第37話 緑人
焔鬼の紅金棒を造ったあと、ザイルさんに依頼達成の報告をしに行った。
「ザイルさん依頼達成の報告です。」
「そうか。見せてみろ。」
「はい。」
インベントリから出したのは紅いモヤモヤがそのまま模様となったような感じの禍々しい金棒。
達成条件を大幅に超えているし強いけど、私は使わないので誰か使う人にあげたいな...。
「..................。」
「..................。」
反応がない。...いや、これは固まっている...?
「ザ、ザイルさ〜ん...?」
「ッ!!な、なんだ...?」
「どうかしましたか?」
「......いや別になんでも無いが?」
「そうですか。それで、どうですか?」
「あ、あぁ。よく出来ているぞ。正直これは凄いと言うしか無いんだが...。」
「ありがとうございます。」
「報酬だ。」
「!ありがとうございます。」
金棒を返してもらい、魔鉄15個と鉄30個を貰った。
次は何しようかなぁ...。
...金棒造ってそのまま放置は可哀想かな...?よし!試し振りしに外に出よう!
そう意気込んだ彩音は早速街の外にでる準備をするのだった。
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───
「これください!」
「はいよぉ!3000Gな!」
「はい。」
「まいどありぃ!!」
カロリー棒を沢山買ってインベントリにしまう。あ、そういえばこれも聞いておかないとな...。
「すいません。」
「なんだい?」
「ここら辺に魔物がよくでる場所ってありますか?」
「出るっちゅうか
「そこでもいいですよ。」
「あぁ!確か北西んとこにある馬鹿でけぇ塔にめちゃんこおるで!」
「ありがとうございます!」
商人のおっちゃんに話を聞いたところ、魔物がいるのはこの街から北西に行った所にある塔。
実を言うと、その塔はセルカディアからも見えていた。50km以上は離れているであろうにも関わらず、距離感が分からなくなる程に大きい建物だ。高さも異常で、雲を突き抜けている。
ちょっと楽しみだなぁ...。
──────
───
今日からもまたすずがいない。いつかずっと一緒に...ん?なんだろう...。最近私の思考回路がおかしいな...。5月も終わったのに五月病かな...?
それはさておき。
私は西の門から街を出て、今、塔まであと半分くらいのところまで来ている。
近づけば近づくほど塔が大きくなっていき、その大きさに感銘を受ける。
「ほぇ〜...。どうやって建てたんだろう...?...っと!!」
慌ててサイドにステップをする。
──タタタンッ!
さっきまで私が惚けていた場所に矢が数本刺さる。
『グギャギャギャギャ!!』
『ギャッギャッギャッ!!』
『グギャアギャアギャ!!』
現れたのは20体程度の...緑色をした...子供...?やけにおぞましい顔をしているから多分魔物だろう。
そして、矢を外した仲間のことをバカにするかのように嘲笑する緑人。あ、緑人は自分で勝手に付けた名前ね?
...てか鑑定あったわ...。
「...《鑑定》。」
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【名前】ミニゴブリンソードLV.25
【弱点】首、心臓
【苦手属性】火、土
【説明】魔物の中で最も人の形に近い形態をしている魔物。ミニゴブリンの知能は人間の子供と同じ程度で武器を持って戦う事を好む。
HP:750
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ミニゴブリンって言うんだね。ミニは小さいって事だから普通のサイズだとゴブリンになるのかな?
『グギャア!!』
『『『『ギャァァァァァァア!!!』』』』
一体のミニゴブリンの声で周りにいたミニゴブリン達が襲いかかってくる。
「はぁぁあ!!」
──ドゴンッ!!
『ギャァァァァァァア!!』
頭から血を吹き出しながら倒れるミニゴブリン。...ちょっとこれはキツイかも。
...よく見ると、金棒を当てた場所がメラメラと燃えていた。
『...ギャアギャ?ギャア!』
『ギャギャギャア!!』
ミニゴブリン達は仲間が殺されて怒り狂っているようだ。やる気が倍増している。...これはめんどくさいことになったのでは...?
まだ目的地に着いてないのに...。