<< 前へ次へ >>  更新
46/271

第39話 vsゲートキーパー




皆さんどうも。絶賛睨めっこ中の彩音です。


対戦相手は熊のように大柄なゲートキーパーLV.99。それに対して、3分の1の体格の私LV.16。


まず間違いなく負けるでしょう。


だけど、ゲートキーパーさんが言うには力を示すだけでいいらしいのでちょっとだけ安堵。




「...。」

「...。」



どちらもカウンター型なだけあって自分から攻めようとはしない。

さて...。どうしたものか...。



「...来ないのか?ならば私から行こう。」

「──ッ!?」



──ギャィンッ!



20mあった距離を一瞬で詰められ、2m越えの大剣を振り下ろしてきた。

それを咄嗟に刀で逸らして、横に跳んだ。



流石はLV.99。あんな鉄のフル装備&大剣、大盾を持ちながら、あんなスピードが出せるとは...。これは距離を取ると逆に危ないね。



全身鉄の装備だから生身の場所はそんなにない。だが、無い訳でもないのでそこを突けばダメージは少なからず入るだろう。




サイドステップの後は大盾を持つ左手の腕。その腕の装備にある僅かな隙間。



「フッ!」



──シュンッ!



「...クッ!」



外した...!



「ほう。中々やるでは無いか。」

「...それはどうも?」



ギリギリで避けられてしまったが褒められたので良いとしよう。



「こちらも期待に応えねばならぬな。」

「.........うそん。」



まって。なんか火に石油注いだかも。



「フンっ!」

「うわっ!?」

「フンっ!」

「おっとっと...。」

「フンっ!」

「ちょっ!?」



大剣は勿論、大盾までをも武器として使ってくる相手。伊達に何百年、何千年と生きてないよね。...てかこの人生きてるよね...?霊とかじゃないよね...?



「勝負中に考え事とは余裕があるな。」

「ガッ!?」



霊か霊じゃないかって考えてたら蹴られた。今のでHPが400も減ったよ...。



「いたたた...。ッ!?」

「ハッ!」


──キィンッ!キンッ!


──ギィィィンッ!!


─ギィンッ!




逸らして、逸らして、逸らして、逸らす。

攻撃に転じる暇も無いし、あったとしてもそれ以前に相手に隙がない。


──ギャィィンッ!



逸らしつつ考える。何か有効な手段は無いかを...。



何か...。



─ギィィンッ!



何か...!!



「ッこれだ!──《霊体化》!!」

「ぬ...!」



相手の攻撃に合わせて武器スキル《霊体化》を使う。




──シュンッ!



............



攻撃は()()()()()



攻撃と同時に()()()()()()()、背後を取る。

そして、振り向きざまにヘルムとチェストプレートの間、相手の首目掛けて刀を振るう。


──やば!力加減間違えた!?



思った以上に力加減を間違えて加えてしまった。


普通の人間ならば間違いなく死ぬであろう一撃は、見事にゲートキーパーの首に入る。




──グッ......!



「う...そ......?」



確実に首を斬り飛ばせるはずの一撃は首を斬り飛ばすことはなく。

そして、大剣や大盾で防ぐこともしないで私の刀は首で止まっていた。



「おめでとう。合格だ。」



食らった本人は涼しい顔で合否の発表をした。

もしかしなくてもレベル差があり過ぎた...?




「だが、今のままではこの塔の50階まで辿り着けるかどうかだな。精進あるのみ。」

「は、はい....。」



指導を受け、私が困惑している間に持ち場に戻っていたゲートキーパーさんの横を通り抜ける。

もう止められるってことは無さそうだ。




ゲートキーパーさんは私の実力なら50階までは行けるって言ってた。技術面では余裕なんだろうけど、レベルを考えると50階がギリギリなんだろう。それ以上行くとさっきのゲートキーパーさんみたいにダメージすら入らなくなってしまう。



まず50階まで行かないと思うけど覚えておこう。





そうして無骨な門を潜った後、ログアウトしたのだった。









レベル差あり過ぎるとノーダメージってよくありますよね。


ちなみに武器スキル《霊体化》の持続時間は発動者のスキルレベル×1秒。霊体化したら物理攻撃無効化。しかし、自分も物理攻撃は出来なくなる。...霊だからね。

<< 前へ次へ >>目次  更新