第61話 VS信者
「アヤネたん!」
「はい!」
雪の世界に響く2つの声。彩音とミューである。
「やっと2人きりになれたね!!」
「......え?」
「え、知らなかったの?画面見て画面。」
言われるままに画面の右下を見る。するとそこには『残り2人』という文字が...。
え、ってことは...
「...1体1ですか?」
「はい!私としてはずっとこのままでも良──。」
「今すぐやりましょう。」
何故か恐怖を感じて距離を取り、刀を構える。
「...分かりました。アヤネたんと戦えるだけよしとしましょう。」
「...。」
相手が大盾と片手剣を構えるのを見て走り出す。
最初に出会った時は防がれてしまったけど、対策は考えている。
「ふっ!」
「ふんっ!!」
刀と大盾がぶつか...らない。
フェイントである。ミューさんは攻撃が当たるギリギリまでこちらを見ているが、大盾に隠れた瞬間は死角になる。それを利用して刀を引っ込め、足を払った。
「うぎゃ!?」
「せぇい!!」
──ザクッ!!
転倒した所を狙って刀を突き刺すが、ギリギリで避けられ、氷の床を抉るだけにとどまった。
「...アヤネたん強いですね!」
「そちらこそです!!」
「では今度はこちらから!」
そう言って大盾を構えながら突進してくる。...しっかりとこちらを見据えながら。だが、私もただ見ているだけではない。
「《焔刃》!」
「ッ!?《ウォーター・ディフェンス》!」
《焔刃》を放つが、ミューさんの大盾全体に水が張り《焔刃》が掻き消されてしまう。
でも、防がれてしまうのは分かりきっていたので次の手を打つ。
「《焔刃》」
スキルを使い、地面に突き刺す。さっきまで使っていた技である。
───ドゴゴゴゴゴゴォォォォォォンッ!!!
「くっ...!!...うぇ!?熱いっ!!あ、あちち!!」
地面に亀裂が入り、そこから天に向かって火柱が立つ。ミューさんは大盾を地面に向けて、その上に乗る事により火柱の直撃は避けたが、大盾の表と裏は金属である。熱せられた金属は熱を通し上に乗っかる者を熱する。
そうして持てなくなった大盾を捨てたミューさんは片手剣1本で私と対峙するのだった。
「メイン装備は無いですが!私はアヤネたんを倒します!...大盾があればもっと多彩な技を出せたのに...!!」
「...。」
無言で刀を構える。相手もそれに倣い片手剣を構える。
「やぁぁあ!!!」
「せい!!!」
──スパンッ.........
金属の打ち付け合う音すらせずに勝負は着いた。
左肩から右の腰まで斬られたミューさんは私と目を合わせ一言。
「...今度は...負けません。」
その目には今まで見てきた、目がヤバい人のそれだったミューさんとは違い、真剣さしか見当たらなかった。
『サーバー3 アヤネ様 貴方は1/51位でした。おめでとうございます。』
「ふぅ...。」
ホッと息を吐き、また視界が真っ白に染まるのを感じながら目を閉じた。
─────
──
「──ぁやぁぁぁぁあああ!!!!」
「むぐぅ!?」
最近多いなこれ。ミューさんにもやられたこれ。なんでみんな抱きついてくるんだろうか...。それが謎である。
「あや!おめでと!」
「ありがとう!でもすずもでしょ?」
「そうだけど...なんで?」
「その顔見てたらわかるよぉ。」
「そう?」
「うん。」
「...よし。」
「ん?なにが?」
「んーん!なんでもない!」
「ふーん...。」
『お疲れ様でした!!次は皆さんお待ちかねのトーナメント戦でございます!!!』
「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!」」」」」」
『トーナメント戦における対戦表を送りますのでぜひ見てくださいね!!では!!30分後に開始致します!』
「あ、送られてきたよ?」
「うん。」
「んーと?あやの最初の対戦相手は...やさ男って人だってさ。」
「すずはぬこっていう人だって。」
「な!?ぬ、ぬこさんですって!?」
「え!?誰か知ってるの?」
「ぬこさんはトッププレイヤーの1人で猫の獣人なんだよ?」
「猫かぁ...。」
「......。」
そうして30分後、トーナメントが開始した。
○今日のスキル○
今日は《ウォーター・ディフェンス》です。
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【名前】《ウォーター・ディフェンス》 消費MP:100
【効果①(LV.1)】水属性の盾を使用者の盾に貼り付けることができる。ただし、使用者の装備が盾、または大盾でない場合は発動しない。
【効果②(LV.5)】使用者の装備が盾、または大盾でなくても発動できるようになる。
【効果③(LV.☆)】使用者の装備がなくても発動できるようになる。
LV.1:DEF+20
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