第40話 試練の塔①
──シュゥゥゥゥン.........
....はい。ログインしました。彩音です。
今は試練の塔にいます...。
え?なんで元気が無いのかだって?
あれは───
───
──────
「あやの体柔か〜い!」
「そ、そう?」
「そうだよぉ。」
あれは今日の体育時間の時だった。
準備体操をやってその後に体を伸ばすんだけど、その時に...ね。
今は開脚して体を前に倒しているところ。後ろからすずが押してくるんだけど、む、むむむねが当たってるから何とも言えない気持ち。
「ね、ねぇ?すず?」
「なぁに?」
「む、胸が当たって...。」
「えぇ?なんて?」
「だ、だから!む、むむねが...。」
「ちゃんと大声で言ってよぉ。聞・こ・え・な・い・よ?」
耳元でボソッと囁くすずに顔が火照るのが分かる。
「も、もういい!」
「あら、怒っちゃった?」
「......。」
「体は柔らかいけどつんつんしちゃってるねぇ。
間違いなくニヤニヤしているであろう顔で後ろからホールドをするすず。
「っ!?すず!?」
「...。」
「やめて!ちょっ!?」
「あぁぁぁぁぁ...。柔らかいねぇ...。」
ちょっと男子。なに想像してるの?
今揉まれているのは私のお腹だからね!?
「じゃあこっちは...。」
「へ?うわっ!!ちょっとやめてよ!!」
お腹を揉んでいたすずの手が段々上に上がっていき、もうすぐで触れるという所で───
「こらお前たち!何おっぱじめようとしとるんだぁ!!」
「「ご、ごめんなさいぃ!!(!?)」」
体育の先生に注意された。
なんで...?私悪くないよ...??
──────
───
とまぁこんな感じの事がありまして...。
その後バレーの最中でも接触してきたり...
毎授業ごとに引っ付いてきたりと...
大変な1日でした...。
そんな窶れきった私は試練の塔に挑戦する。
こんな気分で大丈夫かなぁ...。
昨日は門を潜って直ぐにログアウトしたから今日はその続き。
門を潜った先は全部が大理石出できている無駄に豪華な装飾がされた凄く大きな廊下のような場所だった。
私がいる真反対側...約100mくらい先だろうか...?に大きな扉が見えた。
その扉に目掛けて真っ直ぐに敷かれた赤のカーペットの上を歩きながら装飾以外、何も無いところを見渡す。
ようやく扉の前まで来てみると扉が独りでに開いた。
「...ポルターガイスト現象かな?...っと冗談はここまでにして。ここに入ればいいのかな?」
....トコトコトコ。
──キィィィィン......
「ま、眩しっ!」
《北の試練の塔に挑戦者が現れました》
《エネミー設定──データ収集中──》
《エネミー設定──設定完了──》
《レベル設定──計測中──》
《レベル設定──LV.60に設定完了──》
《ボスエネミーレベル設定──LV.75に設定完了──》
《───》
《─》
─────
──
そろそろ大丈夫かなと目を開けるとそこは爽やかな香り漂う草原地帯だった。
後ろを見るが、そこには何も無く、ただ草原が...って無いぃぃ!?
「やばい。これ死ぬまで出られないんじゃない?」
大草原の中に女の子1人。
「こんなのどうしろと...。」
建物の中にいたのに今は外にいるようなこの景色。
「...綺麗だけれども!......綺麗だけれども!!」
そんな1人で落ち込んでいる彩音の元へある一体の影が...
「──っ!!」
──スパンッ......
鋭い切っ先が彩音の髪をひと房だけ刈り取る。
「せいっ!」
──シュッ!
カウンターで慌てて手に取った焔風斬丸を相手を斬りつけた。
が、それは避けられてしまった。
襲ってきた何かと対峙する。
「《鑑定》」
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【名前】ヘルウルフLV.60
【弱点】???
【苦手属性】???
【説明】どこかに存在する地獄に生息すると言われている伝説のウルフ。悪いことをするとヘルウルフに殺されるという御伽噺が伝わっている。別名:暗殺者。
HP:???
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「私悪いことしてないよぉ!?」
試練の塔にて1人の絶叫する声がが木霊したという。
・試練の塔
今までに戦ってきた敵の上位互換の種族の敵が現れる。敵のレベルは挑戦者のレベルや技術を計測し決定される。
階層も人によって変わり、1階で完結する者もいれば999階で終わる者もいる。
正に試練。