第78話 第2回戦アヤネVSアリア①
『次の試合は何かと世間を騒がせているアヤネ選手VS素晴らしい氷魔法の使い手であるアリア選手です!!』
『多分じゃがアヤネはあの龍に変身する事は出来ぬと思うのじゃ。...まぁ他にも変身を持ってたらそれまでじゃがな。』
『何でですか?』
『そりゃああの手のスキルにはクールタイムというものが存在するじゃろう。現にアヤネもジークフリートもスズカも同じ変身はしてないようじゃしのぉ。』
『なるほどぉ!では現在アヤネ選手は変身不可という事ですか!これは相手のアリア選手にとってはいい情報かも知れませんね!』
『じゃが!準々決勝ではアリアを抑えてアヤネが1位だったからのぉ。どうなるかはまだ分からぬよ。』
『...そうでしたね。』
『───』
「アヤネ。私はまた貴女に会えて嬉しいわ!」
「そうなの?」
「えぇ。あの時言いましたわよね?」
「?」
「えぇ!?まさか覚えてないのですか!?」
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──────
「───また──で──」
──ザシュッ!!
──────
────
「あ!もしかしてまたあとでって言ってたの?」
「そうですの!...まさか聞こえてなかったとは...。」
「ぅ...ごめんね?」
「いいですわ!今度こそ貴女を倒してみせますわ!!」
「うん!私も負けないよ!」
私の得物は霊斬丸。今回は初手で《降霊刀》を使おうと思う。そうじゃないと厳しいからね。だって前回は焔風斬丸の《焔風刃》があったから勝てたけど、今回はどっかの誰かさんのせいでそれがないから使えない。
『──そろそろ始めましょうか!では!試合始め!!』
「《アイス・アイス・バレット》!!」
「《降──っ!?ふッ!はぁッ!!」
──バキッバキンッ!!
初手に使おうと思ったけど邪魔をされる。
「《アイス・リンク》!」
「《降霊刀》!」
相手とほぼ同時に唱える。足元が凍っていく中、前方に魔法陣が出現する。
出てきたのは...
──ドンドンドンドンドン!!!!
胸を思い切り叩いている私が今1番嫌っているやつ...
『ウッホォォオホォォオオイイイ!!!!』
「何でここにいるの!?!?」
「な!なんであのゴリラがここにいるんですの!?」
『ウホッ!ウホホ!!』
よく分からないが好意的な感じがする。...だが私はお前を許さない!...まぁ力は有難く頂戴するけどね。
それにしてもまさかプレイヤーの暴走したやつの力も使うことが出来るなんて思わなかった。もしかしたらこの魔物はちゃんとひとつの個体として存在してたのかな?...まぁどうでもいいけど。
《降霊刀発動──一時的に《馬鹿力》を得ました》
「...?力を...感じる...?」
「──イス・アイス・ブロック》!!よそ見は身を滅ぼしますわよ!!」
「っ!?」
そんな場合では無かった。いつの間にかアリアちゃんの背後に浮かんでいた無数の氷塊。いつぞやに見た光景である。
──ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォオン!!!!
「あっ...。」
──ドサッ!
避けるのに必死過ぎて、滑ってしまう。これもいつぞやの光景だ。
「まずっ!?」
──ヒュッ!!
──バキバキバキンッ!!!
「「え?」」
苦し紛れに放った一閃は周りの氷塊を砕いた。戸惑いながらも立ち上がって刀を構える。
──これがあのゴリラの力...?
そう思うほど強すぎる力だった。
「...何あの技ぁ...。
「なんか...ごめん...?」
涙目になるアリアちゃん。私と同じくらいの背の女の子だからまだ中学生ぐらいなのだろう。...だれがロリだ!?
「どうしたんですの?」
「いや...なんでもない...。」
「?」
いかんいかん...。戦闘中だ。集中しなきゃ!
「《ウォーター・ウェーブ》!」
──ザザァァ...ン...
「うわっ...と!」
「凍れ!《アイス・リンク》!!」
「そうはいかないよ!!はぁッ!!!」
───ズパァァァァア!!!!カチンッ!!
ゴリラの力のゴリ押しによる斬り上げは50cmの高さの波を切り開いた。そして、波はそのまま凍ってしまった。
「あ、貴女はモーセかなんかなんですの!?」
「違うけど?」
「普通は斬れませんわよ!?」
「あのゴリラの力だと思っていただければ...。」
「くぅぅぅう!!!!」
悔しいのか下唇を噛んで呻き声を上げるアリアちゃん。
「だめだよ下唇を噛んじゃ。」
「っ...。げ、ゲームだからいいの!!」
「あ、そういえばそうだったね。...でも現実でもやったらだめだからね?」
「ぅ...はい。」
「よろしい!」
「...《雪月蝶の協奏撃》!」
顔を真っ赤にしながらスキルを発動するアリアちゃん。今度は怒っているらしい。...私なにかしたかなぁ...?
○今日のスキル○
今日は《アイス・ブロック》です。
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【名前】《水魔法》:アイス・ブロック 消費MP:10〜
【効果①(LV.1)】スイカ大の氷塊を出すことができる。
【効果②(LV.5)】氷塊の形を変えることができるようになる。
【効果③(LV.☆)】消費MPを増加させることで硬く、大きくする事ができるようになる。
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