第29話 母は強しっ!!
「くっ...やるじゃないか...!」
「え!?まだ何もしてないよ!?」
「私もやられたわ...!」
「な、何に!?」
「ここは私が行くしかないな!」
私以外の皆が
──ヒュンッ!!
──キィィンッ!
「ボーッとしてるとすぐ死ぬよ?」
おっといけない。相手はこっちを狙ってきているんだ。気を引き締めないと...!
「僕は他の奴らとは一味違うからねぇ?」
そうして彼は得物である双剣で私たちを相手取る。
──キィィンッキンッ!キキキキキンッ!!!
──ドゴォォン!!ドゴォォン!!!バチッ!!
「...ふっ!!はっ!!」
「《アースランス》!!」
「当たらないよ!!」
─キィィンッ!!
─ドゴォォォン!!
私の攻撃は片方の剣で弾かれ、すずの攻撃は避けられる。
音に反応しているのか、周りのアンデット達も近づいてきている感じがする。
「これはヤバいなぁ...なら..これで....どうかな!!《降霊刀》!!」
「え!?」
「な!?」
私は刀を前に掲げ、スキル名を唱える。
私の前広げられる何かの模様が描かれた円。そこから出てきたのは黒髪黒目の女性。
大きく反応したのはすずとリーダーさん。他の人達も驚いているようだ。
『...力を貸しましょう。』
「ありがとうございます!!」
『いいのよ...。これは娘を助けてくれたお礼なのだから。』
「えっ...?」
そう言って刀に吸い込まれるように消えていった。
もしかしなくてもあの少女のお母さんだよね...?
いい親子だね...。
私も頑張ろう。
《降霊刀発動──一時的に《
「すごい...!」
これってあのお母さんの能力だったよね!?
試してみよう!
「...来て!」
「何が?」
「可愛いけども...。」
「うぐっ...!!」
来てって言っただけなのになんで変な子みたいな感じで見られたの!?
いやでも、私も思ったけども...。
───ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...。
「うわぁ!?」
「な、なんだぁ!?」
「おい!何をした!?」
「なんで地震が!?」
「ちょっ!アヤ!?なにしたの!?」
「ちょっと...ね。」
──ボコッボコボゴボコボコボコ...。
地面が揺れ、地中から這い出てきたのは骸骨と腐った死体。
腐った死体の方は”ぞんび”というものだったと思う。すずがえふぴーえす?なるものをやっているのを見てたからね。たしか”ぞんびもーど”って言ってたっけ?
這い出てきた骸骨とぞんびは私の近くに集まり、跪いた。
「え?え?」
「...な、んだ...?」
「は?え?」
「...?」
皆よく分かってないみたいだけど、気にしない。
「えっとえっと!あの水色の子以外の人達を皆倒して!!」
「「「「「えぇ!?」」」」」
わたしが命令すると骸骨とぞんびは音を立てながら男達にノロノロと襲いかかった。
「うわぁぁあ!!!」
「ごふぅ!?」
「あがっ!!」
1体1体は弱いが、なんと言っても数が多い。敵1人に対し、こちらは20だ。ひとつ防いだとしても、次の攻撃、また次の攻撃が来る。
そんな波状攻撃で相手は為す術もなく光になっていく。
そんな中、例外は勿論いる訳で...。
「ふっ!ふっ!!ふっ!」
小さく息を吐きながら骸骨とぞんびを一撃で斬り伏せていくリーダーさん。
...そろそろ数も少なくなってき──
───ドスドスドスドスドスドス...!!!
「「「!?」」」
鈍い音がドンドンとこちらに近づいてきている。
──ドスドスドスドスドスドスドスドスドス!!!!!
──ガサガサガサガサ......。
──ドスンッ!ドスンッ!ドスンッ!!!
こちらを見下ろすは手が大量に生えている獣の形をした何か。獣のような形はしているが、部位は全部人間だ。獣の足の部分は手で補えられていて、その数は12本!...1 2 本 !
「あの人を倒して!」
前にも倒したことのある異形化アンデットも同じであると思い、命令をしてみる。
『Шϖё#●▲Э〆Шღϖ■٩!!!』
「なんて?」
「私も知らないわ...。」
獣型異形化アンデットはリーダーさんを見据えるとよく分からない言語で叫んだ。...多分肯定だろう。
今やこの場には3人と1頭?しか居らず、私とすずは邪魔にならないように端で見学することにした。
え?結果?
...ちょっとグロかったからすずの目を塞いだよ...。
獣くんが沢山ある手を活かしてリーダーさんを捕まえ、そのまま引き裂いて...。
《降霊刀》の効果は『その地に縁のある者の霊を召喚し、刀に宿す。そして、宿した霊の能力の1部を宿している間中その能力が使える』というもの。それは出てくる霊もランダムで、得られる能力もスキルであったり、ステータスアップであったりと完全にランダムです。...まぁ今回は偶然少女の母親が出てきて、アンデットの使役効果を得ちゃいましたけどね...。