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水手裏剣いいなぁー。
すごく使いやすい。
水鉄砲よりイメージしやすいからかな?
なんか手裏剣の形だと高速で回転するのもイメージしやすくていいね。
威力やスピードは横回転な分、水手裏剣の方が遅いけど、それでも使う場面は多そう。
あれ? 手裏剣が横回転なら水鉄砲みたいな銃弾の回転は何回転だっけ?
縦回転? あれれ?
縦も横も向きを変えたら一緒だな。
えーと?
ま、まぁ、それはいいや。
そうだ。
水手裏剣みたいに、私の周りの水球も特別に名前を付けようかな?
んー、何がいいかな?
水球……水膜?
常に身の回りにある物だと洋服とか?
水服?
水鎧?
イメージと合わないな。
形的には金魚鉢みたいだからエビ鉢?
いやいや、なんかいやだ。
名前に水を付けるのに拘り過ぎかな?
でも使う魔法の名前がある程度共通していた方が統一感があっていいように思うんだよね。
まぁ、水の付いたいい名前が思い付かなかったら違う方向で考えてみよう。
生き残っていったら、これからもいろんな魔法を創ることになるだろうし、あんまり拘り過ぎても名前の候補が無くなっちゃうからね。
えっと、水球の名前、名前……
機能的には防護服みたいだから防水服?
これだと防水の服か。
じゃあ水護服とか?
んー、やっぱりイマイチ。
丸い形と服がマッチしないな。
手裏剣みたいに名前に合わせて形を変えるには服って難しい。
それにどの方向から襲われるか分からないから丸い方が便利何だよねー。
じゃあ、丸い水槽で、水球槽?
いや、水槽球の方がいいな。
うん、いままで1番違和感ないかも。
水槽球……うん、これに決めた。
丸い水槽の中を泳ぐエビ。
なんか守ってくれるイメージもあるしいいね。
いろいろと魔法の工夫をするのは楽しいな。
なんだか魔法使いとして成長している気がするよ。
これからはもっとこの辺の生き物のことを知りながら、もっと上手に魔法を使えるように練習だね。
今日はこれでお休みなさい。
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あー、この沈没船で暮らし始めてから10日くらい経ったかな?
ちゃんと数えてないから正確じゃないけど、そのくらい経った。
生まれてからだとどのくらいだ?
その間に5回も脱皮した。
脱皮をする度にカエルにやられた右手は太くなっていって、今ではもう左手と変わらない。
完全回復。
脱皮した脱け殻はどんどん硬くなって、もうそのままでは食べられないくらいになった。
それだけ成長したってことだね。
身体も最初の倍くらいの大きさになってちょっとビックリ。
成長期だね。
身体の赤い殻もしっかりしてきて丈夫になってきた。
まだまだ人間からみたら誤差みたいなものだろうけどね。
それと、身体の成長以上に魔法が成長したと思う。
前は1度に動かせる海水は2リットルくらいだったけど、今は8リットルくらいになった。
すごい成長期だね。
脱皮の効果なのか毎日魔法の練習をしていたからなのか、一気に4倍になったよ。
制御出来る海水が増えたので水槽球も大きくして、今は1リットルくらい。
安全のためにもっと大きくしてもいいけど、沈没船の中で過ごすにはこのくらいの大きさが限度なんだよね。
もっと余裕が出来たら大きさを変えるようにしてもいいと思うけど、あんまり普段から大きな水槽球の中にいるとどうやら目立つみたい。
1度に大きな水槽球で海に出たら小魚が逃げ出すのが早くなった。
これって敵にも見付かりやすいってことだよね?
目立つのと安全とのバランスが難しい。
食生活はかなり変わった。
遠くから魔法で攻撃してみて魚を獲るようになって食べる物は豪華になった。
何度か危ない目にもあったけどね。
なるべく遠くから隠れるようにして攻撃しているけどたまに躱したり防御したりする魚がいて、次からは同じ種類は攻撃しないようにしていたんだけど、何回かは攻撃を防ぐだけじゃなくてこっちを見付けて反撃してきた。
いやー、危なかった。
攻撃は水球をぶつけてくるのが多かったけど、私より大きな魚の攻撃だけあってかなり大きな水球をぶつけられた。
相手に使われて感じるけど、水球って見難くて攻撃されてもなかなか分からなくて厄介だった。
こっちの攻撃にはちゃんと対応されるんだけど何が違うのかな?
水手裏剣も水鉄砲も色が付いてる分けじゃないから見難いのは一緒だと思うんだけどね。
やっぱり魔法を感知しているのかな?
私、いまだに魔法とか魔力とか感じ取れないんだけど。
誰か教えてくれないかしら?
反撃されても私の水槽球とバリアで今のところ無事だったけど、けっこう衝撃があって怖かった。
しばらく身を守りながらこっちからも攻撃していたら諦めて去っていってくれた。
しかし速いなー。
私は水槽球ごと動かして移動しているけど、魚は海流を創ってそれに乗って移動していると思う。
もしも去って行く魚を追い掛けても、追い付ける自信ないなぁ。
やっぱり海の生き物だけのことはあるね。
私も海の生き物のはずだけど。
あと、貝は危険。
動かない貝はただの的、って思ったけど魚より魔法を使う奴が多かった。
むしろほとんどの貝が魔法を使うんじゃないかな?
戦えば勝てるかもしれないけど、私も貝を生でどう食べていいのかよく分からないから魔法を使ってくるかの実験だけで積極的に狩りに行かなかった。
他に食べる物がないなら別だけど、食料には困ってないからね。
他に分かったことは月のこと。
この世界には2つの月がある。
毎日月を眺めていたら、2つの月の位置がだんだん離れていた。
んー、満月や新月みたいな満ち欠けもあるみたいだし、この世界の月って複雑みたい。
十五夜とかあるのかな?
お餅食べたい。
あとはカニのこと。
いまのことろ、まだカニは食べていない。
よく見かけたけど、向こうから攻撃して来なかったし、私も食べる物に困ってなかったからね。
でも、そのカニが日を追う毎に明らかに少なくなっていった。
どんどん見なくなっていったもん。
最初は、他の魚とかに食べられたのかな? って思ったけどどうやら違うみたい。
むしろ魚を魔法で攻撃して食べていたもの。
やっぱり魔法使えるんだね。
どうもカニ達がいなくなったのはここよりも深海の方に行ったみたい。
移動しているカニを何度か目撃した。
もしかしなくても、私以外のエビがいないのも深海に行ってるのかな?
わざわざお母さんが浅瀬まで来て生んだのにすぐに深いところに行くのは何でなんだろう?
よく分からないなぁ。
私もいつまでもここにいないで深いところに行った方が多分エビとしては正しいのだろう。
でも危険は増すだろうなー。
ここにいちゃダメなの?
でも沖の方も気になっていることがあるんだよね。
この沈没船って陸地の方に頭を向けて沈んでいる。
人間からみたら小船で、長い距離を移動するような船には見えない。
そんなに食料だって積めなさそう。
この船ってどこからやって来たのかな?
もしかして島とかある?
まぁ、向きが変わって沈んだのかもしれないから思い違いかもしれないけどね。
一晩悩んで今よりも深い海に行くことを決心した。
レッツゴー!