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第31話 長年の謎




次の街の方面は何となく分かったので私たちはそっちに向かったはずだった。



え?迷子ですけど何か??



─────


──



「よし!じゃあこっちに行こう!」



すずがそう言い、歩き出した私たち。...だけど失念していた事がひとつあった。




...それはすぐに迷子になる事。




せっかくあの獣くんが去っていった方向から次の街の方向を割り当てたのに迷子になってしまっては元も子もない。



「...そういえばPKに会う前にも迷子になったね...。」

「そうだったね...。ぴーけーってやつが来て忘れてたよ...。」

「...どうする?」

「...どうしよう。」



「あ、あのぉ〜...?」

「「!?」」



後ろから不意に声を掛けられ、さっきの残党かと思い、霊斬丸に手を掛ける。それはすずも同じだったようで。



「ち、ちちちちょっと待ってください!!」



ガサガサと音を立て、姿を現したのは私たちと同じ年頃であろう男の子だった。

その子の後ろからはパーティメンバーと見られる男の子1人と女の子2人。計4人だ。



「何か用ですか?」

「あ、いや、あの、ちょっと困ってそうだったので...。」

「そうですか。」

「な、何かあったんですか...?」

「恥ずかしながら実は迷子になってしまって...。」

「そうでしたか...。ちなみにですが行先は...?」

「第3の街です。」

「一緒じゃん!!じゃあ私達と一緒に行こうよ!!」

「いいの?」

「うん!!」

「私も賛成だわ。」

「僕も。」

「だってアヤ!」




女の子の提案で次の街まで一緒に行くことになった。正直ありがたい。



ん?どうしたの?すず?




近づいてくるすず。


耳元まで唇を持っていき...



「...しばらくイチャイチャ出来ないね?」

「なっ!?」

「ふふふっ!」

「どうかしましたか?」

「なんでもないよ!」



い、イチャイチャって...。そんなにしてたっけ...?



──一緒にアンデットと戦ったり...


──一緒に手を繋いで歩いたり...


──一緒に話し合って笑いあったり...


──一緒に鼻歌歌ったり...


──一緒に花を愛でたり...


──膝枕をしてあげたり、されたり...


──一緒に抱きしめ合って寝たり...



ん?なんかこう見ると脱線しまくりじゃない...?だから迷子になるのか!!長年の謎が解けた!!




「アヤぁ?もう行くよぉ!」

「はっ!う、うん!」

「では行きましょう!」

「「「「「おぉーー!!」」」」」



最初に話しかけてきた4人を纏めるリーダーである、青髪青眼が特徴のユージさんが声をあげる。

それに伴って私達2人と、もう1人の男の子、翠髪が揺れるミッツーさんと元気な女の子─ピンクのツインテールをしたふーりんさん。そして、ちょっと知的な黒髪ロングにメガネのマーリンさんが返事をする。



皆の装備はと言うと...

ユージさんは片手剣に小盾の軽装で、ミッツーさんは耳がちょっととんがっていて木製の弓を装備していた。

ふーりんさんは私と同じ背丈に可愛らしい容姿に似合わない両手用のメイスを持っていた。

マーリンさんはすずと同じ魔法使いのようだ。


私たちの装備を見せると何故か驚いていたがそんなに驚く事だろうか...?




で、陣営はユージさんと私が前衛、中衛が魔法使いであるすずとマーリンさんの2人、そして後衛がミッツーさん、ふーりんさんって感じ。ほんとなら魔法使いが後衛のはずなんだけど、ミッツーさんが「僕が後ろを守るよ」という男気溢れることを言ったのでこうなった。

ちなみに「私もいるわよー!!」っと聞こえたのは内緒。



「僕も僕で君を守りますよ!」

「え?うん?ありがとう...?」



私も私で守る宣言をされてしまっていた。



私も君を守るけど...?



そう思ったけど口には出さなかった。

だって後ろにいるすずの殺意の篭った視線を感じるんだもん...。これが私じゃなくて()に向けられているのは私でも分かる。


言ってしまったら彼が死んでしまう。何故かそう思ってしまったのだ。

なんで怒ってるんだろう...?






私にはよく分からないや。







そりゃ迷いますって。というかアンデットばっかり出没する暗い森でナニやってるんだ...?

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