第63話 ジークフリートVSまじっち①
書いてて思ったんですけど、これイベント編めっちゃ長くなりそうだなって...。①って出た時点で察しましたよね...。こういう試合があと数回....。
・ジークフリート視点
視界が白く染まり、次の瞬間には闘技場の出場口にいた。
日が指す方へ歩き進めると歓声がどんどんと大きくなっていく。
──あぁ。楽しみだ...。
今回、イベントに参加したのは一時期スレで話題になったアヤネという人物と戦ってみたかったからだ。
いや、戦えなくてもいいが、出来れば戦ってみたいと思っていた。
そんなことを考えながら、広場にて予想通り勝ち進んできて、スズカ──こちらも多分レア種族だろう──と楽しそうに話すアヤネの顔を思い出す。
美少女と美幼女だったなぁ...と。
──────
───
「「「「「「「ワァァァァァァァア!!!!!」」」」」」」
「......。」
「ジークさん。僕勝ちますからね?」
と宣戦布告をするまじっちに対して苦笑いを浮かべる。
「生憎、俺はやりたい事があるんでね。...ここで負ける訳にはいかない。」
「...そっすか。じゃあ僕が勝ちます。」
「...。」
やれやれと手を上げ、試合開始の合図を待つ。すると、皆が座る席のやや上に対になるように置かれた大型テレビに映る2人の女性。
『今回!運営に実況を任せられた一般プレイヤーのこの私!キョウが実況を担当させていただきます!そして!解説は...』
『このわし!ブラキヅトメジャ!が担当させていただくのじゃ!!』
「「「「うぉぉぉぉお!!!!」」」」
「ブラキヅトメジャ!だぁあ!!」
「え!?まじで!?あの伝説の情報屋と数多のゲームで実況してきた2人がコラボだとぉぉお!?」
「ブラキじゃさん可愛いぃぃぃ!!!」
「キョウさんも可愛いだろぉぉ!?」
ほう。あのブラキじゃさんが解説か...。あの人の情報網は尊敬に値する。いつも助けられてるからいい試合をしなければな。と、画面に映る2人の女性に目を向けながら笑う。
「なに笑ってるんすか?」
「ん?いや、いい試合をしないとと思ってな。」
「なるほど。別に考えなくてもいい試合にはなると思うけどね〜。」
「ふっ。...そうだな。」
『──それでは試合を開始します!!』
それが聞こえた瞬間から俺の意識は戦闘だけに向けられた。
─────
──
「《粘着質糸》」
「時間かけるとあっという間に僕が死んじゃうからね!!全力でいくよー!!《エレメンタル・フォース》!」
『おぉーっと!!初手から全力を出してきましたまじっち選手!!これはいったいどういうこと何でしょうか!?』
『うむ。ジークフリートに対してはそっちの方が有効じゃろう。』
『その心は?』
『ジークフリートは糸を使って罠を張るんじゃ。だから時間をかければかけるほど罠だらけになって最終的に糸に絡め取られる...という訳じゃな!!』
『なるほど〜!では、ジークさんと戦う際には初手から全力でいくことが最適なんですね!』
『...いや、そうとも限らんけどな!』
『──────?』
『───』
10本の指から白い糸がニュルンと出てくる。
まずはこの闘技場全体に粘着力の高い糸を貼り付けていく。
まじっちは6つの基本属性を体に纏う。
普通、魔法使いといえば1つの属性を極めるものだが、まじっちは違った。
彼は基本属性全ての魔法を使い、相手を翻弄する...言わば器用貧乏というやつだ。
あの《エレメンタル・フォース》は前に1度だけ見たことがある。あれは体に6属性を纏い、必要に応じてその属性を1度だけMP消費なしで使うというスキルだ。
そして、属性を纏っている状態というのは身体強化と同じで、属性に合った強化が施される。つまり6属性を纏っている状態はDEXを除くステータスが強化されているに等しいということ。詳しくは知らないが、その倍率は2倍だとも言われている。
「《硬質糸》」
「《エレメンタル・フォース・リバレーション》!!」
並の剣じゃ切れない硬質化された糸を粘着力のある糸に絡めていき、立体的に罠を張っていく。
相手は全属性を一気に解放した。
「《不毛の大地》!」
まじっちは6属性全てが混ざったことによりドス黒くなった球を杖の杖頭に浮かべる。あの球の周りだけ空間が異常に歪んでいる。中心に向かうほど底知れない黒さをもっている球はまるでブラックホールだ。...まぁ見たことないが。
それをこちらに向けて放ってきた。...と言うよりは闘技場の中心に放った。
俺は闘技場の端っこまで距離を取り、次の糸の準備をする。
ゆっくりと飛んできた直径20cmのブラックホールは中心で止まると、どんどん膨張していく。直後...
──ズゴォォオォォォォオオォォオォォォオオオ!!!!
掃除機で吸う時の音を数倍大きく、そして低くした音を立てながら辺りのものを吸い込んでいく。それはもちろん糸も例外ではない。
「...また張らないとなぁ...。《超硬質糸》」
さっきの《硬質糸》よりも何倍も硬く、細い糸を目の前でグルグルと巻いていき、盾にする。それに隠れ...
───スッ......ドゴォォォオォオォオオォォォンンン!!!!
吸い込んだものを全て吐き出すように爆発するブラックホール。それは闘技場に張られている結界のようなものも振動させた。
『──これは凄まじいですねぇ!!流石のジークさんもこれには...』
『いや、まだじゃ。』
『え?』
白い煙が徐々に止んでいく。
だんだんと闘技場の床全体が見えてくるに連れて、1人の人影が映る。
『な、なななんと!!結界を揺らすあの凄まじい爆発から生き残ったぁぁぁぁあ!!!!!』
『ジークフリートは爆発する前に《超硬質糸》と呼ばれるスキルを用いて盾を作ったのじゃよ。威力を抑える為に《粘着質糸》も使って地面に張り付けてたしの。』
『なるほどなるほど!でもそうなると無敵ではありません?』
『そうじゃな。ジークフリートは事前に分かっている攻撃ならば大抵防げるのう。』
『...チートじゃないですかー。』
『いやいや。まだ弱点はあるんじゃよ?』
『それは?』
『炎じゃ。』
『炎?』
『うむ。やつの糸はどんな上等な剣でも切れぬがそれだけ。炎に弱いという点は変わっておらぬのじゃ!』
『じゃあ火属性で攻撃すればいいのですね!!』
『...いや。そうとも限らんけどな。』
『またですか!?』
『───』
『─』
歓声が鳴り止まない中、糸を消したジークフリートは獰猛な笑みを浮かべた。
○今日のスキル○
今日のスキルは《糸》《粘着質糸》《硬質糸》《超硬質糸》《エレメンタル・フォース》《エレメンタル・フォース・リバレーション》《不毛の大地》の6つです!
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【名前】《糸》 消費MP:技による
【効果①(LV.1)】《粘着質糸》《硬質糸》の2つのスキルを所持者に付与する。
【効果②(LV.5)】《耐斬糸》《耐打糸》《耐熱糸》の3つのスキルを付与する。
【効果③(LV.☆)】糸同士を組み合わせることによって糸の性質が変わるようになる。
LV.1:DEX+25
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【名前】《糸》:粘着質糸 消費MP:1mで10消費
【効果①(LV.1)】粘着力のある糸を出すことができる。伸ばせば伸ばすほどMP消費が高くなる。
【効果②(LV.5)】粘着力の強さを調整することができるようになる。
【効果③(LV.☆)】スキルレベル-10だけ下までの☆の武器では切れなくなる。
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【名前】《糸》:硬質糸 消費MP:1mで10消費
【効果①(LV.1)】並の剣では切れない糸を出すことができる。
【効果②(LV.5)】スキルレベル-5だけ下までの☆の武器では切れなくなる。
【効果③(LV.☆)】三本捻り合わせると《超硬質糸》に変化するようになる。
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【名前】《糸》:超硬質糸 消費MP:1mで30消費
【効果①(LV.1)】スキルレベルまでの☆の武器では切れない。
【効果②(LV.5)】《硬質糸》よりも細くなる。
【効果③(LV.☆)】《硬質糸》よりも数倍硬くなる。
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【名前】《エレメンタル・フォース》 消費MP:200
【効果①(LV.1)】6属性全てを体に纏う事ができる。
【効果②(LV.5)】使いたい属性の魔法を1度だけMP消費なしで放つことができるようになる。
【効果③(LV.☆)】《エレメンタル・フォース・リバレーション》を所持者に付与し、6属性全てを纏っている時に限り発動できるようになる。
LV.1:全+5
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【名前】《エレメンタル・フォース》:エレメンタル・フォース・リバレーション 消費MP:なし
【効果①(LV.1)】6属性全てを放出することができる。
【効果②(LV.5)】《豊かなる自然》《不毛の大地》の2つのスキルを所持者に付与し、6属性全てを放出した時に限り発動できるようになる。
【効果③(LV.☆)】《豊かなる自然》《不毛の大地》の2つのスキルの効力が上がる(中)。
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【名前】《不毛の大地》 消費MP:1000
【効果①(LV.1)】全てを吸い込む球を出すことができる。
【効果②(LV.5)】吸い込み終わった後、爆発させることができるようになる。威力は吸い込んだ量による。
【効果③(LV.☆)】自然の力を吸収し、威力を倍増させることができるようになる。ただし自然が枯れる。それは《豊かなる自然》のみ元に戻すことができる。
LV.1:INT+20
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・お知らせ
遂に新しい小説を投稿しました。名前は『”夢”の魔法少女〜夢を司る少女は何を見せる?〜』です。鍛冶屋の娘と同じ時間に毎日投稿していきますので暇でしたらそちらもどうぞ。