第11話 別れと肉切り包丁
あの後私達はセルカディアに入って別れ、私はログアウトした。
翌日。
「あやぁ!昨日は楽しかったねぇ!」
「うん!」
「また一緒にやろうね?」
「もちろん!」
────
──
私は帰ってきた後いつもの時間にログインし、宿からでる。
昨日は沢山のフォレストウルフを狩ったので、冒険者ギルドで売る。
冒険者ギルドとはどの職業、種族でも登録が可能で、狩った魔物や採取した物を売却出来る場所なのです!
さらに!冒険者ギルドではお金を払えば解体もしてくれるのだぁ!!
...。
そこで数十体いたフォレストウルフを売却したら所持金が約12600Gにまで増えた。
売り終わったら、一旦始まりの街ファンストに帰る事にする。
鍛冶師ギルドのゲイルさんと宿屋のおばちゃんに別れの挨拶をする為にね。
いずれ次の街に行く予定だったから早い方が良いだろう。
そうして私は初期武器であるショートソード片手にセルカディアを出たのだった。
帰りは魔物も少なく、戦いに夢中になって道から逸れるなんてことはなく、1時間足らずでファンストに辿り着いた。
「ゲイルさん。」
「あん?なんだ?」
「私、セルカディアを拠点にしようかなと。」
「あぁ、そうか。お前が居なくなるのはちょっと寂しいな!」
「ゲイルさん...。」
「だってお前が作る物は俺が見た中で1番だったからな!!」
「...。ははは...。」
「まぁ、何はともあれ!新天地でも頑張れよな!」
「はい!短い間でしたけど、お世話になりました!」
私は感謝の意を込めて深くお辞儀をする。
「あぁ!また寄れよな!」
「はい!」
ゲイルさんと別れた後、宿屋に向かう。
宿屋はまだ部屋を取ってあるから取り消さないといけないからだ。
「おばちゃん!」
「おや?アヤネちゃんかい?」
「はい!」
「どうしたんだい?」
「実はセルカディアに拠点を──」
おばちゃんともお別れをして、40分ぐらい掛けてもう一度セルカディアに向かう。
そして、次にやるのはリーフェルの解体。
その為にはまず、ナイフを作る事にした。
何故、自分で解体するのかと言うと、解体してくれる冒険者ギルドではお金が取られるからだ。
私はそんなにお金も無いし、だったら自分でやろうと思っての行動。
だがしかし、私は解体なんて見たことも、ましてやしたことも無い。
だから冒険者ギルドの職員に頼んで教えて貰うつもりでいる。
よし、早速ナイフを作ろう。
そう思った私はこの街の鍛冶師ギルドに向かう事にした。
「...え?ゲイル...さん??」
私は困惑した。
なんたってファンストにいる筈のゲイルさんがセルカディアにいるんだもの。
「おっ!その様子だとファンストから来たやつだな!!」
「え?...え?」
「あぁ!ゲイルは俺の弟で俺の名前はゴルだ!よろしくな!」
「は、はい!」
「で、何しに来たんだ?って聞くまでも無いな!何か作りに来たんだろう?」
「はい。ナイフを作ろうと思って。」
「なるほど!頑張れよな!」
「はい!ありがとうございます!」
ゲイルさんのお兄さんであるゴルさんは見た目も性格もそっくりだった。もはや双子だ。
そんな事はさておき、早速解体用のナイフを作る。
──カァンッカァンッ!カァァンッ!!
今回のナイフは有り余る鉄を使っている。
そして、簡単に折れないように刀身は普通の物よりも分厚くなっている。
さらに、肉を切りやすくする為鍛治キットに入っている砥石を使って研ぎ、刃を鋭くした。
ナイフの柄はもちろんファンストの森産の木材。
...まぁ素材がこれしかないってのもあるけど。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【名前】解体用ナイフ:品質5
【説明】普通のナイフよりも分厚く鋭い肉切r...ナイフ。持ち手は滑らず、武器としても使える。
耐久:470
STR:46
DEX:40
【製作者】アヤネ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
刀よりも分厚いからか、耐久性は優れている。
...けど武器として使わないし!
てか、これ初期武器のショートソードよりも武器してる...?
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【名前】ショートソード:品質1
【説明】初心者が愛用する初心者の為の武器。耐久値は物凄く高い。...鉄製なのにね。
耐久:99999
STR:30
【製作者】???
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
《鑑定LV.3→4になりました》
あ、レベルもあがった。
これがショートソードの鑑定結果。
耐久が化け物だけど、これは武器が無くなってしまった人用の救済措置なのだろう。
耐久性を考えなければ解体用のナイフの方が武器として使えるだろう。...まぁ武器としては使わないけどね。
ナイフが出来たのでリーフェルの解体の為に私は冒険者ギルドに向かい、解体場の一角を借りる。
「あのぉ。ちょっといいですか...?」
「なぁに?」
「すみませんが私に解体を教えて貰えませんか...?」
私は解体場で解体していた(もちろんキリのついたところで)女性職員に話かけ、教えを乞う。
「かっ...!」
「か...?」
「可愛いいぃぃぃい!!!!」
「むぎゅぅう!!」
く、苦し、い。
「赤髪ショートの美少女が上目遣いでっ...!!!きゃぁぁ!!!」
「──っ!?───!!!」
私にはないその豊満なお胸で息が出来なくなる。
じわじわとHPが減る感覚がする...。
「いいわいいわ!私が手取り足取り腰取り教えてあげるわぁぁぁ!!」
「.......きゅぅ...。」
「ん?あ、あれ?大丈夫!?」
魔物よりも強力な