茂みの中から俺の婚約者（公爵令嬢）が現れた

　彼は先日、七歳の誕生日を迎えて一カ月が経ったか経っていないかという日に天使に会ったことがある。

　シャルド・トラリア――トラリア王国の国王陛下の第一子であり、第一王位継承者でもある。

　その日、シャルドはある目的のため護衛を伴い馬車で移動をしているところ、賊に襲われた。

　いや、賊ではない。

　彼らは訓練を積んだ兵だった。十年前の隣国のいざこざにより併合された国の兵が、賊を装い襲い掛かってきた。とはいえ、シャルドの護衛たちも訓練を積んだ一流の兵である。

　数でこそ劣るものの一進一退の攻防は続いた。

　途中、馬が斬られたショックで馬車が大きく揺れ、シャルドは意識を失うことになるのだが、その時、彼は夢か現実か、美しく、そして気高い少女に出会った。

「私は冒険者よ。あなたを治療するわ」

　彼女は馬車の扉を開けてシャルドを見ると、笑顔で言う。

　シャルドは馬車で頭をぶつけただけだ。

　それより、襲われた護衛たちを助けてほしい――そう言おうとしたが、うまく言葉が出ない。

　そんな彼女に、　

　意識がはっきりせずにうろ覚えなのだが、彼女の年齢はシャルドとあまり変わらない金色の髪の少女だった。

「よく頑張ったわね。大丈夫、外の人も無事よ。私が回復魔法で全員治しておくから、あなたは安心して眠りなさい」

　少女はそう言うと、シャルドの頭を優しく撫でた。すると、緊張が解けたのか、シャルドは眠りに堕ちてしまった。

　そして目が覚めたとき、先ほど見たのは夢だったのだろうか？　と思うようになる。

　だが、それは夢ではなかった。

　シャルドが出会った少女は、死を待つしかない者も馬までも治療し、そして何の見返りも求めず、自分の名前も告げずに去ったという。

　それ以来、シャルドは彼女のことを考えていた。

　と言っても、意識もぼんやりしていて、どんな顔をしていたのか、どんな声だったのか覚えていない。

　わかっているのは、彼女が金色の髪で、シャルドと年齢もあまり変わらない女性であることと、そして、彼女が回復魔法を使える冒険者であること、ただそれだけだった。

　せめて、その情報を頼りに彼女を探そうかとも思ったが、しかし、探してどうするというのか？

　彼女が謝礼を求めていないことは、その行動から見ても明らかだ。

　名乗らなかったことは、何か事情があるのかもしれない。

　彼女はシャルドにとって命の恩人だ。

　その命の恩人を無下にすることなど、彼にはできなかった。

　それでも、王子としてではなく、一人の冒険者としてなら、彼女に会うことができるのではないか？

　シャルドはそう考え、側近のレジーに相談を持ち掛けた。

　レジーはシャルドより三歳年上の男性で、良いアドバイスをくれる。

「レジー、お忍びで冒険者になりたいのだが、どうすればいいと思う？」

「何の目的ですか？　魔物退治をしたいのであれば、第三騎士団に入って訓練してみては？」

「そうではなく、冒険者になりたいのだ……その、理由は今は言えん」

　レジーはシャルドに何か尋ねるのをやめた。

　一国の王太子が冒険者になるなど、本来はあってはならない話だが、彼の父である国王陛下も王太子であったときはお忍びで町に出ては、庶民の料理に舌鼓を打っていたと聞いたことがある。しかもその理由が、馬車から見た食堂の娘に一目惚れしたからだという。

　シャルドの態度から、恐らく彼は何かがあって冒険者の女性に恋をし、その女性に近付きたくて冒険者になろうとしているのであろうと予想し、これも王家の血筋なのだと納得した。

　レジーなら、シャルドに仮の身分を用意し、変装させ、王城から連れ出して冒険者登録させることなど容易なのだが、しかし、せっかくだからそれを利用して、シャルドを鍛えようと思った。

　シャルドは剣術の稽古が好きではなく、よく家庭教師を困らせていた。

　なので、これを機会に、剣術の稽古をしようと思ったのだ。

「殿下、冒険者とは魔物を倒す者ですので強くないといけません。また、冒険者になるには、八歳の洗礼式を終えないといけないと言われています」

「年齢か……」

「なので、まずは新兵の訓練に参加してはいかがでしょうか？　八歳になるまでの約十一カ月、しっかり訓練すれば、きっと冒険者に相応しい人間になるでしょう」

「なるほど、新兵の訓練か……確かに、それは悪くない」

「それと、変装もしてもらいます。冒険者とは同じ身分の者が共に同じことで笑い、共に同じ食事を食べ、同じ目的に向かって戦う者です。なので、殿下も新兵と同じ環境で戦っていただきます」

　そう言われたシャルドは、頭の中で天使の冒険者と一緒に笑い、食事をし、戦うイメージを膨らませた。

　こうして、シャルドは髪の色を変える魔道具を使って金色の髪を黒く染め、カールと偽名を使って新兵の訓練に参加した。

　このやる気なら一週間は訓練に耐えられるだろうとレジーは思った。

　だが、レジーの予想は大きく外れることになる。

　シャルドは、一カ月経っても新兵の訓練を耐え抜いたのだ。

　新兵の訓練を担当する騎士団の隊長はシャルドの正体を知っていたが、それ以外の人間は知らない。

　最初は慣れない環境に戸惑うことも、諍いに発展することもあったシャルドだが、その時には仲間と打ち解け、一人前の騎士見習いに成長していた。

　剣術も才能はあったらしく、みるみる成長していった。

　それは嬉しい誤算だったのだが、逆に悪い誤算もあった。

　というのも、シャルドには婚約者がいる。

　ルシアナという名前のヴォーカス公爵家の令嬢だ。

　レジーの計画では、シャルドは一週間で剣術の稽古を投げだし、冒険者の少女に会うことも諦め、新たな気持ちでルシアナと向き合うことができる――そう思っていた。

　ここまで続くのは予想外だった。

　そろそろ、シャルドにはルシアナに会ってもらわないといけない。

　婚約者を蔑ろにする王族というのは対面が悪い。

「殿下、一つよろしいでしょうか？」

　訓練を終え、勉学に励むシャルドに、レジーは声をかけた。

「なんだ？」

「殿下には婚約者がいらっしゃるのを覚えていますか？」

　それは、シャルドにとっては耳の痛い話だった。

　シャルドはあの冒険者に会うまで、女性に恋をしたこともなく、何れ自分は国のために望んでもいない相手と結婚させられるということは理解していた。

　だから、国内融和のために、貴族の中でもっとも権力の強い公爵家の令嬢を妻として娶ることに不満もなく、色々な条件をつけてその婚約を受け入れた。

「会いたくないな――」

「そうは行きません。お茶会をセッティングしますので、会って話だけでもしてください」

「茶会か……あの砂糖塗れの甘い菓子は嫌いなのだが」

「我慢してください。気に入るかもしれませんよ」

　結局、シャルドはレジーに押し切られる形でその茶会を引き受けることにした。

　そして、茶会の当日。

「殿下、何をなさってるのですか？」

　シャルドは、鼻と口を黒い布で覆い、防水性の革の手袋を付け、エプロンを着て、綿のブラシを持ってトイレを磨いていた。

「何って、トイレの掃除に決まっているだろ。トイレの掃除は訓練生の当番制で、今日は俺の当番だった」

「……今日はお茶会だって言ったじゃないですか」

「掃除が終わってから行くつもりだ」

「今から行ってください。掃除は私が代わりますから」

　そう言って、レジーはシャルドを茶会に行かせた。

　シャルドは面倒に思いながらも、茶会の場所へと向かった。

　茶会は中庭で行う。

　部屋に着替えに戻る途中に通りかかったが、用意されたテーブルには誰もいない。

　どうやら、相手はまだ来ていないようだ。

（約束の時間はもう過ぎているはずだが――俺が言うのもなんだが、随分と時間にルーズな女だな）

　そう思った時、彼は気付いた。

　庭にある茂みに隠れて、一人の少女が笑っていることに。

　もしかしたら、不審者だろうか？

「おい、貴様――そこで何をしている？」

「……どちら様でしょうか？」

　少女もまた不審人物を見る目でシャルドを見た。

　ここで本名を名乗ろうかとも思ったが、いま、シャルドは変装していることを思い出した。

「俺は……騎士訓練生だ。不審者がいると通報があってな」

「そうでしたの。エプロンに手袋をしているから、てっきり料理人かと思いました」

　シャルドはトイレ掃除の服装そのままだった。

「私はヴォーカス公爵家のルシアナ・マクラスと申します。不審人物ではなく、シャルド殿下からの招待状も持っています」

　そう言って、少女は笑みを浮かべた。

（……俺の婚約者って、これなのか？）

　シャルドは八歳の洗礼式前のため、パーティにはそれほど顔を出していない。

　それでも、機会があれば近付いてくる貴族令嬢の相手をさせられたことがある。

　だが、少なくとも草むらに隠れて待ち伏せしている令嬢を見たことがない。

「それで、一体貴様は――」

「口の利き方――」

「え？」

「相手は貴族なのですから、丁寧な言葉で話してください。騎士訓練生なのですから、学びましたよね」

「なっ…………」

　俺を誰だと思っているんだ、とシャルドは叫びたかったが、しかし今、自分は彼女の言う通り、騎士訓練生だ。

　騎士の大半は貴族の中でも爵位を継ぐことができない人間、もしくは剣術大会で優勝するなどの優れた成績を収めた一部の平民がなるものである。

　つまり、貴族の中で最も最上位である公爵家の令嬢を、騎士は敬わなければいけない。

「ルシアナ様は一体ここで何をなさっていたのですか」

　シャルドが尋ねると、ルシアナはまるで計画している悪戯の説明をする子供のような目で言った。

「ここでシャルド殿下を待っていたのです」

「何故、椅子に座らずに？」

「座っていたら、私が待っていたことがバレてしまうではありませんか」

　意味が分からない。

　誰にバレるというのだろうか？

　おそらく、シャルドであろう。

　でも、何故シャルドにバレたらだめなのかが、彼にはわからなかった。

　理由を聞いて余計に混乱するなんて、初めての経験だった。

「あなた、名前は？」

「俺はカールだ」

「そうですか。では、カールさん、暇だったら話し相手になってくれませんか？」

「は、なんで俺が――」

「訓練生であっても、騎士様なら、淑女の頼みを聞く物ですよ」

　またルシアナは笑みを浮かべた。

　よく笑う女だと思った。

　だが、ルシアナは最初こそ言葉遣いを注意したが、それ以降は特に注意することなく、シャルドに接した。

　偉そうというわけではなく、まるで家族のように話してくる。

「カールさんは、なんで騎士になりたいのですの？」

「別に、騎士になりたいわけじゃない……ありません。ただ、魔物を倒せるくらいに強くなりたいと思っているだけだ……です」

　シャルドの目的は、あくまで天使の冒険者に出会うこと。それだけだ。

　だから、シャルドにとって、ルシアナは少し邪魔な存在でもある。

（どうせ、この女も俺が王子だから近付いてきているんだろうな）

　そう思うと、シャルドは少しむかついてきた。

「俺からも質問していいですか？」

「はい、なんでしょうか？」

「ルシアナ様は、殿下のことをどう思っているのですか？」

「そうですわね……」

　ルシアナはそう言って考える。

　この後言ってくるであろう言葉は想像できた。というか、常に言われ続けて来た。

「尊敬しています」「愛しています」「憧れています」

　どうせ、そんなところだろう、そう思っていたのだが、考えた末、ルシアナが出した答えは――

「……なんとも思っていませんわ」

「は？」

　シャルドが全く想像していない答えだった。

「もちろん、私は公爵家の一員、貴族である以上、王家の剣でなければありませんから、敬愛はしています。ですが、それ以外は何の感情も持ち併せていません」

　愛していないし好きでもない。

　そんなことを同年代の女性から言われたのは初めてのことだった。

「愛してないのか？」

「会ったことがありませんし」

「王太子妃の身分に憧れは――」

「堅苦しそうで嫌ですわ」

「貴様……ルシアナ様はシャルド殿下との婚約を望んでいらっしゃったのでは？」

「望んでいるわけではありません。きっと、シャルド殿下も同じことを思っていらっしゃるでしょう」

　つまり、政略結婚だから、素直に従っているだけだ。

　ルシアナはそう言った。

　本来なら腹が立つ物いいだが、逆にシャルドはそんな彼女に好感を持った。

（なんだ、こいつも一緒なのか）

　そう思うと、気が緩んだのか、腹が鳴った。

　いつもより訓練が厳しくて、食事が足りなかったらしい。

「カールさん、お腹が空いているのですね」

　ルシアナはそう言って笑うと、持っていた籠から何かを取りだす。

「よかったら、このお菓子を召し上がりませんか？」

「これはスコーンか？」

　スコーンは今日の茶会でも出される菓子で、決して珍しい物ではない。

　だが、それはシャルドの知っているスコーンとは少し違った。

「それにしては随分と黒いが……ですが」

「私が焼きましたの。色が黒いのは素材のせいで、味は問題ありません」

「甘いのは苦手なのだが――」

　いくら空腹とはいえ、あの砂糖たっぷりのスコーンの味を思い出すと、口の中まで甘さが満ちて嫌になる。

「贅沢を言ってはいけませんよ――」

　そう言って、ルシアナはスコーンを指でつまむと、

「はい、マスクを上げてください。あーん」

　とシャルドに食べさせようとしてきた。

「自分で食べられる」

　シャルドはそう言って、ルシアナからスコーンを奪うように取ると、口に入れた。

　突如、甘さが口の中全体に広が……らなかった。

　甘いことは甘いのだが、嫌な甘さではない。

　ほのかに苦く、砂糖の甘味はどちらかと言えば中に入っている果実の持つ自然の甘さを引き立てる程度にしか使われていない。

「……うまいな。これはルシアナ様の家の料理人が作ったのか？」

　だとしたら、宮廷菓子職人として引き抜きたいと、シャルドは本気で思った。

　だからこそ、ルシアナがこれから言うことが信じられなかった。

「いえ、私が作りました」

「なにっ!?」

　シャルドはスコーンとルシアナ嬢を見比べる。

　普通、貴族令嬢は料理をしたりしない。貧乏で料理人も雇えない下級貴族ならばまだしも、公爵令嬢が菓子を作るなど。

「もう一個貰っていいか？　ですか？」

「ええ、構いません。数は十分用意していますから」

　そう言って、ルシアナは籠ごとシャルドに差し出す。

　中にはスコーンが二十個程入っていた。

　一個摘まんで口に入れる。

（やはり美味い）

　疲れた体に、自然の甘さが満ちていく。

　

「カールさん、その手はどうなさったのですか？」

「ああ、午前の訓練で少しな。先輩騎士からは一人前の証だと褒められたが、痛くてかなわん。あとで回復ポーションでも飲むつもりだ」

　レジーには着替えるときにポーションを飲むようにと言われている。

　こんな手で婚約者の前に出てはいけないからと。

　ただ、肉刺ができるのは普段から剣を握っていない証拠だと、シャルドが変装していることを知らない先輩に怒られたので、あまり見られて嬉しいものではないから、ポーションで傷を消せるのならちょうどいいと思っていた。

「カールさん、手を出してください」

「――？　こうか？」

　シャルドは言われるがまま、両手を前に出す。

　すると、ルシアナは突然シャルドの手を握った。

「――っ!?」

　突然、手を握られたことでドキッとした。

　同年代の女性に囲まれたことはあるが、王族に手を触れるのは恐れ多いと誰もシャルドに触れることはなかったし、乳母の手はこんなに小さくも柔らかくもない。

「剣術の訓練、よく頑張りましたね。偉いわ」

　ルシアナがそう言った時、

『よく頑張ったわね』

　一瞬、天使の冒険者の声と姿が脳裏をよぎった。

　そして、ルシアナは小さく「ヒール」と呟く。

　すると、温かい光がシャルドの手を包み込み、気付けば傷は綺麗に無くなっていた。

「……回復魔法が使えたのか？」

「ええ、淑女の嗜みですわ」

「そうか……」

　淑女の嗜みが回復魔法などと聞いたことがない。

（まさか、こいつがあの天使……いや、そんなわけがない）

　彼女は冒険者だ。彼女自身もそう言っていた。

　彼女がルシアナなわけがない。

　

「ありがとう」

　シャルドはそう言うと、立ち上がった。

「そうだった、シャルド殿下から伝言がある。少し遅れると言っていた。あと十分くらいでいらっしゃるだろう」

「それでは、十分間、もう少しお話ししましょうか」

「いや、俺もトイレの掃除に戻らないといけない。すまないな……スコーン、ご馳走様」

　そう言って、カールは着替えに行こうとした。

　いつまでも彼女を待たせていたら申し訳ないからと。

　ルシアナが彼を呼び止める。

「カールさん！」

「……なんだ？」

「訓練、頑張ってね。それと、また話し相手になってください」

「……気が向い……向きましたら」

　カールはそう言って、振り向かずに着替えに戻った。

　その後、シャルドは本来の姿でルシアナと向き合うことになるのだが、緊張してほとんど会話もできなかった。

　例えば、シャルドから声をかけたとする。

「あぁ……今日はいい天気だな」

「ええ、そうですね。殿下は天気のいい日は普段、何をなさっているのですか？」

「別に天気が良かろうと、雨が降ろうと変わらん」

　と言った感じで、会話を打ち切ってしまうのだ。

　ルシアナが用意してくれた菓子も、結局食べずに持って帰ってしまったくらいだ。

　今食べたら緊張して味がわからない――そんな状態で食べるのはもったいないと思ったからだったが、冷静になって考えれば、それはかなり失礼な行為だった。

　きっと、ルシアナ嬢も腹を立てているに違いない。

　部屋に戻ってから、レジーに怒られた。

「殿下、あれではあまりにもルシアナ嬢に失礼です。いくら好んでいない婚約だからといって――」

「そうだな……望んでいない婚約だな」

　シャルドはルシアナの言葉を思い出す。

　彼女はシャルドとの婚約を一切望んでいない。

　それに、何を望んでいるかもわからない。

「俺は、ルシアナ嬢のことを何も知らないのだな」

「当然です、二人は今日初めて出会ったのですから。これから知って行けば――」

「レジー、頼みがある」

　シャルドはそう言うと、レジーにあることを頼んだ。

　そして――

　一週間後。

　シャルドはルシアナを再度王城へと招待した。

　そして――

「あら、カールさん。今日もトイレ掃除ですか？」

「お久しぶりです、ルシアナ様」

　シャルドは再びカールの姿で彼女の前に出た。

「シャルド殿下が来るまで暫く時間がかかるそうなので、よかったら話し相手になってくれないか……ですか？」

「ええ、勿論喜んで」

　彼女がどういう人間なのか見極めよう。

　王子としてでなく、一人の騎士訓練生として。