番外編④ レイドボス:マグオクターブ第三段階目
ここまで来るのに、何人も死んだ。もう既に人数は半分を切り、20人程になっている。1人、また1人死ぬ度に皆のテンションが下がるのが見て取れる。
だが、それも終わりだ。
「──《水素式超水圧砲》!!」
───ピィィィィン......
──ズドォォォォォォォォォォォンンン!!!!!!
集合時間ギリギリでこの武器を受け取ったからろくに振ってない。ましてやこの武器スキルも使ったことも無い。
まぁ、何が言いたいかって言うと...
『なんじゃこのスキルゥゥゥゥウ!?』
という事。
そんなことを反動で吹っ飛ばされながら思ったのだった。
「うっ......ここ、は...?」
辺りを見渡すとどうやらここはゲイザル山の中腹辺りのようだった。
恐らく、というか十中八九頂上から吹き飛ばされてここまで来たのだろう。
「それにしてもよく無事だったな...俺...。」
「ホントですよ...。なんで無事なんすか?」
「......誰だ?」
「通りすがりの冒険者っス。」
「何の用だ。」
「いやぁ、通りかかったら空からアンちゃんが落ちてきてねぇ?まぁ、これといって用はないっス。」
「...。」
「なんすかその目は...。」
「いや、なんでもない。それよりも俺は戻らなきゃいかん。」
「戻るってアソコですか?」
そう言って指さしたのは頂上。
「そうだな。仲間達が頑張ってると思うからな。」
「そうっすか。じゃあ通りかかったついでに......これをプレゼントしちゃいます!」
男は懐に右手を入れた。
その右手に握っているのは赤紫色の液体が入った小瓶。
「......なんだこれ?」
「...効果は飲んでからのお楽しみです!」
ヤケに笑顔なのがちょっと腹立つが一応貰っておく。
「あ!あと見たところ魔力が切れてるみたいなのでこれもオマケで!」
「え?あ...。」
今気づいた...。俺のMPが0になっている事に。
...体力も200程度しかないけど。
最初に使った《大海斬》はMP200消費だった。俺のMPは2060ある事を考えると《水素式超水圧砲》はMP1860も消費した事になる。
なんか中途半端だな...。
ん?...これってもしかして、MP全部を費やして攻撃するタイプのスキルなんじゃ...?
タコの足を10本切り飛ばした《大海斬》の消費MPの約9倍...。
...ゴクリ...。
「いや、これ普通の魔力回復薬なんすが...。」
そんな覚悟決められても...と言われてしまった。
青い薬を見ながら唾を飲み込んだからか勘違いしたようだ。
「...ありがとう。」
「いいっすいいっす!じゃあまたどこかでお会いしましょう!......その姿で会えるかは別ですけど...(ボソッ)」
「...あぁ。」
最後に言った言葉は聞き取れなかったが独り言だろう。
そうしてあの男は下山していった。...なんでここにいたんだ...?
「また...か。」
また余計な事を考えそうなので、そろそろ皆の元へ戻る事にする。
勿論MPポーションを飲んでな。
...まじか全回復かよ...。もう驚かんぞ俺は。
「おっしゃ!行くか!!待ってろ皆!!!」
そうして俺は頂上に向けて走り出したのだった。
─────
──
「な...んだ...これ、は...?」
頂上に向かう途中から絶えずタコの声が響居ていたが、てっきり仲間達が押しているのかと思っていた。だがそれは着いてからようやく違うと気づいた。
『『『ギャァァア!!』』』
『『ギャァァァァァア!!!』』
『『『『ギャァァァア!!!』』』』
「グヘッ...!!」
「きゃぁぁあ!?」
「ゴホッ...!」
「うっ...。」
「皆!!」
「か、カイン...さん。」
「すみま、せん...。あとは....。」
あとは任せたと言わんばかりの表情を見せ、光となった。
「...なんで足が復活してんだよぉぉお!!??」
「...カインさんがあのスキルをぶっぱなしたあと、直ぐに生えてきました...。」
「なんだと!?」
タコの本体こそ、左半身の大部分が抉れているがタコの足が全て復活していた。
やべぇ...どうしようもないんじゃないか...?いや、でも、あのフードを被った男からもらったこの薬を飲めばなんとかなんじゃないか...?
もはや、焦りすぎて見た目からして怪しさ満天の薬にさえ手を出そうとするカイン。
「どうしたんですか?カインさん?...ってなんですか!その薬!?めっちゃ怪しいですけど!?絶対人が飲んじゃいけないやつですよ!?!?」
仲間が止めてくれるがもう止まらない。
俺は薬を口に含み、嚥下した。
...その後、俺は真っ暗闇にいた。
ボスの体力一気に削ると体力ゲージが止まるってこと良くありますよね。
...ポケモ○とかポケ○ンとかポ○モンとか。