第64話 ジークフリートVSまじっち②
「《粘着質糸》《硬質糸》《耐熱糸》」
ボソッと呟き、同時に指から5本ずつ《粘着質糸》と《硬質糸》、《耐熱糸》を出し、捻って合体させて、地面に這わせていく。
そんな様子に気づいていないまじっちは悠長に魔法を行使しようとしていた。
「《ファイアー・ボール》!」
普通の魔法使いが放つ《ファイアー・ボール》よりも数倍大きいサイズの《ファイアー・ボール》が飛んでくる。それを避けて、着弾地点にある耐熱性粘着硬質糸を動かして引火しないようにする。だが...
──ピタッ...
あと少しで着弾するといったところでピタリと空中で止まる。
「《ウォーター・ビーム》!」
急に静止した《ファイアー・ボール》の方を見ていたジークフリートに水のビームが飛んでくる。それに数瞬遅れて、体に巻いていた糸を操り、変な動きでビームを避ける。
水のビームはそのまま闘技場の壁にぶつかる、と思いきやクイッと曲がって静止していた《ファイアー・ボール》を突き破り...
──ドゴォォォォォォンッ!!!
水蒸気爆発を起こした。
「...ぐうっ!!」
吹き飛ばされながらまたもや変な動きで空中で体勢を立て直す。
「まだ生きてるんすか...。」
「そこまでヤワじゃないよ。」
「そっすか。」
「今度はこっちからだね。」
「え...まずっ───!!」
そう言った後、俺は手のひらを上に向け、ギュッと握る。
──ギチッ......。
最初に忍ばせていた糸がまじっちに絡んでいき、遂には動けなくなる。
「くっ...。僕としたことが...。」
「悪いけど手を抜くつもりはないんでね。」
『おぉっと!!まじっち選手!いつの間にか張られていた罠によって絡め取られてしまう!!!』
『あの糸は《粘着質糸》と《耐熱糸》...あともうひとつが分からんが恐らく《硬質糸》を捻り合わせて作り出した糸じゃろう。この糸はあの変な動きをする為に身体中に這わせていたのじゃろう。』
『ふむふむ!では、もうまじっち選手には打つ手がないと?』
『そうなる...のかのぅ?』
『────』
『──』
「じゃあな。」
「う、うわぁぁぁぁあ!!!!!」
──ゴォォオオォォオォオオォオォオオオ!!!!!
突如、まじっちの体から炎が溢れてきた。それは俺の糸をも灰にしていき、まじっち自信も焦がしていた。
「む。」
「はーはっはっはーー!!!この炎は全てを焼き尽くす!!もちろんお前の糸もなぁ!!」
『なんとぉぉお!?まじっち選手!暴走しております!!こ、これはなんと凄まじい熱気でしょうか!!』
『《耐熱糸》を使ったとしてもあの熱には勝てぬようじゃの。』
『これは一気に形勢逆転!!ジーク選手!あっという間に窮地に立たされてしまったぁぁぁあ!!!』
『そうとも限らん。』
『ブラキじゃさんそればっかりですねぇ!?』
『─────。』
『───!!』
「《蜘蛛女の亡者》」
「っ!?」
──ビキッ...ボコッボコッ...パキッ......
背中から生える八本の足。スキル名から見て分かるだろう蜘蛛の足だ。
「っ!そ、それがどうした!!僕の炎は虫ごときに止められないぞ!!」
「そうかい?じゃあ試してみるか?」
「ぐぬぬ...っ!?」
──グサッ...。
「ぐぁぁぁ!!!」
「まだまだ!」
──ザクッ!グサグサグサ...ザクッザクッ...!
八本の足で一気に近づき、次々と攻撃していく。まじっちが纏っている炎を諸共せずに刺していく。
「不思議そうな顔だな。」
「...ぐぅ...!!」
「何せこの蜘蛛女の体は元々火属性だったからな!」
「な、にぃぃ!!」
「今度こそじゃあな!」
──グサッ!!
トドメをさした。
光になっていくまじっちの姿を見ながら俺は観客席から聞こえる歓声に答えるように片手を天に突き出したのだった。
次はアルキダスゼとミューの戦い。あのスレで有名なアヤネたんを愛でる会...だったかな?に所属している2人は一体どんな戦いを見せてくれるだろうか。楽しみだ。
○今日のスキル○
今日は《耐熱糸》《ウォーター・ビーム》《蜘蛛女の亡者》の3つです!
■■■■■■■■■■
【名前】《糸》:耐熱糸 消費MP:1mで15消費
【効果①(LV.1)】熱に強い糸を出すことができる。
【効果②(LV.5)】熱の耐性がスキルレベル上昇に比例するようになる。
【効果③(LV.☆)】熱を吸収して、自分のHPにすることができるようになる。
■■■■■■■■■■
【名前】《水魔法》:ウォーター・ビーム 消費MP:1発につき100消費し、継続して放つ場合は1秒につき50ずつ消費
【効果①(LV.1)】水属性の波動を放つことができるようになる。威力と射程は《水魔法》のスキルレベルに比例する。
【効果②(LV.5)】水のビームの形状を変えることができるようになる。なお、形によって威力は異なる。
【効果③(LV.☆)】水のビームをくねらせることができるようになる。
■■■■■■■■■■
【名前】《蜘蛛女の亡者》 消費MP:10分につき200消費
【効果①(LV.1)】背中から蜘蛛女の足を生やすことができる。
【効果②(LV.5)】八本の足をつかって走ることができるようになる。なお、使う足の本数が多ければ多いほど速くなる。
【効果③(LV.☆)】蜘蛛女の足からスキルを使うことができるようになる。
LV.1:AGI+30
■■■■■■■■■■