第25話 おかえり
次の日。私は昨日のような失態は侵さない。
...まぁ、つまりは抵抗しないって事なんだけどね...。
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ログインしてから、私は早速フレンド一覧に載っているカインさんに連絡をする。
「えぇと...『武器が出来ました!』っと」
『もう出来たのか!今何処にいるんだ?』
『街の広場です!』
『おけ。今からそっち行くわ』
『分かりました!』
送ってほんの数秒。直ぐに帰ってきたカインさんからのチャット。...早過ぎない?
ま、まぁ、早く渡せるから私はいいんだけどね...?
広場の噴水を眺めながらベンチに座っていると噴水の向こう側に見知った男の人が現れた。言わずもがなカインさんである。
「おーい!待ったか?」
「いえ。そんなに待ってないですよ?」
「そうか!走ってきたからちょっと座らせてもらうぞ?」
「どうぞ。というかどこから走ってきたんですか?」
「サンキュ。えっと...北にあるゲイザル山からだな。」
「えぇ!?」
まるで恋人であるかのような会話で私が気を遣っているように聞こえるがそんなに待ってないのは事実だ。
なんたって10分程度しか待ってないからだ。
ちなみに中心部にあるここの広場から北の門までは徒歩で20分はかかる。それに人混みもあるので実際はそれ以上はかかるだろう。そして、ゲイザル山からと言ったのでもっとかかるだろう。...速くない?
もういいや。
「昨日、剣...という名のガンソードを造ってみました。」
「ガンソード?」
「はい。私の友達がやってたしゅりょーげー?ってやつにガンランスって武器があるんですけど、それを参考に造ってみました。」
「ほえ〜...。そ、それって機能的に大丈夫なのか...?」
「鑑定で見た限りでは大丈夫だと思います。」
「...そうか。じゃあ早速見せてくれないか?」
「はい。これです。」
そう言って私はインベントリからクラーガンソード(仮)を出した。(仮)というのは自分で付け直しても良いよっていう意味があったりする。
「.........。」
「...?」
私がクラーガンソードを出すと目を見開いて硬直してしまった。え?大丈夫??
「あ、あのぉ?カインさぁん??」
「......はっ!?」
「どうですか?」
「どうですか?じゃねぇよ!!めっちゃ強い武器じゃねぇか!!」
「うひゃっ!?」
「おっとすまん...。って!違う、ちょっと待ってろ!」
「え、えぇ...?」
「ほらよ。」
ジャラジャラジャラジャラ...
インベントリにある私のお金がどんどん増えていく...。
「え!?えぇ!!??」
「全部で100だな。」
私が驚くぐらいだからもちろん100(万)である。
「じゃあまたどこかで会おうな!」
「......。」
私が気づいた時にはカインさんはもう既に居なかった...。
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えー。今日はまたも武器を造ろうかなと。(諦)
今回創るのは自分の刀。...また刀かよって思ったでしょ!
仕方ないじゃん。刀大好きなんだもん。
で、今日使う素材はこれ!
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【名前】悪霊の宝珠:品質7
【説明】悪霊の魂が込められた珠。込められた魂の数は多く、たまに声が聞こえてくる。持っているとアンデットに狙われにくくなり(小)、アンデットから受けるダメージを減らす(小)時々自分が霊体化する。
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これを使って刀を造る。
昨日カインさんの大剣を造った時に余った魔鉄も使うつもりだ。
なるべく貰った魔鉄は昨日、使い切ろうとしたんだけど、どうしても余っちゃったから使わせてもらう事にした。
鞘も少女の母のお墓がある南の森でとった黒い樹から取ってきたものを使う。途中、取ってる最中にあの手のアンデットが襲ってきたがカインさんが全部斬り飛ばしていた。カインさん助かりました。
「昨日に引き続き鍛冶場をお借りしますね!」
「おうよ!それと次からは言わなくてもいいぞ!」
「そうなんですか?」
「おう!めんどくさいからな!!」
「そ、そうですか。分かりました。では。」
「おう!」
昨日と同じように鍛冶場を借り、準備をする。
どんな刀になるかなぁ〜!!
「ふぅ。やっていきますか!」
魔鉄って『魔』って付いてるからMP使ったら何か反応するかなって思って昨日試してみたの。
そしたらなんかMPがすんなり通るっていうか...。
私が造った刀は普通の鉄やゲイザマリンで造ったやつで武器スキルを使った時、ちょっと引っかかりがあったんだよねぇ...。
そう考えれば魔鉄ってMPの効率がいいのかな?って。
あのーあれです。そのー、みすりる?ってやつ?
これもすずのやるゲームで見たやつなんだけどさ。確かこれも魔力っていう魔法を使うためのエネルギーみたいなのを通しやすいって説明文に書いてあったんだよ。それと同じ系統の金属かな?
あ!そうそう。私そのゲームやってみた(すずにやらされた)んだけどさ、色んな魔物の素材を使って装備やら武器やらを造るから初めて見た時ビックリしたよね!
...まぁ、それはさておき。今は刀だね。魔鉄を赤の布に置いた金床の上に置き、悪霊の宝珠を青の布に置く。
──カァァァン!カァァンッ!!カァァンッ!
─カァァンッ!!カァァァンッ!カァァンッ!
魔鉄は普通の鉄よりも硬く、時間がかかるっていうのが昨日分かった。
...だからなんだよって感じだけどね...。
そんなちょっとしたことを考えながらひたすらに魔鉄を打っていく。
魔鉄の黒っぽい刀身は悪霊の宝珠によって雲がかかったような濁った漆黒になり、金属特有の光沢感も失われた。
「こ、これ大丈夫かなぁ...?」
なんか斬れ味が無さそうだけど、とりあえず研ぐ。
次に鞘。刀身に合うような真っ黒な木を削り、作っていく。装飾は特になし。
あれだね。1番最初に造った刀と同じだね。まぁ色は白から黒になったけど。
そんなこんなで完成!!
《職業:鍛冶師LV.5→6になりました》
《鍛治LV.7→8になりました》
《木工LV.5→6になりました》
《錬金術LV.3→4になりました》
《錬金鍛治LV.4→5になりました》
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【名前】霊斬丸:品質8
【説明】魔鉄をベースに悪霊の宝珠を込めた刀。刀身は真っ黒で斬れ味が無さそうだがきちんと斬れる。悪霊の力により、アンデット系以外のモンスターに対する特効(中)を持っている。だが、ネーミングセンスはない。...おかえり。
【武器スキル】《霊体化LV.1》《降霊刀LV.1》
耐久:620
STR:335
AGI:45
INT:50
【製作者】アヤネ
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「ただいま...じゃないよ!?」
なんで仮で付けた名前は良くてこっちはダメなの!?
まぁ、耐久が高いからいいのかな...?
弄られる事に慣れつつある彩音であった。
おかえり...ネーミングセンス...。