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第53話 彩音さんは借りを返したい




あの凄い沢山撃ってくる弓使いを逃してから体感で約3時間。私は自然豊かな森林を歩いていた。遠くから聞こえてくる川の音や虫の声。



「...マイナスイオン......。」



ふと呟く。さっきまで戦っていたとは思えないだろう。それ程までに神秘的で癒されるのだ。欲を言えばずっとここにいたい...。そう思うほどに...。



──シュッ...!!


─ドゴォォォン!!



「また来たね。」



最初と同じ出会い方になったが、相手もそれが分かっているのか、初手から爆発する矢を放ってきた。それを避けて、飛んできた方向を見据える。



「今度は逃がさないよ。」



刀に右手を添え、彩音は真っ直ぐに走り出した。




「......。」



手に持つは瑞斬丸。さっきとは違いただただ真っ直ぐに走る。飛んでくる矢は減速せずにそのまま斬り伏せる。爆散する矢は...



「《水刃》」



──ジャバッ...ドゴォォォン!!



ここで撃ってくるだろうなというタイミングで《水刃》を相手とほぼ同時に飛ばし空中で爆散させる。


だが、相手もただ単に撃ってくるだけではない。場所を変えながら、私の死角から撃ってくるから油断は出来ない。



そして残り100m程になった頃。




──ザッ...。



「「.........。」」



突如目の前に現れる1人の男。手に立派な弓を持っている為弓使いである事は確定だ。



「...ここまで防がれたのは初めてかもな。」

「それはどうも。」

「なぁ。」

「はい。」



「......1つ勝負といこうじゃないか。俺の技を受けきれたら俺の負け...どうだ?」




男は私に勝負を持ちかけてきた。正直乗る意味が無いのでそのまま斬っても...



「誰にも見せたことが無い技を特別に見せてやるよ。」



...いい。けどちょっとだけ気になるかなぁ...って。



「...それって私にメリットあるの?」

「無い。が、俺をここまで追い詰めた奴には試してみてぇなって。」

「...そう。分かった。いいよ。」

「!ほんとか?」

「うん。」



「じゃあ受けたこと後悔すんなよ!」

「もちろんです!」



こうして3時間越しの戦いが始まる。




「俺の全身全霊の技ッ!受けてみやがれッ!!」



そうして男は弓を私に向けるように構え、()()()()()()()()()()()弦を引いた。



「《オールマジック・サウザンド・ボウ》!!」



引かれた弦が弾性力によって弾き出される。直後、真正面に現れる1000の矢。それはそれぞれ色が違い、とても綺麗だった。



──ビビビビビビビビビビュッ!!!



一斉に...ではなく、ほんの少しだけタイミングをずらされた矢が私目掛けて飛んでくる。




「──《竜の力》」



──ビキビキビキ...バキッ...



音を立てながら変化していく私の体。その音を聞きながら私は手を前に出し、構える。刀はとっくにしまっているので無手だ。



──ドゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォンッ!!!



()()()()で鳴り響く爆発音。それもそのはず、《竜の力》によって倍増されたスピードが反射神経のスピードをも上げ、飛来する矢を全て刺激しないように手で逸らしているからだ。

それによって当たらなかった矢が後方に飛んでいき、地面や木に当たった矢が爆発し、何らかの現象を起こしているのだ。



「な、ななな...なん...だ、と...?」



放ち終わり、閃光が止んでいく中、光から姿を現すは体の半分程度が真っ赤の鱗で覆われた無傷の竜人美少女の姿。



「相手が本気を出してるんだからこっちも本気を出さないと悪いでしょ?」

「ははっ!なるほどな。流石にそこまでは予想してなかったぜ...。はは、は...。」



苦笑いを浮かべる男。



「そういえば名前なんて言うんですか?」

「ん?あぁ。俺の名前はヨイチマル。一応トッププレイヤーなんて言われてるけど俺はそうは思わねぇ。...こんなに小さい子にも負けちまったら尚更だよな...。」

「は?」

「おっとすまんすまん。」



あ、つい出ちゃった...。おほほ。



「んん!私は...」

「アヤネ...だろ?」

「!?」

「何せ有名だぜ?お前さん。──サーディンに現れた竜人美少女。──竜人ロr「ん?」すまん。──美少女鍛冶師...とかな。」

「ちょっと不本意な名前もあるようですが...。」

「まぁ気にすんな!」

「はぁ...?」

「...今回はお前さんと戦えて良かったぜ。」

「そうですか?」

「あぁ。だって俺の編み出した必殺技を無傷で受け切りやがったからなぁ...。」



遠い目になるおと...ヨイチマルさん。



「そして、()()が見れただけ収穫はあったさ。」

「そんなもんですか。」

「そんなもんだ。じゃあ、俺を殺してくれ。」

「...分かりました。」





そうしてお...ヨイチマルさんの首を斬った。







当然この戦いは生放送で映され、スレが盛り上がったのだった。

○今日のスキル○



今日は《水刃》と《オールマジック・サウザンド・アロー》です!


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【名前】武器スキル:《水刃》 消費MP:30

【効果①(LV.1)】水を刀に纏わせることができる。さらに、それを放つことができる。威力は武器に使った素材とスキルレベルに比例する。


【効果②(LV.5)】消費MPを増やすとその分威力が高まるようになる。


【効果③(LV.☆)】水刃を5回まで連続で飛ばすことができるようになる。


LV.1:INT+15

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【名前】《弓術》エンチャント:オールマジック・サウザンド・アロー 消費MP:2500~

【効果①(LV.1)】全基本属性のLV.1魔法を1000本の矢に付与し、射出できる。ただし、全基本属性魔法LV.1を習得していないと発動しない。


【効果②(LV.5)】消費MPを増やすとその分威力が高まるようになる。


【効果③(LV.☆)】属性ごとに射出順を決めることができるようになる。



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