊装使いの集まる学園の中でも、頭一つ抜けてるから、話かけづらいよ』
『えー。何も変わらないと思うんだけどなあ。せっかく同じ境遇で集まったんだから、仲良くしたいんだけど。でも、アイビーさんが話しかけてくれたから、それだけで今は嬉しい』
『スカビオサさんはもう少し笑った方がいいかもね。本当は明るい人なのに、仏頂面は少し怖いかも』
『そう見える? じゃあ、もう少し表情を動かすようにしてみるね』
『あ、いい感じ。これでもっと色んな人が仲良くしてくれると思うよ』
『ありがとう! でも、アイビーさんも、私と仲良くしてね』
『うん。仲良くしようね』
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『ネメシア。貴方、その陰険な顔をどうにかしたらどうですか?』
『……うるさいよ。別に私の勝手でしょう?』
『入学からずーっとつまらなそうにしていて、腹が立ちます。なんですか、そんなに嫌なことでもあったんですか? 解決できない悩みでもあるんですか?』
『別に。あんたに言ってもしょうがない。相変わらず、お節介というか、世話焼きというか』
『同じ学園生徒のよしみではないですか。迷える子羊を導くのも、私の役目です。この、マーガレット・フィンにすべて任せてみてください。さあ、さあ!』
『そんな風に胸を張られても、あんたにできることは何もないよ。気持ちは嬉しいけどね』
『そうですか。じゃあ、その気になったら声をかけてくださいね。私はいつでも貴方の味方ですから。多くの人を幸せに導く、それが私の使命なのです!』
『……元気だね。覚えておくよ』
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ごめんなさい。
貴方たちの人生を滅茶苦茶にしてしまって、ごめんなさい。