神殺しは偉業である
神殺しは偉業である。
「えー、はい、神殺し希望の方ですね。かしこまりました。四番窓口でお待ちください」
「神殺し希望、ですか。承知致しました、少々お待ち頂けますでしょうか。上に確認して参ります」
「申し訳ございませんが、神殺しの目的を……えー、幼馴染が生贄に…………と、なりますと、有害認定がされている……え、まだ、ですか。となると、調査が必要になりますね。当センターではなく、一旦地域の害聖相談室へご連絡を」
「はい、四つ葉市見守りセンターアップです。なるほど、生贄ですね。かしこまりました、状況をお伺いしてもよろしいですか。はい、はい……ええ、なるほど、あなたの幼馴染の方が生贄に……はい、ええ、雨乞い祈祷のため、ですね…………お電話口の方のお名前とお電話番号を頂戴してもよろしいですか」
「いつもお世話になっております、四つ葉市アップの古杜と申します。はい、通告でして……はい、住基を確認したところ歴がありまして……はい、はい。ひとまず、現場に私たちが向かっている最中でして、はい」
「はい、神祇省地域生活局地域保安課です……お世話になっております……生贄通告…………はい、歴ありですね。いま、現場に向かっている……はい、女性は保護されている。かしこまりました、向かいます」
「通告入ったから、四つ葉市の今回、東地区か。うん、移送も必要だから車取っといて、あと、多分整伐案件だから、保安員さんと、保健師の樫山総括も一緒に行ってもらおうか」
「いやさあ、俺も陰陽寮引退したわけやん。で、再雇用な訳。残業代もでやんし、最悪な職場すぎるぞこんなん!しかもあれやろ、感謝とかもされへん仕事やん、なんでこんな仕事してるんですか、保安課の人らは」
「あははは……。あ、次右折です……」
「とりあえず、女性は一時保護で。で、今回の神はやっぱり伐は必要でしょうね」
「はい、高山と同じ課の者です。申し訳ありません、高山は不在でして。……はい……はい………申し訳ありません、担当は不在でした……ええ……ええ…………うん……土地の主様がとられたせいで生活ができなくなった、理由を教えろ…………申し訳ございません、そちらは担当の者とお話ください、同じ話の繰り返しになってますので切電させていただきます」
「まーた?そんなんだから、取られるんだよ」
「まあ、因習村の連中ですからねえ。正気じゃ、生贄なんて今更やる必要ないし」
「そういうところだなあ……」
『汝らは、何者か』
「人です」
『帰れ』
「生贄を解放していただけませんか?」
『誰が』
「不同意、ですね。かかれ」
神殺しは偉業である。