番外編④ サーディン洞窟
「ここがサーディン洞窟...。」
満身創痍な涼香の前に立ちはだかる洞窟という名のダンジョン。
ここは特にこれと言った公式の名前は無いのだが、プレイヤー達の間ではサーディン洞窟と呼ばれている。サーディンの近くに、他にも洞窟はあるはずなのだが、ここが1番深くて物資が豊富なダンジョンなのでサーディンという名を冠している。
そして、入口からしてデカい。直径50mの大きな縦穴で覗き込むとそこが見えない。
では、どうやって入るのか?
それは縦穴の壁面にある人工的に造られた階段を降りればいいのだ。
さっきも言ったがここは有名な場所。手を施されていないはずが無いのだ。
「ひぃぃぃ...暗いなぁ...!《トーチ》」
今、涼香に怖いという感情は無い。寧ろ初めてのダンジョンでウキウキワクワクニッコニコしている為にハイテンションなのだ。そして、火魔法である《トーチ》を発動。これで涼香の周りだけ明るくなる。
「「「ギィィギィィ!!」」」
時折横穴から出てきたコウモリ達が襲いかかるが...
「おっと《サンダースプレッド》。」
──バチバチバチバチ...!!
「ギィィ!?」
「ギギギギッ!?」
「ギィィィ!!」
と、このように簡単に倒してしまう。普通の女の子ならばちょっとした物音でもこのような暗い場所ならば悲鳴を上げていた事だろうが、涼香は冷静過ぎた。
階段を降りてから最初の大きな横穴。ここも中々にデカい。
「虱潰しに攻略するぞぉ!」
気合いを入れて横穴に突入。
「「「「「ギジャギジャギジャギジャギジャ...」」」」」
「おっ!蟻だ!」
顎をカチカチと鳴らしながら土を削っている1m位の茶色い蟻。
「じゃあ《サンダーフィールド》。からの《サンダーバースト》!」
《サンダーフィールド》で地面に電気を掛けめぐらせ、電気系の技の威力を上げる。さらに、探知も出来て、さらにさらに《サンダーフィールド》を使った後に《サンダーバースト》のようなランダムで雷系広範囲攻撃魔法を使うと、自動的に探知した相手に当たるのだ!要するに強制的に避雷針にするって事だね。
──ズガガガガガガガガガァァァァァァアン!!!
「「「「「「「ギチィィィィィィ!?!?!?」」」」」」」
物凄い轟音と共に茶色い蟻の断末魔が洞窟内に響く。
《LV.☆6→☆7になりました》
「これだけ倒せばそりゃ上がるよね。」
《トーチ》だけでは分からなかったけど、どうやらここは相当広いスペースだったらしく、蟻が約百匹位いた
視界の右下らへんに《ソイルアントを討伐!経験値──》って書いてあるからね。...百匹分。
「単発じゃなくてほんとに良かった。」
もし仮に単発魔法で攻撃していたら近くにいた他の蟻百に近い数が一斉に襲いかかってきだろう...。そう考えると肝が冷える思いだ。
蟻がいた大きめな部屋を抜けたらまた通路になっていて、しばらく進むと分岐地点に着いた。
「ふーむ...。右か左か...。よし!ここはクラピカで左で!」
右側よりも少し大きめな通路に進む涼香。
「ギジャギジャ!」
「《サンダーボルト》」
「ギジジジジジジ...!?」
こいつらは敵ではない。数集まれば強大な敵になるだろうけど1匹ならば怖くない。
そうやって少しずつ賢明に進んで行った。
「「「「「ギジャギジャギジャギジャギジャギジャギジャギジャギジャギジャギジャギジャギジャ....」」」」」
「うっわめっちゃいるぅ...。」
奥に進むと共に大きくなっていく蟻の声。案の定、それは正しかったようで、広間には無数の蟻がいた。
「《サンダーフィールド》《サンダーバースト》」
──ジジジ...ドコゴゴゴゴォォォォォン!!!
「「「「「「「「ギジャァァアァァァアァァァアァ!!」」」」」」」」
即座にフィールドを広げ、技を放つ。
流石にこれだけいれば全て倒しきることは出来なかったようだった。
そして...。
「ギガァァァァァア!!!!」
ソイルアント達の声を野太くした感じの声が響くと、騒然とした空気が一瞬で静かになった。
「な、なに...?」
「ガガガガギギギギガギギギガガガギ!!!」
「見えない...《ファイア》!」
──ボォウッ!
声のする方に投げ、相手を確認する。
──バスッ...!
「ガギガガガァァァァ!!!!」
当たったのは茶色い壁。
だが、さっき当たった時に飛び散った炎の欠片で顔が見えた。
そう。当たったのは茶色い壁ではなく、女王蟻の腹だったのだ。
「でででででかすぎぃ!!」
びっくりしすぎて愛杖を落とすところだった涼香はギュッと握り、構えたのだった。
○今日のスキル○
今日のスキルは《火魔法》の《トーチ》と《風魔法》の《サンダーフィールド》と《サンダーバースト》の3つ。火魔法は《風魔法》と同じなので省略させて頂きます...。
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【名前】《火魔法》:トーチ 消費MP:1発につき5消費し、継続する場合は1秒につき1消費
【効果①(LV.1)】手元に火属性の球を出すことができる。明るさは《火魔法》のスキルレベルに比例する。ただし、攻撃性は無い。
【効果②(LV.5)】移動させることができるようになる。
【効果③(LV.☆)】MP消費無しで使うことができる。
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【名前】《風魔法》:サンダーフィールド 消費MP:1発につき500消費
【効果①(LV.1)】半径100mの範囲に微小の電気を流すことができる。
【効果②(LV.5)】当てた相手を帯電させ、位置が分かるようになる。
【効果③(LV.☆)】他の電気系の技を使うと範囲内の帯電した相手に自動で当たるようになる。
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【名前】《風魔法》:サンダーバースト 消費MP:1発につき350消費
【効果①(LV.1)】雷を広範囲に且つランダムに落とすことができる。
【効果②(LV.5)】攻撃を当てた相手に帯電させることができる。
【効果③(LV.☆)】帯電した相手に攻撃すると威力が上昇する(中)。
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