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第81話 遂に決着!ジークフリートVSアヤネ①




先程のスズカに対するモヤモヤとは違い、不戦勝で勝ち進んだというモヤモヤに苛まされながらジークフリートさんが待っているところに向かう。



「やぁ。待っていたよアヤネさん。」

「どうも。ジークフリートさん?」

「うん。君の噂はよく聞いているよ。」

「...噂?」

「え?知らないの?例えば美少女鍛冶師とか...」

「あー!!いいですいいです!なんか知ったら怖くなりそうなんでいいです!」

「そう?」

「はい。」

「...ならいいか。では、改めて、俺の名前はジークフリート。皆からはジークって呼ばれてる。よろしくな。」

「はい。私はアヤネっていいます。鍛冶師をやってます。よろしくお願いします。」

「ははは。なんか堅苦しい言い方だな。俺はずっと君に会いたかったんだよね。」

「そうなんですか?」

「うん。良い噂ばかり聞いてるとどうしても、ね?」

「...なるほど。まぁそれが何かは聞きませんが。」

「ははは!ほんとに面白いな!俺も武器を持ってたら造ってもらいたかったんだけどなぁ。」

「あぁ。糸ですもんね。武器。」

「そうそう。使い勝手はいいんだけどね。」



『あの。そろそろ始めてもよろしいでしょうか?』



「いいよ!」

「はい。」



『こほん......では!決勝戦!ジークフリート選手とアヤネ選手の戦いです!!試合始め!!』



「まぁ、まずは小手調べということで...《硬質糸》」

「っ!」



──キンッ!キキンッキンキンキキキキンッ!!



僅かに光を反射しながら向かってくる糸を弾き、霊斬丸を前に構える。


『何がなんだかよく分かりませんが!あれは糸を斬っているのでしょうか!?』

『う、む。わ、ワシもそう、思う、のじゃ...。』

──スリスリ

『いやぁ本当にアヤネ選手には驚かされますね!』

──スリスリスリスリ

『そう...じゃな......。』

──スリスリスリスリスリスリスリスリ

『───』



「おお!凄い反射神経いいね!」

「それはどうも!《降霊刀》!」



──シュィィィ......ボフンッ!



「え?」

「不発かい?」



今まで成功してきた《降霊刀》が失敗してしまった。この辺りにはもう霊はいないのかな...?



「《硬質糸》」

「っ鬱陶しいな!」



──キキキキンッキンキキンキンキンキキキンッ!!



本当に鬱陶しい。さっきとは違って足に搦めてくる絡め技を使ってくるようになった。

それを刀で弾いたり、避けたりしている。もちろんただ無闇に弾くのではなく、迫ってくる糸の軌道を逸らしている。そうしなきゃ糸がくねって刀自体が絡め取られてしまうからだ。



「...ほんとに凄いな...。是非ともトッププレイヤーの仲間入りを果たしてほしいものだな。」

「...皮肉ですか?」

「いやいやいや!」



あの人最初から1歩も動いてないんだよね...。全部糸。私は動き回っていて、相手に近づけず、なんとか防いでいるという状態。それでトッププレイヤーの仲間入りだなんておかしな話である。



「...君だってまだ力を隠しているだろう?」

「...。」

「それを引き出せたらこのイベントには意味があると俺は思ってるんだ。」

「...。」

「あ、もちろん俺もまだ隠してるけど。」

「...まぁそうでしょうね。」

「そんな訳で俺は君と本気で戦ってみたいと思ってこのイベントに参加したんだ。君なら勝ち進んでくると思ってね。」

「そうですか。なら...お望み通りに。」

「お!ほんとに!?」

「はい。──《龍の力》」



──ギンッ!!



金色の丸い瞳孔が蛇や猫の目と同じような縦に長い瞳孔になる。この縦型瞳孔には暗いところでも見やすくなるように発達したものだが、他にも、獲物の位置を正確に捉えるためでもある。

手足は《竜の力》を使用した時と同じように龍の手と足になっている。

既存の装備には、龍の鱗やらが着いてごつくなっていて、頭に赤い龍の上顎部分が着いている。

背中には竜のときとは違い、2倍ほどの大きさの翼がつき、腰には私の腕よりも数倍太い尻尾が生えていた。



「驚いたなぁ...!生放送で見たあの姿とは少し違うけどスキルが進化したのかな?」

「...スキルって進化するんですか...?」

「するんだよ。検証班が頑張ってやってくれたお陰で分かった事なんだけどな。」

「へぇ...。」

「ちなみに自分でもスキルって作れるんだ。」

「え!?」

「例えば......《変身》」

「っ!」



スキルを唱えるとジークフリートさんが糸に包まれる。そして、直ぐに現れたのは()()()()()()()()()



「どう?」

「はぇ〜...。私だ...。」

「さすがに声は変えられないけどね。」

「どうやったんです?」

「これは糸を身体に巻き付けて、立体的に他人の再現をしたらスキルになったんだよ。最初は俺よりも大柄なやつの身体を再現してたけどな。だって小さいと俺の体が潰れちゃうし。」

「え?でも...」

「まぁ今はスキル化したから何にでもなれちゃうけどな!」

「...すごい。」

「ありがとう。」



『あ、アヤネ選手が2人になりましたぁぁぁ!?!?』

『ほう...ほうほう!!凄いのじゃ!!あんなの見たことないのじゃ!』

『そうですねぇ...。後でじっくり聞きましょうねー』

『むーー!!!はーーなーーせーーー!!!!』

『やです。』

『むきーー!!!!』

『───』




「俺もこの姿で戦うよ。まぁちょっと姿変わるけどな。」

「え...。」



パキパキと音を立てて、姿が変わるジークフリートさん。




最終的に、私が生きた龍、ジークフリートさんが骨の龍を纏っている形になった。





「さぁ始めよう。」






○今日のスキル○



今日のスキルは《変身》です!



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【名前】ユニークスキル:《変身》 消費MP:1000〜

【効果①(LV.1)】《粘着質糸》《硬質糸》《超硬質糸》《耐熱糸》《耐斬糸》《耐打糸》のどれかを使用し、他人に変化することができる。ただし、糸の種類によって消費するMPも変わる。


【効果②(LV.5)】自分よりも小さな者に変化することができるようになる。


【効果③(LV.☆)】変身した相手の能力の1部を得ることができるようになる。


LV.1:変身した相手による

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