前へ次へ
22/88

22

今住んでいる沈没船が沈んでいるのはそんなに深い場所じゃない。

それでも水深15メートルくらいはあるかな?

いままではこの沈没船より深い所には行かないようにしていた。

だって海って深い所ほど危険なイメージあるからね。


あれ? このイメージってゲームの影響かな?

ゲームの中だと、船を手に入れて海に行くと陸から離れた方が強いモンスターが出たりする、だからここでも深いほど危険って思い込んでいたけどそんなことないのかな?

実際は深さと危険度ってそんなに関係なかった?


いやいや、深い場所にはお母さんエビとか巨大ガニみたいな地球の海にいなかった怪物みたいな生き物がいるし、この辺の浅瀬より安全ってことはないよね?

なにより魔法がある世界なんだから地球の常識で考えちゃダメだ。

いや、もともと海洋生物? とか全然知らないんだけどね。



それでも今より深い場所に行ってみようと思ったのは赤ちゃんガニが深い方に行っていたからで、たぶんこの辺で見かけない私の兄弟エビ達もここより深海に移動していると思うから。

別に追い掛けようとしている分けじゃないよ。

まぁ、他のエビがどんな物を食べてどんな場所で暮らしているのかは知りたいけどね。


行こうと思ったのは、ここで暮らしてみて私ってそれなりに強いな、と思ったから。

この辺の海の生き物の中で私の強さって上から数えた方が早いと思うの。

油断は禁物だし、急に強い奴が遠くから来たりするかもだけど、この沈没船でずっと暮らすことも不可能じゃないと思う。

もちろん安全を優先して行動していたから確実じゃない。

でも、何度かあった戦う場面でもちゃんと生き残れた。

相手を倒すよりも防御や逃走を意識していたけど。

もしも戦って追い詰めたら何があるか分からないからね。

さすがに自爆魔法とかはないと思うけど。


もちろん潮溜まりにいたカエルにもまだまだ勝てる気がしない。

あのときカエルが身に纏っていた海水って私が操れる海水量の10倍はあったと思う。

それに全然全力じゃなかったみたいだし、いま目の前にいたら逃げの一択だ。

それでも、少なくとも今の私の強さって潮溜まりにいた頃のユリ姉さんよりも強いって自信がある。

生まれてすぐの頃の他の兄弟エビや赤ちゃんガニより強いって自信を持って言える。

まぁ、赤ちゃん相手にしている時点で情けなさがあるけどね。


そんな兄弟エビや赤ちゃんガニが深海に向かったなら私でも大丈夫なはずだ。

まさかたくさん生まれたエビ、カニが全滅なんてしないだろう。

それじゃあ地獄に向かって行進しているようなものだ。

弱肉強食の世界だから全員が生きてるなんてことは不可能だろうけど、生きるのに有利な場所で生活しているはずだ。

だからきっとここよりも深海の方がエサ的にか生体的にか生きるのに向いているんだと思う。


まぁ、憶測だらけだしここでも生きていけるって保険もあるから焦らずゆっくり進むけどね。


いままで避けていた沖の方に慎重に移動する。

水槽球でしっかり身を守る。

そういえば水槽球って名前を付けてからなんだか水球って呼んでいた頃より丈夫になった気がする。

丈夫というか、水球は海水が球の形をしているけど水槽球の場合は球の形をした水槽をイメージしているからか球の周囲が水球よりも硬くなっているように思う。

ふふっ、安心していられる場所ってステキ。

まぁ、せいぜい小魚とか相手の安心だけど。

いつかホントに安心出来る安全な家が欲しいなぁ。


んー、なんだか水が冷たくなってきたかな?

ちょっと岩陰に隠れて周囲の安全を確認。

右よし左よし前よし後ろよし上よし下よし。


水槽球を解除。

うわっ、直に浴びるとやっぱり冷たいね。

水槽球だとゆっくり冷えてくるのかな?

あー、冷たくてびっくりしたけど、そんなにいやじゃないかも。

むしろこっちの温度の方が気持ちいいくらい。

エビとかカニが移動したのってこれが原因?

まぁ、理由の1つなのかな。


海水の温度とかいままで考えてなかったな。

確かにこの温度に慣れたら沈没船に戻るのも辛く感じるかも。

いままで平気だったのにこの気持ちよさを知ったらね、なんか贅沢を覚えちゃったみたいで少し恥ずかしい。


視界は良好。

再び水槽球を展開して先に進む。

んー、けっこう急だった勾配がなだらかになってきたな。

しばらくはそんなに深さ変わらないのかな?

じゃあこの辺に赤ちゃんガニとかもいるのかな?

それとももっと深い場所?


辺りを見るとちらほらと魚を見かけるけど、それほど変化していないような?

赤ちゃんガニはいないな。

まぁ、距離でいえば100メートルも移動してないもんね、そんなに急に変化なんてしないか。

昔のRPGみたいに橋を渡ったら急に強いモンスターが出た、なんてことはないか。


パンッ


はい? えっ? 目が回る?

うわっ、今攻撃された?

姿勢を整えてシールド展開する。

水槽球を見ると下の方にヒビが入ったようにダメージを受けていた。

水槽球を修正しながら下の方を見る。

……んー? 何にも見えないな?

どこかに隠れているのかな?

それとも透明になっているとか?

ヤバっ、いままで遠くから攻撃するのは私の方だったのに、逆に攻撃されるなんて!


敵がどこにいるのか分からないから迂闊に動けないけど、このまま攻撃がなかったらゆっくり後退しよう。

くっ、いったいどこから?

攻撃されたと思う方向にはサンゴがあるけどサンゴの影に何か隠れているのか?


パンッ


2度目の攻撃はシールドで防いだ。

偶然サンゴを見ていたから分かった。

攻撃してきたのはサンゴだ。


異世界のサンゴ怖っ。

前へ次へ目次