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サンゴへのリベンジの前にちゃんと性能を実験しておかないとね。
感覚としては上手く発動していると思うけど、ちゃんと強度とかレベルアップしているかな?
まずは水槽球の旧バージョンを使った状態で海水を操る。
んー、6リットルくらいかな?
最大8リットル操れる内の2リットルが水槽球に使われている計算になる。
次に新バージョンの水槽球。
この状態で操れる海水は……んー、微妙だな、5リットルよりはあるし5.5リットルくらいかな?
うん、旧バージョンより必要な制御力が上がっているから魔法としてはちゃんと変更されているね。
次は外にもう1つ水槽球を創る。
さすがに自分が入っている水槽球を撃つのは怖いからね。
バシュッ
バシュッ
おぉ、しっかり弾いているな。
水鉄砲で壊れないってシールドよりも頑丈?
水槽球の丸みが上手く水鉄砲を滑らせているみたいね。
いい感じ。
これは丸みがある分シールドより割れにくいのかな?
まぁ、シールドを丸くして敵の攻撃を反らしたら後ろにいるのは私だからね、シールドと水槽球だと役割が違うから仕方ないのか。
シュンッ
水手裏剣もしっかり弾く。
なんかすごくバージョンアップしてない?
大成功かも。
今度は丸みで反れないようにしっかり真ん中を狙って撃つ。
狙い撃つぜ!
バシュッ
割れてはいないけどヒビは入ったな。
でもそんなに大きくない。
近くで水槽球をよーく見てみるとたくさんの傷があった。
さすがに今までの攻撃も無傷ではなかったけどこれならサンゴの攻撃だって平気かも。
ホント旧バージョンから大幅なレベルアップだな。
安全になったのは嬉しいけど、敵が同じレベルかこれ以上の防御力だったら私の攻撃で倒すのはかなり厳しいと思うと、そんな敵には出会いたくないなー。
これは攻撃のレベルアップも考えてみるべきかな?
今の水鉄砲も水手裏剣も使い勝手はとても良くて気に入っている。
でも魔法を使わない生き物には無双状態だけど、魔法を使う生き物相手にはどちらも今ひとつな現状。
基本的に勝てそうだと思っても魔法を使う生き物相手には戦わずに逃げてきたからそこまで高い攻撃力は必要じゃなかった。
深い海に探検に行くといってもこの方針はとりあえずそのままの予定。
なにがあるか分からないからね。
だから今のままでもそんなに困ってはいなかったりする。
それに攻撃力をレベルアップされる具体的なアイデアないんだよねー。
連射したり同じ場所に同時に当てるくらいしか思い付かない。
もっと1度に操れる海水の量が増えたら水鉄砲と水手裏剣の強化版で水大砲とか水大手裏剣とかの魔法を試してもいいけど今だと厳しいんだよね。
やっぱり攻撃よりも防御を優先が正解な気がするな。
ゲームじゃないんだから、こいつを倒さないと先に進めないとかないからね。
逃げるが勝ちよ。
ここは潮溜まりとは違って大海原だから逃げ場がないとかあり得ないからね。
よーし、明日はサンゴにリベンジだ。
翌日
改めて探検2日目、今日の目標はサンゴにビビらず先に進むことと、この沈没船まで戻ってこないでどこかいい場所を見付けてキャンプすること。
サンゴは攻撃されても新しい水槽球で防げると思うけど、キャンプは難しいな。
この沈没船は何故か他の生き物が滅多に近付いて来なくてまるでセーフゾーンって感じで安心だけど、外泊するとなると寝場所の確保は生死に直結する。
いい場所あるかな?
そもそもどんな所がいいのかイマイチ分かってないのが1番の心配事だったりする。
もっと海の生き物に興味持っていたらなー。
陸の生き物にもそんなに興味なかったけど。
寝場所に関しては手探りで安全そうな場所を探してみるしかない。
最悪見付からなかったら戻ればいいって保険もあるしね。
いざ出発。
おぉ、やっぱり深い方が海水の温度が冷たくて気持ちいい。
いままで沈没船に不満なんてなかったけどこの気持ちよさを知っちゃったからか昨日の夜はなんだか快適に過ごせなかったな。
贅沢を覚えてしまったものだ。
あっ、いまはムリだけどもっとたくさんの海水を操れたら沈没船を動かせるかな?
どのくらいの量が必要なんだろ?
当分ムリそうだなー。
パンッ
くっ、水槽球に衝撃が。
またしてもサンゴに先制された。
センサーでも搭載しているのか?
しかし、昨日の私とは違うのだよ。
衝撃は感じたけど水槽球ごと突き飛ばされることはなかった。
もちろんサンゴの一部が水槽球の中に入るなんてこともない。
ふっ、サンゴ恐るるに足らず。
まぁ、攻撃されているのも目立つので射線を避けるように岩陰へ移動。
この辺の洗礼はサンゴから浴びたけど他にどんな生き物がいるか分からないからね。
あっ、ウニ発見。
いつも見かけるウニより大きいな、もちろんノータッチ。
ウニは魔法使いだからね。
しかもサンゴからも生き延びているってことだよね。
怖い怖い。
んー? ところどころお魚は見かけるけど海を泳がずに岩場に隠れているな?
サンゴ対策?
凶暴なサンゴだなぁ。
パンッ
うわっ、また撃たれた。
いえ、別にサンゴの悪口なんて言ってないですよ、はい。
あー、驚いた。
なんてタイミングだよ。
水槽球が無事なのを確認。
さて、昨日よりも先に進めているけどこれからどうしようかな?
動かないサンゴが相手なら岩場に隠れたら比較的安全かも。
私の身体はまだまだ小さいから狭い隙間にも入っていけるもんね。
しかし、なかなか赤ちゃんガニに会わないな。
どこまで行ったんだ?
それともなにか勘違いしているのかな?
ん、あれは?
えっ、うそ!?
遠くに見えてきたのは今朝見たのと同じ沈没船。
なに? ループした?
見慣れた沈没船に混乱したけど、よく見たら違いがある。
沈んでいる角度が違うし、周りの地形も違う。
これは違う船だ。
でも形なんかは完全に同じ。
量産型だった?
いや、人間の大きさだったら小型船よりもまだ小さいボートくらいのサイズだから量産品でもおかしくないけど。
えっ、この沈没船ってホントにセーフゾーンなの?
ところどころにあって辿って行かなきゃなの?
それってゲーム?
混乱した頭に変な考えを浮かべながら沈没船に近付く。
これで今夜のお宿をゲット。
あっ、先客がいないといいな。
フタの押さえが壊れていたら普通に中に入れるもんね。
は?
この沈没船の中がどうなっているか見ようと少し浮上して見えた景色に固まった。
見渡す限りに船が沈んでいる。
船、船、船、船……
沈んでいるのはこの沈没船みたいなサイズじゃなくて大型の船。
それとも超大型?
それが何隻も数え切れないほど沈んでいる。
ここで何があったの?