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第79話 第2回戦アヤネVSアリア②




「...《雪月蝶の協奏撃》」



さっきまでの晴天が嘘のように消え、1面雪の銀景色になった。吹雪いていて見えにくいが、アリアちゃんの頭上には月にも負けないような美しさを保つ大きな氷塊が。




『おおー!!凄い綺麗な光景ですねぇ!!私初めて見ました!!』

『うむ。ワシもスレで1度だけ見たのじゃがやっぱり生で見ると幻想的でいいのぉ...。スキル1つであれだけのものを創り出せるなんて凄いとしか言えないのじゃ!!』

『ブラキじゃさんってそんなポエムチックなことも言うんですねぇ...。』

『な、なんじゃ!?言っちゃ悪いのか!?』

『いえいえ〜!とっても可愛らしくて良いと思いますよ〜!!』

『くっ!うるさいのじゃ!し、試合に集中するのじゃ!!』

『はいはーい!』

『───!!』



──パリンッ!!



「行きなさい!」



〜〜♩︎〜♪︎〜〜♩〜♬〜〜♩



聞いているだけでうっとりしそうになる音を立てながらヒラヒラと舞う氷の蝶。

それは私の周りに現れては、突撃してくる。が、もちろん全て避けきった。



──ん?前よりも少ない?



そう。突撃してきた蝶の数が凄く少ないのだ。前回は数百を超える蝶が襲いかかってきたが、今回は数十程度。他は何をしているのか...?と、考えていると...




───パリンッ!ビキッ!!パキパキッ!!




ここら一帯の氷が軋むような音をたてる。私は悟った。最初から私狙いでは無かったのだ。



「──足場の悪いフィールドでは(わたくし)の独壇場ですわよ!!」

「...確かにこれは下手に動けないね...。」



凸凹とした氷のフィールド。欠けた氷の破片やさっき放っていた氷の波。それが幾つも重なって下手に動くとダメージを受けてしまうフィールドになったのだ。



──.......チンッ....



納刀した後、目を伏せて、刀の柄に右手を掛ける。




「.........ふぅぅ.........」

「な、何のつもりですの!?そんなに死にたいのですの!?」

「......。」

「....分かりましたわ!(わたくし)の全力を貴女にぶつけますわ!!《アイス・アイス・アイス・アイス・────」

「.........。」

「──ス・アイス・アイス・アイス・アイス・アイス・ランス》!!!」



氷の槍をひとつに纏める事もせずに、数で押し切ろうとするアリア。



──ズンッ!!!



一斉に地面からアヤネ目掛けて突き出す氷の槍。彩音はそのワンフレーム前に開眼し、抜刀した。




──.......チンッ......



あんなに勢いのあった氷の槍は彩音の数十cm離れた位置でピタリと止まる。そして...



──ピシッ!...パリィィィィンッ!!!



ほぼ同時に割れる氷の槍。


割れた氷の欠片は光を反射してまるで空からダイヤモンドが降ってきているような光景を醸し出していた。



「これで終わりだね。」

「...そうね...。私の負け、だわ。」

「でもアリアちゃんは強かったよ。」

「...そう。...早く殺しなさい。」

「まぁまぁ...。私が言うのもなんだけどアリアちゃんはもっと強くなるよ。」

「!......ぅん...。ありがと。」

「うん!」

「じゃあまたいつか会いましょう。...殺して?」

「ぇ...う、うん...。..........はぁ...。」




───スパンッ!




赤らめた顔で微笑まれるとやりにくいよ...。




『勝者!アヤネ選手!!これにて第2回戦は終了しました!!いやぁ皆さんカッコよかったですねぇ!!特にアヤネ選手!あの最後の技は早すぎて見えなかったですがカッコよかったです!!』

『.......。』

『?ブラキじゃ...さん....?』

『...あれは刀堂流の......。いや!...それは有り得ない...だってあの方は弟子を取らないと......。』

『え、えぇーと!!ブラキじゃさんがこんな感じなので10分休憩です!!では!また10分後にお会いしましょう!!』

『んん??...どうして......調べ直すか...。』




私は忌々しいゴリラの力をリリースしてどうせすずが待っているのであろう控え室に戻るのだった。...まぁ嬉しいけど。





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