第39話 vsゲートキーパー
皆さんどうも。絶賛睨めっこ中の彩音です。
対戦相手は熊のように大柄なゲートキーパーLV.99。それに対して、3分の1の体格の私LV.16。
まず間違いなく負けるでしょう。
だけど、ゲートキーパーさんが言うには力を示すだけでいいらしいのでちょっとだけ安堵。
「...。」
「...。」
どちらもカウンター型なだけあって自分から攻めようとはしない。
さて...。どうしたものか...。
「...来ないのか?ならば私から行こう。」
「──ッ!?」
──ギャィンッ!
20mあった距離を一瞬で詰められ、2m越えの大剣を振り下ろしてきた。
それを咄嗟に刀で逸らして、横に跳んだ。
流石はLV.99。あんな鉄のフル装備&大剣、大盾を持ちながら、あんなスピードが出せるとは...。これは距離を取ると逆に危ないね。
全身鉄の装備だから生身の場所はそんなにない。だが、無い訳でもないのでそこを突けばダメージは少なからず入るだろう。
サイドステップの後は大盾を持つ左手の腕。その腕の装備にある僅かな隙間。
「フッ!」
──シュンッ!
「...クッ!」
外した...!
「ほう。中々やるでは無いか。」
「...それはどうも?」
ギリギリで避けられてしまったが褒められたので良いとしよう。
「こちらも期待に応えねばならぬな。」
「.........うそん。」
まって。なんか火に石油注いだかも。
「フンっ!」
「うわっ!?」
「フンっ!」
「おっとっと...。」
「フンっ!」
「ちょっ!?」
大剣は勿論、大盾までをも武器として使ってくる相手。伊達に何百年、何千年と生きてないよね。...てかこの人生きてるよね...?霊とかじゃないよね...?
「勝負中に考え事とは余裕があるな。」
「ガッ!?」
霊か霊じゃないかって考えてたら蹴られた。今のでHPが400も減ったよ...。
「いたたた...。ッ!?」
「ハッ!」
──キィンッ!キンッ!
──ギィィィンッ!!
─ギィンッ!
逸らして、逸らして、逸らして、逸らす。
攻撃に転じる暇も無いし、あったとしてもそれ以前に相手に隙がない。
──ギャィィンッ!
逸らしつつ考える。何か有効な手段は無いかを...。
何か...。
─ギィィンッ!
何か...!!
「ッこれだ!──《霊体化》!!」
「ぬ...!」
相手の攻撃に合わせて武器スキル《霊体化》を使う。
──シュンッ!
............
攻撃は
攻撃と同時に
そして、振り向きざまにヘルムとチェストプレートの間、相手の首目掛けて刀を振るう。
──やば!力加減間違えた!?
思った以上に力加減を間違えて加えてしまった。
普通の人間ならば間違いなく死ぬであろう一撃は、見事にゲートキーパーの首に入る。
──グッ......!
「う...そ......?」
確実に首を斬り飛ばせるはずの一撃は首を斬り飛ばすことはなく。
そして、大剣や大盾で防ぐこともしないで私の刀は首で止まっていた。
「おめでとう。合格だ。」
食らった本人は涼しい顔で合否の発表をした。
もしかしなくてもレベル差があり過ぎた...?
「だが、今のままではこの塔の50階まで辿り着けるかどうかだな。精進あるのみ。」
「は、はい....。」
指導を受け、私が困惑している間に持ち場に戻っていたゲートキーパーさんの横を通り抜ける。
もう止められるってことは無さそうだ。
ゲートキーパーさんは私の実力なら50階までは行けるって言ってた。技術面では余裕なんだろうけど、レベルを考えると50階がギリギリなんだろう。それ以上行くとさっきのゲートキーパーさんみたいにダメージすら入らなくなってしまう。
まず50階まで行かないと思うけど覚えておこう。
そうして無骨な門を潜った後、ログアウトしたのだった。
レベル差あり過ぎるとノーダメージってよくありますよね。
ちなみに武器スキル《霊体化》の持続時間は発動者のスキルレベル×1秒。霊体化したら物理攻撃無効化。しかし、自分も物理攻撃は出来なくなる。...霊だからね。