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第55話 お宝



山にはやはり誰もいなかった。

そして、もう少しで山頂に到着するという頃、途中で半壊している小さな小屋を見つけた。



「...どう見ても怪しいよね...。」



小屋の周りに木が生えておらず、草も円を描くように生えていなかった。正しく誰がどう見ても怪しいと言うだろう。



「失礼しま〜す......。」



恐る恐る屋根が中途半端に残っている小屋に踏み入り、中を見回す。いつの間にか真っ昼間になっていたので電気が着いてなくても薄らとだが明るい。



「......。」



踏み込むとギシギシ鳴る床に倒れている椅子や棚、ホコリを被っている机に誰も使うことの無いベッドなどがあり、物も散乱していて正に廃墟だった。



「...本当にこんな所にお宝ってあるのかなぁ...?」



物があちらこちらに散乱している為、踏みどころを探しながら同時にお宝を探す。

あの男の霊が言っていた通りならこの山にお宝が眠っている筈だ。

...別に私としては取らなくても良かったんだけど暇だからね。それにもしすずにとっていいモノだったらすずにあげたいし。



そんな思いでギシギシと鳴らしながら宝を探す。すると...



ギシ......ギシ....ゴトッ...ギシ...



「ん?」



1箇所だけ音が違う床を見つけた。



「ん〜...?」



四つん這いになって床の切れ目を探す。音が違うという事はそこが切り離されているという事。

繋がっていたとしたら同じ音が鳴るはずだからね。



「.........みっけ。」



僅かに空いている隙間。ほんの僅かで2mm程度しか空いていなかった。



「開けにくいな...。」



丸型の床でちょっと爪を入れて開けようとしたけど少しだけ分厚いからか引っかかってしまう。



「う〜ん......。あ。」



何かを閃いた彩音は刀を構える。そして...



──スパッスパッスパン!!!



床を正三角形に斬った。



──ヒュゥゥゥゥ........ガランッゴロンッ!!



正三角形に斬った木材が落ちておき、数秒も置かず木材がぶつかる音が鳴り響いた。



「結構近いのかな?ちゃんと梯子もあるし...。」



ただ空いていただけの穴ではなく、人工的に掘られた穴だということが分かった。



そうして彩音は梯子で降りた。



───────



「う....わぁ...。」



降りた先は一言で言い表すならば悪趣味。

所狭しと人の頭蓋骨が置かれ、部屋らしきここには明かりは着いているもののその灯りが紫色の炎だったりと何かの儀式でもしているのかと言いたいほど怪しさ満点だった。


小屋よりも慎重に踏み進めていく。

なんたって頭蓋骨だからね...。なんか踏んだら呪われそう...。



「魔法...陣...?なんでこんな所に...ん?」



部屋の真ん中にあった魔法陣の上に何かの人形が置かれていた。魔法陣に近づき、手に取って鑑定してみる。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【名前】呪いの人形:品質8

【説明】来る日も来る日も魔法陣の上で魔力を込められ続けた人形。手に持った者を呪い、手放してもいつの間にかインベントリの中に戻っている。この人形は主を探しており、見つけたら主を守りたいと思っている...らしい。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「.........あちゃー。」



やってしまった。

少女の人形で結構可愛いけど流石に怖い。


う〜ん...。インベントリにいるだけならいい...のかなぁ...?



それと主って誰なんだろう...?そこもちょっと気になるなぁ。いつかその主って人を見つけられるといいなぁ。...返してあげたいし...。



そうして呪いの人形を手に入れてしまった私は小屋から出て、しばらく歩き続けた。


そして...



──────


───


『残り50名となりました。これから範囲縮小を開始します』

「ひゃあ!?」


唐突に頭に響く機械音のような声。



「残り50人かぁ...。あと少しだね!」



しばらくブラブラしててやる事がなかった彩音にとっていい情報だ。

そして、範囲縮小はその名の通り、行動できる範囲が狭まるのだろう。



真ん中が何処かに分からないけどとりあえず狭まってきたら内側に逃げよう。



─────


───


『残り10名となりました。』

「うわっ!?」


またもや頭に響く機械音のような声。

残り50人になってから敵に会えずにいた彩音はちょっと焦る。



「わ、私何もしてなかったのに...。」



明らかに近づいたらヤバそうな壁がゆっくりと近づいてきていたので必死こいて走っただけである。残り10人になってからはこのマップを囲う壁が全て見えるようになっていた。その範囲は直径100mぐらいだろうか。

この中に他の人が9人いるのか...。


『残り5名となりました』


あ、他に4人いるのか...。減るの速いなぁ...。



──ドゴォン...!


私が今いる壁に近い所から真反対に位置するところから爆発音がした。



「....行ってみようかな...。」





そして、移動しているうちに1人に見つかり、もう1人から横槍を入れられ、三つ巴になるのだった......。




○今日のスキル○


今日は《鑑定》です。


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【名前】《鑑定》 消費MP:25

【効果①(LV.1)】対象のステータスを見ることができる。レベルが上昇する毎に見ることができる情報も増えていく。ただし、隠蔽された情報は相手のスキルレベルよりもこのスキルレベルの方が低いと見ることができない。


【効果②(LV.☆☆)】全ての情報を見ることができ、隠蔽されていても見ることができるようになる。


LV.1:INT+10

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