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第59話 氷のお嬢様




「アヤネたぁぁぁぁぁぁん!!」

「ちょっ!待っ──むぎゅっ....!!」



あぁ。名前も知らぬ女性に抱きつかれてるこの状況...。自分が情けないです...。はい。



「...ぷはぁ!...で、貴女は誰なんですか...?」

「ん〜?あ!そうだったね!私の名前はミューと申します!あと私とアヤネたん含めて5人なんで頑張りましょうね!!」

「はい。ミューさんですね?で、なんで抱きついているんですか...?」

「いやぁつい。」

「離れてください!」

「ごめんごめん!」

「こほんっ...さ、さっきはありがとうございました。」

「......。」



ちょっと不服だけどちゃんとさっきの礼を返さないとね。そう思いながらも目を逸らしてしまう。



「ど、どうしたんですか?」

「ツンデレ可愛い!!!」

「うわっ!?ビックリした......ツンデレ?」

「まさかこのような場面に出くわしてしまうとは!!おぉ!神よ!仏よ!アヤネたんよ!!!」

「......。」



...今のうちにどっかに行こうか。...うん。そうしよう。



そうして私は折れた瑞斬丸を回収し、未だ1人でブツブツ言っているミューさんを置き去りにして私はデカい扉を開けた。


扉の先はさっき予想した通り、謁見する為の部屋...広間?だった。




「──ぬ。なんじゃ。セバスが倒されてしまったのか?」




歩きながらキョロキョロと見回していると不意に前方から声が聞こえてきた。

声の主は王座らしき椅子に座っていた少女。多分私と同じくらいなんじゃないかな?...私は小さくないけどね。




(わたくし)の名はアリア。ここまでいらっしゃったのは褒めて差し上げますわ。...ですが、貴女にはセバスの借りを返さなければなりません。」

「...。」

「...どうかしましたか?」



何も反応が無いことに不安になったのか恐る恐る聞いてくるアリアちゃん。


「...いや。それもロールプレイってやつなのかなぁって。」

「...。そこは何も言わないの!!」



セバスチャンさんが言っていたお嬢様というのもこの子だろう。そしてロールプレイっていうのはよく分からないけど、この子も演技をしているのだろう。

今度すずと一緒に映画見に行こ──



「くぅっ!!」



───キィィィンッ!!



「もう戦闘は始まっておりますわよ?」



映画について考えていたら突然目の前に氷塊が現れた。それをなんとか焔風斬丸で弾き、構える。



「...そう来なくては!《アイス・リンク》!」



──パキパキ...パキパキパキ....ピシッ!!



アリアちゃんが持っていた蝶の細工が沢山されている銀の杖をガンッと床に突くとそこから広がるように床が凍っていく。

そして、ついに床が全面凍ってツルツル滑るようになった。まるでスケートリンクだ。



(わたくし)特製のステージの出来上がりですわ!」



満面の笑みで王座から飛び降りて私と同じ高さまで降りてくる。



(わたくし)が捕まるのが先か貴女が凍るのが先か...。」

「...あ、滑るのね。」



そう言ってスケート選手のように滑り出し、魔法を唱え始めた。



「《アイス・バレット》!」

「せいっ!...うぎゃっ!?」



──ヒュッ...バキッ!!



焔風斬丸で真っ二つに斬り裂いたと同時に滑ってしまい、お尻を強打してしまった。

そしてなんとか立ち上がり、相手の動きを注視する。




「どうなさいましたか?そんなに受けてばかりいらしてましたらいい的でございますわよ?《アイス・アイス・アイス・アイス・アイス・アイス───」


「っ!?まずい!」


物凄い早口で魔法を唱えるアリアちゃん。《アイス》ひとつに着き1個ずつ直径5cmの氷の球がアリアの背後に浮かぶ。これはヤバいので注視するのを止め、早速見たことを実践する。



──スィーーーー......



「なるほど...。こうすれば速くなるのか...。」



アリアちゃんを観察することでその滑る技術を奪う。



「───・アイス・アイス・アイス・アイス・アイス・コンバイン・インジェクション》!!」



無数に出現した直径5cmの氷の球が幾つかと合体し、発射される。その大きさは10倍の直径50cmにも及ぶ。



──バコォォォォォォンッバコォォォンッバコォォォォンッバコォォォンッ!!!



滑りながら避けたり、刀で力の向きを変え、方向転換させたりしながらばら撒かれる氷の弾丸が止むまで凌ぐ。



「《焔刃》」

「なるほど!魔法剣ですか!」



魔法剣がどのような物なのかは知らないので無視し、こちらも相手に合わせて《焔刃》を放っていく。



「むぅ。んぐっんぐっ...。まだまだですのよ!!」



アリアちゃんは謎の青い液体を飲み、もう一度魔法を唱えてきた。ちなみに、アリアちゃんが滑って逃げて、私がそれを滑りながら追いかけている形だ。



「《アイス・アイス・アイス・ランス》!!」



──ドゴォォドゴォォォドゴォォォォォォォンッ!!!



私の進路上にある床から生える3つのデカい氷の氷柱。それをスイスイっと避けていってこちらも行動に移す。



「《焔風刃》!」



刃に纏う炎が《焔刃》よりも大きい。これは風で強化されてるのかな?

そしてそれを...



「りゃあ!」



──ボォォボォォオオオオオオオ!!!!!!


私の前で滑っているアリアちゃんを真っ直ぐ放った2つの炎で行き場を無くす。

放った炎は未だに轟轟と燃えている。



「これで逃げられないね!」

「くっ...ですが!──」





アリアちゃんが次に放った一撃はとても綺麗なものだった。



○今日のスキル○


今日は《アイス・リンク》《アイス・バレット》《アイス・ランス》《合成》《射出》《増幅詠唱》《焔風刃》の7つです!



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【名前】《水魔法》:アイス・リンク 消費MP:200

【効果①(LV.1)】半径100m四方を徐々に凍らせることができる。


【効果②(LV.5)】レベルが上昇する毎に耐熱、強度が上昇するようになる。


【効果③(LV.☆)】凍らせた場所から水魔法、または氷魔法を放つことができるようになる。



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【名前】《水魔法》アイス・バレット 消費MP:40

【効果①(LV.1)】こぶし大の氷の礫を放つことができる。


【効果②(LV.5)】MPが続く限り放つことができるようになる。


【効果③(LV.☆)】消費MPを増加させることで大きさ、攻撃力、速さを増加させることができるようになる。



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【名前】《水魔法》:アイス・ランス 消費MP:50

【効果①(LV.1)】大きい氷の棘を地面から生やすことができる。


【効果②(LV.5)】MPが続く限り放つことができるようになる。


【効果③(LV.☆)】生やした場所からさらに生やすことができるようになる。



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【名前】《合成》 消費MP:10

【効果①(LV.1)】自分が放つ魔法を合成させることができる。ただし、同属性のみ。


【効果②(LV.1)】合成させた魔法の効果を増加させる。


【効果③(LV.☆)】全属性自由に合成できるようになる。


LV.1:INT+25

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【名前】《射出》 消費MP:10

【効果①(LV.1)】ボール系の魔法に使うとスピードと威力が増加する。


【効果②(LV.1)】レベルが上昇する毎にスピードが上昇する(小)。


【効果③(LV.☆)】全ての魔法に使うことができるようになる。


LV.1:STR+10

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【名前】《増幅詠唱》 消費MP:1回につき100消費

【効果①(LV.1)】1度だけ、自分の使う魔法を連続して言うと2倍に増える。


【効果②(LV.5)】5回まで倍増させることができるようになる。


【効果③(LV.☆)】MPが続く限り倍増させることができるようになる。


LV.1:DEX:10

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【名前】武器スキル:《焔風刃》 消費MP:75

【効果①(LV.1)】風で強化された炎を刀に纏わせることができる。さらに、それを放つことができる。威力は武器に使った素材とスキルレベルに比例する。


【効果②(LV.5)】消費MPを増やすとその分威力が高まるようになり、地面に放った炎はMPを毎秒10消費することによって消えなくなる。


【効果③(LV.☆)】風で強化された炎を5回まで連続で飛ばすことができるようになる。


LV.1:STR+30

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ちなみにミューさんはこの後生放送を見ていたルーナさんを筆頭にこってりと絞られることになるのだが、これはまた別のお話。



???「私も抱きしめたかったのにぃ!!!」


???「ふふふ。私なら何時でも抱きしめられるから良いけどね。」


???「くっ!!うらやまけしからん!!」


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