第24話 どう足掻いても無理なものは無理なんですよね。
あの後、カインさんと暫く話し合い、別れた。私は直ぐにログアウトしたけど、カインさんはどうなんだろう?
翌日
「ふっふっふっ...。作戦決行ですっ!」
「...何がだ?」
「え?い、いや!なんでもないよ!!」
「...?」
朝ごはんを食べながらすずに一昨日やられた仕返しをしようと考えているとつい口から出てしまったようだ。
まぁ、何はともあれ、今日も一日頑張りますか!
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───
下駄箱から上履きを出しながらどうするかを考える。
すずは私が教室に入った瞬間に飛び込んでくる。チャンスはそこだけ。
飛び込んでくる所を躱せれば...ふふふ...。
ガラガラガラ
「あやぁぁぁ!!」
「──ここです!!.........ほぇ...?」
ギュウッ...。
扉を開き、飛び込んできたすずを躱した...はずだった...。
なんとすずはまるで私が避けるというのを知っていたかのように華麗に90度ターンを繰り出したのだ。
「むぐぐ...。む〜!!」
「...今、避けようとしたよね...?」
「む...!?」
豊満なお胸を押し付けられながらいつもより1段階低い声で問い詰められた。
「ぷはぁ!な、なんの事〜...?」
「惚けても無駄よ!
「いやぁぁぁぁ!!」
そう。昨日彩音がやられたのはくすぐりの刑だったのだ。
「も、もうやめっ!うひゃっあっははは!!」
そうして彩音は先生が来るまで緩急を付けながら擽られたのであった。
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───
「うぅ〜今日も酷い目にあった....。」
頭を抱えながらログインしてきたのは赤髪の美少女。
「....。よし!切り替えていこう!」
今日はカインさんの大剣を造るつもりだ。どんな感じにするかはもう決めてあるんだよね!
早速鍛冶師ギルドに行ってみよー!
そうして私は今日あった事を早々に忘れて、これから造る予定のカインさんの大剣に思いを馳せるだった。
「お邪魔します。鍛冶場をお借りしますね!」
「おう!沢山空いてるからどこでも使いな!」
「ありがとうございます!」
鍛冶場に着くなり、私は錬金キットと鍛冶キットを広げる。
今日造るのはズバリ!...ガンソードです!!
どこかのしゅりょーげー?とかいうやつのガンランス...の大剣版です!
私、ガンランスなんて聞いた事無かったけど、すずがよくゲームの話をしてくるし、実際にゲームをしている所をよく見たりするから知ってたりするんだよねぇ...。
これは素材...クラーガンの説明を見た瞬間に思いついたよね!
大剣と銃。
主に大剣がベースになると思うけどどうだろう...?
まぁ、やってみないと分からないよね。
...っと。そうこう言ってるうちに準備が完了したね。
剣を造る手順としては...
・まずベースとなる大剣を造る
↓
・次にクラーガンの足を固める
↓
・錬金術で合体!!
というような流れ。
まずは1つ目の大剣から。
大剣は魔鉄を使い、両刃の剣にしていく。この時、剣の芯の部分を開けておく。
ここにこの後造るクラーガンの足を入れるからね!
一応クラーガンが水属性なのでスライムも錬金鍛冶で魔鉄に馴染ませながら打っていく。
──カァァンッ!カァァァンッ!!
─カァァンッ!!カァァンッ!!
...。
出来たのは青黒い二叉の両刃大剣。
次にクラーガンの足を固める作業。
正直、これは錬金術で鉄かなんかを一緒に混ぜれば硬質化するんじゃないかって私は思ってる。
赤の布にクラーガンの足を、青の布に余った魔鉄をそれぞれ置き、スキルを行使する。
結果、狙ったどおりに白いクラーガンの足が黒光りした物になり、お目当ての硬質化がされていた。
後は普通の金属と同じように熱して、真っ直ぐにした足を二叉両刃大剣の芯に装着し、またもや錬金術で繋ぎ合わせる。
足の長さは元々、造った剣の長さよりも長かったが、突き攻撃が出来なくなるので砲は剣の切っ先よりも内側にある。
余ったクラーガンの足は柄に巻き付けて、剣を横から出せるような作りの革製の鞘とクラーガンの皮を使った柄も造った。
《職業:鍛冶師LV.4→5になりました》
《鍛治LV.6→7になりました》
《錬金術LV.2→3になりました》
《錬金鍛治LV.3→4になりました》
「んん〜...。出来たぁ...。」
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【名前】クラーガンソード:品質7
【説明】魔鉄とクラーガンの足を素材としたこの世界にはないガンソード。スライムの素材を使った事により、水属性の攻撃力が上がった。仮で付けた名前の方がセンスが良いってどういうことなんですかね。
【武器スキル】《大海斬LV.1》《水砲LV.1》
耐久:1430
STR:700
INT:85
【製作者】アヤネ
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「す、凄い...。」
まず耐久値が高い。次に武器スキルも充実してる。あとは名前!いやー仮で付けたはいいけどまさか認められるとは!やったね!
既に深夜テンションになっている彩音は10分程度独り言を話した後、ログアウトした。