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なんか思っていたより時間が経ったような気がするけど、ようやく沈没大船団の中に入ってみよう。
ちなみに沈没船2号館から切り落とした金属は持ってみたら重たくて持ち運ぶだけで結構な魔法制御力が必要だった。
防具代わりに持っていこうか悩んだけど諦めて手ぶら。
小さくすれば盾とか剣みたいに持ち運べるだろうけど小エビサイズの盾や剣が活躍する場面ってあんまり無さそう。
それよりも中をくり抜いて船みたいにしたら沈没大船団の上も通れるかも知れないと思ってそのまま置いてきた。
あとで必要になってから考えよう。
まずは探検だ。
海底からゆっくりと近付いて行く。
お魚が出入りしていたのはこの辺だったかな?
近くで見ると船の表面は結構ぼろぼろで隙間も沢山ある。
どのくらい前に沈んだのかなー?
原因は分からないけどこんなに沢山の船が沈んでいるんだから、多分この世界の歴史が分かればいつの時代のどんな船なのか分かるよね?
地球だったらこの沈没大船団の調査のために大調査団が送られてテレビでも特番とかワイドショーでバンバン流れそう。
異世界だとどうなんだろ?
文明レベルが不明だからなー。
まだ人間にも出会ってないし。
水槽球を纏ったまま入れそうな隙間があったのでここから入ってみる。
んー、やっぱり暗いな。
でもエビの瞳は高性能なのよ、私知ってるもん。
ほら、すぐに視界がはっきりとしてきた。
小部屋かな? 私にとっては体育館みたいな広さだけどね。
船の構造はどうなっているのかな?
扉は壊れているのか最初から無かったのか通路と直接繋がっているみたい。
取りあえずこの部屋の探検から始めてみようかな。
何かあるかな?
部屋の中には小魚が泳いでいたり海藻が生えていたりしている。
あれはベッドの残骸かな? 他にはタンスみたいなのがあるくらい。
なんだろ、多分個室だけどそんなに身分が高い人の部屋って感じではないな。
でも個室を貰えているのはそれなりの人なのかな?
なんか下っ端は大部屋に詰め込まれてるイメージ。
まぁ、海賊映画とかのイメージでここではどうか分からないけどね。
それにこの船の船員じゃなくてお客様かも知れないのかな?
んー、旅客船とかは流石に無いか?
結局この大船団がどんな船だったのか分からないことには何とも言えないなー。
魔法で手のひらを創ってタンスに触れる。
ぴったり閉まってなくてすでに半開き状態。
ゆっくりと開けてみるとそこに小さなカニがいた。
おぉ、あの時産まれた赤ちゃんガニかな。
今は少しは大きくなっているけど……なんか警戒されてる!?
まぁ当然か、お邪魔しました。
悪いエビじゃないですよー。
ゆっくりと元のように扉を閉めた。
なんか悲しいな。
こんな所でカニに会うかー。
浅瀬からいなくなったカニ達がどこにいるのかは知りたかったことだけど。
まさか沈没大船団の中に棲んでいるとはね。
やっぱり私の兄弟エビもいたりするのかな?
船が棲まいかー。
いや、船に棲んでいるんじゃなくて元々棲んでいた海に船が沈んできたんだろうけどね。
ちらっと見えたタンスの中は特に何もなかった。
使っていなかった部屋なのかな?
それとも風化した?
通路に出てみる。
ところどころ天井が崩れたりしているけど通れそう。
ここは個室が並んでいるのかさっきの部屋みたいなのが並んでいるみたい。
扉はあったり無かったりするから無いところは壊れて無くなったのかな?
残骸みたいな木材はそこら中に転がっている。
迷子にならないように壁に何か印を付けようと思ったけど何を書こう?
迷ったけど簡単にバッテンを刻んだ。
次からはこのバッテンに向けて矢印を刻めばいいかな。
潮溜まりの矢印も気になるなー。
調べようがないけどね。
通路がどうなったいるのか1度端から端まで行ってみた。
まっすぐな通路はどちらも行き止まりになっていて、小部屋が海側に20、反対側に18あった。
部屋がない2カ所は通路になっていたからまずはここの小部屋から調べてみよう。
カサッ
通路の先から何かやって来た。
えっ、何あれ? サソリ?
多分ネコくらいの大きさのサソリみたい生き物が通路からやって来た。
海なのにサソリ?
脚で歩いているしとても海の生き物らしさが全くない。
いや、地球でのイメージが強いだけでカニとか考えたらそんなに変でもないのか?
同じ甲殻類だし?
なんて考えていたら私に気付いたサソリがこっちに向かってきた。
敵かっ!
水鉄砲で攻撃。
パンッ
あれ? 強敵かと思ったけど水鉄砲で簡単に倒せたな?
魔法を使う生き物じゃなかったのかな?
まぁ、倒せたんだからいいけど。
倒したサソリを見ていたらサソリが海に溶けるように姿を消した。
は? えっ、何ごと?
魔法で手のひらを創ってサソリがいた場所にやるけど何にもぶつかる様子がない。
透明になったんじゃなくて消えてしまったの?
もし透明になって攻撃してくるなら最初からそうしてきただろうけど。
すごく不気味、今まで倒したら消えるなんてことは無かった。
少し待って様子を窺うけど特に何も起こらない。
不気味ではあったけど強くは無かったからそんなに心配しなくて大丈夫なのかな?
気を取り直して他の小部屋に行ってみようか。
そこで人類との初遭遇を果たした。
骸骨だけど。