<< 前へ次へ >>  更新
69/271

第54話 降霊



《竜の力》を解除し、ホッと息を吐く。そして、また瑞斬丸を腰に据える。

次に《竜の力》が使えるのはゲーム内では明日という事になる。それまでは切り札である《竜の力》を使うことが出来ない。堅実な立ち回りをしないとね...。



「...危なかったなぁ...。」



そう。危なかったのである。

1000本の矢がほぼ同時に襲いかかってくるというのは現実には有り得ないことだからヒヤッとしたけど、《竜の力》のお陰で助かったといったところか。また会ったらもう1回やって貰いたいな...。特訓になると思うんだよね。

さっきはギリギリで避けれた矢が結構あったからもうちょっと余裕を持って回避したい。それと、もうちょっとだけ動きを最小限に抑えられたかもなとも思っている。



とまぁ、反省はここまでにして他の所に行くとしますか。



そうして私は綺麗な森林を見て、名残惜しく思いながら抜けたのだった。




────



歩いて数十分。

私は今、湿地帯らしい所にいる。



「...家?」



遠目から見て、小さめだけどちゃんと生活できる家が5つ固まっているのを見つけた。



「ちょっとした村なのかな?」



まずは人がいるのかを見て、大丈夫そうだったらそのまま通り抜けようかなと思う。

なんたって後ろから狙われたら危ないからね。確認は大事だよ大事。



そうして近づいてみると...



「──隙あり!」

「──食らえっ!」

「──《アース・スピアー》!」

「ッ!?」


──シュッ!

──シュパッ!

──ドゴォォォン!!



1つ目の家に近づいた途端、周りに群生する近くにあった叢から忍者の使う苦無と人に地面から茶色の槍が出てきた。



どれも違う急所を狙ってきて、中々に連携の取れた敵なのだと思う。

だが...



──キキンッ!!



《アース・スピアー》を避け、苦無を弾きながらそのまま剣を受け止める。


「なぬっ!?」

「くっ!!」

「っ!ファ、《ファイアー・ボール》!」

「《水刃》ふっ!」

「がっ!?」




受け止めたままスキルを発動し、剣を持った男を蹴り飛ばす。そして、《水刃》を《ファイアー・ボール》に向けて放った。



──バジュッ!!



「──ここですっ!!」

「...。」



──ギィィィンッ!!キィィンッキンッキィィィンッ!!



その隙を突いて背後から両手にもつ苦無で忍者が斬りかかってきたがそのことごとくを瑞斬丸で弾いていく。



「せいっ!」

「きゃあっ!?」



両手を外に弾かれ、無防備になったお腹を横に薙ぎ払う。だが浅い。咄嗟に後ろに引いたのだろう結構強い人だ。



「ぐ...うぅ...。ま、まだまだです!!」

「俺もやるぜ!」

「わ、私も!!」

「えぇ...。」


剣士の男の人には鳩尾を狙って蹴ったけどまだ立てるのか...。

大変だけど...。頑張らないとね。すずと会いたいから。



「じゃあ...」


そういって私は瑞斬丸を納刀し、霊斬丸を抜刀する。何故()()()にしたかというと、長引きそうだから。相手は連携も取れて諦めるなんてしないだろうから長引くと不利になるんだよね...。だってHPは無限じゃないから。咄嗟に避ける能力がある事だし余計に長引きそう...。



という訳で。



「《降霊刀》」



──ポォゥ......。



白い魔法陣が目の前に展開され、人型の霊が出てきた。




『──かつてこの地に...』

「急いでるんで手短にお願いします。」

『えっ、あ、うん。えーと...あの山に眠る宝を守ってた霊です。』

「はい。ありがとうございます。出来れば力を貸してくれませんか?」

『え、うん。』



──シュゥゥゥ...



刀に吸い込まれるように入っていった男の人の霊。この戦いが終わったらさっき指さしていた近くにある山へ向かおう。

この霊がもたらす恩恵によっては結局変わらないということもあるが、それはもう運でしかない。



《降霊刀発動──一時的に《AGI×3》を得ました》




お!いいんじゃない?



「「「.........。」」」


「さぁ行きますよ!」



呆然と、口を半開きにしながらこちらを見つめる3人。



「...ふっ!」

「えっ!?ちょま...ぎゃあ!!」

「...やっ!」

「うぇぇぇぇえ!?!?」

「...せぇい!!」

「きゃぁぁぁ!?」



多分あの男の人の霊はきっと素早さで相手を翻弄するタイプの人間だったんだね...。

だって守るって言ってたから守護者みたいな立場でしょ?なのに言っちゃ悪いけど見た目がひょろひょろだったからね...。パワーがない分AGIに沢山SPをつぎ込んだと思う。


その素早さをもって一瞬で3人を斬り伏せた。



「ぐぅぅ...。最後に...一つだ...け...。」

「なに?」

「後で...刀......造ってもら...って...良いです...か...?」

「え?いいよ?ちゃんとお金払ってもらうけど。」

「!!ありがとう...ございます...!フレンド...登、録しま...しょう!」

「うん。」



あの忍者の女性は戦っている最中も刀を羨ましそうに見つめてたからね...。



そうして他の2人ともフレンド登録した後、私は宝の在処を求めて山に入ったのだった。

ちなみに忍者の女性はノイチさんで剣士の男性がドーソンさん。そして、魔法使いの女性がティニさんという名前だった。



○今日のスキル○


今日のスキルは《アース・スピアー》と《ファイアー・ボール》、《降霊刀》の3つです。


■■■■■■■■■■

【名前】《土魔法》:アース・スピアー 消費MP:50

【効果①(LV.1)】地面から土属性の槍を生やすことができる。速さ、威力は《土魔法》のスキルレベルに比例する。


【効果②(LV.5)】5回まで連続して出すことができるようになる。


【効果③(LV.☆)】大きさ、形を自由に変化させることができるようになる。



■■■■■■■■■■

【名前】《火魔法》ファイアー・ボール 消費MP:50

【効果①(LV.1)】大きな火の球を放つことができる。速さ、威力は《火魔法》のスキルレベルに比例する。


【効果②(LV.5)】爆破させることができるようになる。威力は《火魔法》のスキルレベルに比例する。


【効果③(LV.☆)】消費MPを増加させることで威力が高まるようになる。



■■■■■■■■■■

【名前】武器スキル:《降霊刀》 消費MP:200

【効果①(LV.1)】その地にいる霊をランダムで召喚することができる。


【効果②(LV.1)】召喚した霊をこのスキルを使用した武器に取り憑かせることができる。


【効果③(LV.1)】武器に取り憑かせた霊の能力をランダムで一時的に得ることができる。


LV.1:MND+20

■■■■■■■■■■

<< 前へ次へ >>目次  更新