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第71話 憤怒の焔龍王スカーレット




『な、んと...!あ!アヤネ選手が...!ドド、ドラ、ドラゴンに...!?』

『落ち着くのじゃキョウよ。』

『ヒッヒッフー...ヒッヒッフー...』

『それはラマーズ法じゃ!!』



「ガァァァァア!!!!」



『おっとそんな場合じゃないですよブラキじゃさん!!あのアヤネさんの姿はまさにドラゴン!レイドボスとして君臨しています!!』

『....うむ。同時参加可能人数が1万人というとてつもなく大きな数字であることからして相当強力な存在なのじゃな!』

『つかぬ事をお聞きしますが...普通のレイドバトルだと何人ぐらい何でしょうか...?』

『最近確認された...いや、前々から確認はされていたが強すぎて最近になってやっと倒されたマグオクターブの同時参加可能人数が500人なのじゃよ...。』

『な、何ですって...?え?1つ桁が違いませんか...?』

『残念ながら正常じゃ。多分見ていた運営がこの不測の事態に人数増やしてくれたのじゃろう。とはいえここには10万人を超えるプレイヤーがおるでのぉ。生産職を抜いても全然足りるじゃろう。...まぁそれも本人に戦う意思があれば、じゃがの。』

『...。出来れば皆さん参加してください!私も参加しますので!!』


「「「ダメに決まってるだろぉぉぉお!!!!」」」

「俺らがやる!!」

「そうだ!!キョウさんはそこでいつも通り実況をするんだぁぁぁあ!!!!」



『あぅ...。分かりました。私はここで成り行きを見守ります...。どうか!頑張ってください...!!』

『ワシからもお願いじゃ。ワシがいても多分役に立たぬだけじゃからのぉ...。よろしく頼む...。』




「......。」



私は彩音...いや、憤怒の焔龍王スカーレットを見る。アヤネの後頭部に生えていた一対の立派な金色の角を生やす龍を見てあれがアヤネだったということを自覚させられる。



『1万人に到達しました!今のところ地面に降り立っていて飛んでいませんが、飛ぶでしょうから気をつけてください!!...そういえばあのスカーレットにはどう対処すればいいんでしょうか?』

『...この世界の情報を調べた限りだとワイバーンとかの竜種は魔物としているのじゃが、龍種となるともう神話とかの話になってきているんじゃよ...。それゆえ対処法はないんじゃ...。残念ながらのぉ...。』

『...初見戦闘という訳ですね...。』

『───』



「タンク、アタッカーは前衛だぁぁぁあ!!!」

「「「「おおぉぉおぉおぉおおお!!!!!」」」」


「魔法使いは後衛!!弓使いは真ん中に行け!!!」

「「「「おぉぉぉおぉぉぉおお!!!!」」」」


「サポート組はなんでもいいから前衛をサポートしろぉぉお!!!」

「「「「ぉぉぉおおぉおおおお!!!!」」」」



「グォォォオ!!!」



──ドンッ!!!



叫びながら翼を広げて飛び立つスカーレット。最早大き過ぎて音が爆発したような感じになっている。




──ピィィィィィ...。



紅く光る何かを口の前方に溜め始める焔龍王。その口が向いているのは──第7部隊。




「っ!防御魔法!!!!!!」

「「「「「はい!!!!」」」」」



──キキキキキキンッ!



1万人の参加者を10部隊に分け、その内の第7部隊の魔法使い達が自分達の味方を守る為に範囲防御魔法を張る。何重にも張られ、その数は100枚を優に超える。それは重なって圧縮され、下手な攻撃だと1枚も割れないような結界となる。


そして...



──ビュッ...!......ドゴォォォォンッ!!!!!!!


──ビュォォォオオオオ!!!



「「「「「「うわぁぁぁあぁ!!!!!!!」」」」」」

「「「「「きゃぁぁあぁぁ!!!!!!」」」」」



スカーレットが放った()()は第7部隊の防御魔法に直撃し、大爆発を起こした。

その衝撃波は凄まじいもので他の部隊の者達もそれに耐えていた。


張った防御魔法の近くにいた第7部隊はというと...。



「ぁ......ぐ...ぅ...。」

「ぅ...。」

「ごほっ...。ぁぅ...。」



防御魔法のほとんどが割られ、貫通してきた衝撃波によって吹き飛ばされていた。



「っ!弓使い!!構えぇぇぇぇええええ!!!!」

「......撃てぇぇぇぇぇえ!!!!」



──シュシュシュシュン...!!



──カキッカキカキカキンッ!!



「嘘だろ!?!?」

「そんな!!」

「なんだアイツ!!」

「無理じゃね?」


当然のごとく刺さらない矢。それは比較的柔らかいであろうお腹の部分でも同じであった。そして、無数に矢を放っている者もいたが、刺さることも無く、力なく地面へと落ちていった。


それを見ていた皆はもう既に諦めモードだ。



「私が倒す...!」


「そんなこと言ってもなぁ...。」



そんな中、声を上げたのは第1部隊にいた涼香。



「時間稼ぎ頼んでもいい?」

「.........分かった。」

「!ありがとう。」



涼香の真剣な目に折れたのか、時間稼ぎを了承する第1部隊隊長。



「連絡班!各部隊に時間稼ぎをするよう言ってくれ!!」

「分かりました!!」

「じゃあ始めるわ。」

「おう!時間稼ぎは任せておけ!!」

「任せたわ!あ!後MPポーションできるだけくれない?」

「分かった。副隊長に任せておく。」



そうして涼香の仕込みが始まった。



「《サンダーマイン》《サンダーマイン》《サンダーマイン》───」


涼香の作戦はこうだ。


まず、同じ場所に《サンダーマイン》を無数に仕掛ける。そして、これはぶっつけ本番だけど、《サンダービームストライク》を()()、スカーレットに放つ。ただそれだけだ。

だが、その全てが難しい。根気強くひたすら《サンダーマイン》を発動し、このゲーム内で上級魔法使いの課題とも言われている魔法の組み換えをぶっつけ本番でやるのだ。さらに、それをあの激しく動き回るスカーレットにぶつけるとなると難易度は跳ね上がるだろう。



でもやる。


親友(恋人)の為に!





敵だと強いけど味方になると弱くなるって良くありますよね〜。ん?べ、別に彩音がそうって訳じゃ無いと思うけどなにか?

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