第65話 アルキダスゼVSミュー
ミューside
「ふぅ......。よし!もう一度アヤネたんに会うために!!」
闘技場の出場口にて気合いを入れるミュー。
あの小さい体はとっても柔らかくてもう一度抱きしめたい気持ちでいっぱいだ。その為にもなんとかアヤネたんを愛でる会副会長であるアルキダスゼさんを倒さなければ...!
そうして入場した。
──ゴゴゴゴゴゴゴゴ.....!!!!
入るとめっちゃ殺気立ったアルキダスゼさんが既に仁王立ちしていた。その顔は正に鬼の形相。準トッププレイヤーであるミューであってもこの殺気にはたじろいだ。
「...お゛い゛ミュー...?」
「はひっ!!」
「良くも規律を破ってくれたなぁ...?」
ドスの効いた低い声を出すアルキダスゼ。その声に今にも漏らしそうになる...。
「いや、あの...。据え膳食わぬは女の恥...と、言いますか...そのぉ...。」
「ほぅ...?つまり言い訳はないとぉ...?」
「ぅ...。はいぃ...。」
「良かろう...アヤネたんを愛でる会副会長アルキダスゼ。お前をこの手で処してやる。」
「ひぃぃ!!!お助けをぉー!!」
『『......。』』
『なんじゃこりゃ...。』
『さぁ...?そ、それでは始──!』
「ゥヲラァ!!!」
「ッ!?」
───ガゴォォォオオオオンッ!!!!
ミューの大盾とアルキダスゼの足がぶつかり合い、重く低い金属の音が辺りに響く。
『アルキダスゼ選手!は、速すぎる!!』
『アルキダスゼはDEF、INT、DEXなどを捨てた代わりにSTRとAGIを極限まで突き詰めたスピード型パワーアタッカーなのじゃ!その持ち前のパワーにスピードが乗った一撃は凄まじいの一言である!!』
『で、では!ミュー選手は!?』
「ふ、ふんぬぅ!!!」
「む。」
受ける直前に片手剣を離し、両手で大盾を支えていたミュー。そこまでしてもHPが僅かに減り、足が少しだけ地面を擦ってしまった。
精一杯の声を出し、アルキダスゼを吹っ飛ばす。が、当然アルキダスゼはスタッと軽く地面に降り立つ。ミューは落とした片手剣を拾い直し、キッと相手を睨む。
「受け止めるとはやるようになったなぁ?ミューよ。」
「...当然です!全てはアヤネたんの為に!!」
「だが、皆我慢している規律を破るなんてのは言語道断。」
「...ドンと来いです!!」
「俺のスピードに着いてこられるかな?」
「...っ!?あぐっ!?」
──ドゴォォォォォォンッ!!!
『こ〜れ〜は〜!凄いスピード!!集中したらようやく見える程度のスピードです!!この一撃は重い!ミュー選手!今度こそ絶対絶命か!!』
『どうじゃろうなぁ...。確かにこれはちとキツいかもしれんのぉ。』
『やはりブラキじゃさんもそうお思いですか...。』
今度は辛うじて見えるという程度に速くなったアルキダスゼ。そのスピードを乗せて蹴った一撃はたとえ大柄な男であっても吹き飛ばされるだろう。
そうして吹き飛ばされたミューは壁にぶつけられ、HPを半分以上減らされたのだった。
「ま、まだです!!」
ミューは諦めずに立ち上がり、大盾と片手剣を握る。歓声が大きくなる中、ミューは意識をアルキダスゼだけに集中させた。
──シュパッ...
「...っ《カウンター》!!」
「うっ...がぁぁあ!?」
転移したように突然後ろに現れるアルキダスゼ。《カウンター》というスキルは相手とのタイミングが重要なスキル。
ジャストで発動したら相手の攻撃の威力を倍にして返すというかなりシビアなスキルだ。
それをジャストで発動し、自動で体が動く。
勝手に体が動き、大盾を使ってアルキダスゼの攻撃を逸らした後、持っていた片手剣が勢い余って突っ込んできたアルキダスゼの左脇腹から首に掛けて差し込まれた。
──そこは心臓の通る場所であり、アルキダスゼは光になってしまった。
「......はぁ...はぁ....すぅー.....はぁ.........」
バクバクとなる仮想の心臓を抑えながら呼吸を整える。
一瞬だけ沈黙の時間が流れた後、一気に大きな歓声が鳴り響いた。
『な、なんと!!あそこから逆転勝利を致しましたぁぁあ!!試合時間は僅か2分!!最短タイムです!!』
『いやぁ!凄いのぉ!わしもびっくりじゃ!まさかあそこから逆転するとは思ってもみなかったのじゃ!』
『次の試合はカインさんVSマオさんです!!』
『────』
鳴り止まない歓声を聞きながら私は中に戻った。
──次はジークフリートさんか。...無理くね...?
そう思いながらアヤネたんに会うという目的を果たすために勢いで自分の心を誤魔化したのだった。
○今日のスキル○
今日のスキルは《カウンター》です。
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【名前】《大盾》:カウンター 消費MP:50
【効果①(LV.1)】相手の攻撃を受け流し、反撃する。タイミングによって受けるダメージと与えるダメージが変わる。
【効果②(LV.5)】ジャストタイミングで発動するとダメージを受けず、与えるダメージは相手の攻撃の威力の2倍になる。
【効果③(LV.☆)】ジャストタイミングの猶予が伸びる(小)。
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