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現在アンモナイトと鬼ごっこ中です。

どうしてこうなった！？

いや、後悔とか反省は後にしてこれからどうしよう？

現在の状況をどうするか考えなきゃ。

鬼役交換してくれないかなー？

後ろから全部で何本あるのか沢山のタコ足みたいな触手をビタン、ビタンと壁や床に張り付けては本体を引き寄せてアンモナイトが追い掛けてくる。

通路がミシミシ、メキメキ悲鳴を上げてるんだけど？

下手したらバキバキ鳴ってないか、これ？

通路を壊す大きさってここで暮らして良いサイズじゃないよね？

先細りしている通路とかあったら途中で勝手に嵌まってくれそうだな。

まぁ、そんな都合の良い通路なんてないだろうしあったとしても力尽くで進んできそう怖いな。

うーん、命懸けの鬼ごっこではあるけれど今の私は不本意ながら舐めプ中。

いや、舐めプなんてしたくてしているわけじゃないのよ。

でもあんまり引き離したらアンモナイトが何やらかすか分からないから程よい距離を保って逃げている。

これはこれでなかなか難しい。

そもそも行き止まりに追い詰められたらそこで私のエビ生終了しちゃうかもしれない緊張感の中こんな鬼ごっこしたくなんてないよ。

速度は私の方が速いのとアンモナイトに遠距離攻撃がないからなんとかこの状況を維持している。

それに周回するルートを見付けられたみたいでいま３周目だったりする。

こうやって誘いながら逃げている内になにか名案を閃かないかと思っていたけど何も思い付かないよ。

ガンバレ私のエビ色の脳細胞。

まぁ、逃げ切るだけならそんなに難しくない。

実際に１度逃げ切っているんだし。

でもそれでこのアンモナイトを放置して知らんぷりじゃこうして我が身を晒してまで鬼ごっこをしている意味がない。

なんとか倒したいけどその方法が思い付かないんだよ。

どこかに私に策を授けてくれる軍師はいないのか？

今のところ他の船まで行ってエビやカニに協力してもらえないか、なんて考えしか浮かんでいないけどこれはどう考えても悪手だよなー。

私みたいに小さなエビでも執拗に追い掛けてくるくらい他にエサがないこの船からお魚さんが豊富な他の船に誘導なんてしたらそっちに目がいって鬼ごっこからお食事会に早変わりして誘導なんて出来なくなると思う。

それにこの沈没大船団に住んでいる生き物でこいつに勝てそうな相手が思い付かない。

実際にどうなるかは分からないけど魔法が効かないんじゃ普通にサイズで勝負が決まっちゃいそうだ。

なんというか、このアンモナイトってこの沈没大船団の中で異質なんだよね。

なんでこんな環境そのものを壊しちゃいそうな奴が生まれたんだろ？

あれ？

距離が詰まってきた！？

ヤバいスピードアップだ。

むむっ、そういえばいつの間にか通路が上げる悲鳴が小さくなっているような……

あれか？ 同じルートを周回していたから同じ所が破壊されて広がって最初より引っ掛からなくなったのか？

それでスムーズに？

こっちは逆に避けなきゃいけない障害物が増えてきて僅かだけど移動しにくくなって来ているのに。

ヤバい余裕こき過ぎてたか！？

マズいな、この先は曲がるところが多くて元からそんなにスピード出せなかった場所だけどこのままじゃ追いつかれるかも知れない。

とっさの判断で違うルートを選択。

行き止まりじゃありませんように。

またミシミシと通路が鳴り出した。

これで少しは考える余裕が出来たのでシンキングタイム。

……やっぱりこいつをどうこうしようなんて最初から私には荷が重かったんじゃないかなー？

あー、後悔しか浮かんでこないよ。

もうここから逃げてその後のことは自然の成り行きに任せてしまおうか？

弱肉強食の自然界でアンモナイトがこんなに大きく成長したのはきっと強かったから。

普通のお魚さんだけじゃなくて魔法を使う生き物だって食べてきたはず。

少なくとも私以外に今までに出会ってないなんてことはないだろう。

なら私がどうにかしなくちゃなんて考えたのが変だったのかな？

ん？ 何か忘れているような？

んー、何だったかな？

あれ？ あれれ？ そうだ、強いといえばこの辺りで１番強い生き物のことを忘れていたぞ。

アイツならアンモナイトでも倒せるじゃないか？

そう、恐怖のサンゴ礁さんなら。

魔法で創った弾は効果ないけどサンゴ礁は自分の身体の一部を魔法で飛ばしてくるから物理的な攻撃力もある。

一撃の威力はアンモナイトの巨体には豆鉄砲みたいなものかも知れないけど、沈没大船団を覆っている無数のサンゴ礁から集中砲火を浴びたら流石にひとたまりもないんじゃないかな？

もしかしてアンモナイトがエサのないこの船から別の船に移動していないのはサンゴ礁を警戒していたからなのかも知れないな。

あー、上手いことアンモナイトだけをサンゴ礁に攻撃して貰えないかな？

自滅覚悟なら私が甲板を突き破って海に出たらアンモナイトも追い掛けてくるかな？

追い掛けてこなかったらそれってただの自殺だよなー。

んー、前に沈没船から切り出した金属を下に向けて盾にしたら少しの間くらいならサンゴ礁の攻撃にも耐えられるそうかな？

なんとか希望が見えた？

とりあえず一旦この船から逃げて金属の塊持ってこなきゃだね。

ん？ 今通り過ぎた部屋ってもしかして……？

あっ、今になって別の作戦思い付いた。

どうしよう？

どっちの作戦で行こう？

迷うけど、すぐに試せるのは今になって思い付いた方だから先に試しておこう。

成功のカギは私の魔法制御力に掛かっているよなー。