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変なサソリは不気味だけど気を取り直して探検しよう。
小部屋の様子を順番に見ていった。
んー、あんまり物がないなー。
流石に宝箱とか期待していた分けじゃないけど、生活感がないというか探していても張り合いがない。
形の崩れた残骸みたいなのはあるけど元がなんなのかさっぱり分からなくなっていてお手上げだ。
船の探検はイマイチだったけど棲み着いていた生き物は豊富だった。
最初の小部屋以外でもカニがいたので私と違ってコイツらぼっちじゃないや、って少し複雑。
なんて思っていたらエビを発見。
発見したんだけど……なんだろうね。
ずっと探していた割に特に感動とかしなかったよ。
見た瞬間はちょっと興奮したんだけど、ユリ姉さんじゃないのはすぐに分かって、そしたらストンと興奮が治まった。
うん、どんな感情で接したらいいのか戸惑って思考停止したのかな?
身体はエビだけど今でも中身は人間だっていう思いがある。
だからエビに対して兄弟とか同じ種族なんて思えない。
でも身体がエビなのは事実だし……うん、どんな関係なんだろうね私達。
いや、きっと兄弟なんだけどさ。
向こうも私が近付いたら威嚇してきやがったし。
この辺じゃ見かけない顔だな、とか思っているのかな?
はいはい、縄張りを取ったりしませんよー。
結局エビもカニも何匹もいたね。
あれ? 今さらだけどエビの数え方って匹でいいんだっけ?
1尾、2尾とかだっけ?
それとも食材として数え方だったかな?
まぁ匹でいいか……私も匹かぁ。
それにしても6匹くらい会ったけどみんな身体の色がユリ姉さんと同じ白だった。
オスとメスで色が違うのかと思っていたけど、ここまで続いたらやっぱり私の赤色が異常なのかな?
6匹、ユリ姉さんを足して7匹で判断はまだ早いかも知れない……ことにしておこう。
悩んでも答え出ないしね。
ちなみにカニの色は背中が青っぽくてお腹の方は白いみたい。
出会ったカニはみんな同じ色合いで例外なし。
まぁ、カニは産まれたときからしばらく見ていたから色が同じなのは分かっていたけどね。
まだ中を見てない小部屋はあと1つ。
ここだけ扉が開かなかったから後回しにしていた。
他は扉が無かったり、あっても簡単に開けられた。
ゲームのダンジョンだったらこういう鍵のかかった部屋に宝箱が有ったりするんだよね。
それか強敵とかいたりして。
私は一通り見てから最後に開ける派。
まぁ、鍵がかかっているのか錆びたり軋んだりして開かないのかは分からないけどね。
水手裏剣を創って回転させて扉と壁の隙間に差し込む。
キュイーーン
これで開くかな?
手のひらを創って押すと扉が動いた。
さっきゲームのことを考えていたからか緊張するな。
流石に敵とかいないよね?
でも誰かが棲んでいて鍵をかけていたとしたら危険。
そんなのがいたら普通の生き物じゃなくて魔法使うよね。
何が起こってもいいように緊張しながらゆっくり扉を開いて中の様子を窺った。
何かいる?
何か白いのが見える。
あれは……もしかして骸骨?
小部屋で2人分の骸骨が私を出迎えた。
まさか初めて会う人間が骸骨とは。
いや、沈没大船団を探検するんだからこういうことも覚悟していたけどさ。
2人は身を寄せ合うようにして並んで椅子に腰掛けていた。
沈む船の中でどんな気持ちで最期を迎えたのかな?
エビと会ったときみたいにどんな感情で接したらいいのか困るな。
思ったより怖がってないのはお魚をそのまま食べたりしてグロに耐性が出来たから?
それとも異世界転生にありがちな精神の変化?
小部屋の中には他に何かないかと動いたら骸骨が揺れた。
えっ、もしかしてアンデット系のモンスター?
確かに異世界ならそういうことがあるかもしれない。
そんな可能性すっかり頭から抜け落ちていた。
焦って小部屋から逃げだそうとしたけどよく見たらゆっくり左右に揺れているだけで自分の意思で動いている感じじゃないな。
海水の動きに合わせて揺れているだけだったみたい。
あービビった。
念のために海水で手のひらを創って触ってみたけど反応ないから大丈夫だよね?
しかし考えてなかったけどアンデットとかいるのかな?
スケルトンとかミイラとかゴースト?
あー、いるって考えて行動しておいた方がいいんだろうけどさ。
ゴーストに魔法効くかな?
まぁ、他の生き物が棲んでいるんだし、いたとしてもそこまで危険じゃないよね。
それにしてもこの骸骨、人間の骨だよね?
んー、骨を見て人間かどうかなんて私には判断出来ないよ。
頭に角があるとかだったら人間以外だって分かるけど見たところ変なところは無い。
指の数も5本ある。
ん? この骸骨2人とも指輪をしているな。
同じデザイン。
カップルだったのかな?
小部屋の中は鍵がかかっていたからか他よりもキレイな状態。
でもあんまり物が無いのは一緒だな。
この2人が生活していたんじゃなくて船が沈むときにここにいただけなのかな?
他にある物は骸骨の下に剣が落ちていた。
錆びているのか鞘から抜けなかったけどね。
抜けても私には大きくて使えないからまぁいいんだけど。
カサッ
ん? 通路の方から音が聞こえた。
またサソリかな?
カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ……
えっ? 何ごと?
慌てて通路に出たら床を埋め尽くす勢いでサソリが奥の方からやって来ていた。